サラリーマン、朝飯を食う。
部屋のベッドで色々考えてる内に二度寝していたようだ。
外を見ると薄らと明るくなってきている。早朝か。
キッチンで水でも飲もうかと部屋を出ると、トントンと音をたてて野菜を刻んでいた青年と目が合う。
えーっと、カイル…かな?俺はペコリと頭を下げると、部屋に戻って取ってきた指輪をカイルに手渡す。
『はじめまして、ヤマダです。エルクから話は聞いていたんだけど、カイルさん、でいいのかな?』
声をかけると、青年はビクリと動いて目を見開く。
何となく分かった、ヒタギ石は初めての人だな。
『あ、あぁ。カイルだ。俺もエルクから話は聞いてる。俺は21歳だけど、アンタ年上だろう?呼び捨てでいいよ。』
『ありがとう。俺は29歳だ。カイルは落ち着いて見えるから、もう少し上かと思ったよ。エルクも同じぐらいの歳なんだっけ?』
『エルクは1つ上だ。見ての通りガキ大将がそのまま大人になった様なやつだが。』
『あはは、それは何となく想像がつくな。』
今でもヤンチャ坊主って見た目のエルクだが、村でもガキ大将やってたらしい。
『見ての通り朝飯を作っているんだが、ヤマダは嫌いなもんはあるか?』
『うーん、ほとんどの食材を食べた事がないから、お任せで大丈夫だよ。』
『あぁ、そりゃそうか。すまん。』
『エルクが言っていたけど、ご飯はカイルにお任せしちゃっていいのかい?』
『構わない。将来、自分の店を持ちたくて、修行がてら毎日料理してる。』
ちゃんと将来考えてんだなぁ。
なんで飯屋じゃなくて商会で働いてるのかは聞かない。
きっと何か考えとか理由があってそうしているのだろう。
エルクもなんか夢とかあるんだろうか。
そんな話をしているとエルクが起きてきた。
『あれ、ヤマダもう起きてんじゃん。早いな。』
『昨日あの後すぐ寝たからね。半日以上寝てたさ。』
ていうかお前、指輪したまま寝てるのか。
『まあいいや、起きてたんなら朝飯食おうぜ。カインの作る飯は美味いんだぜ。』
朝飯は団子的なものが入った野菜スープと、煮込んだ肉だった。
『うーん、確かに美味いな。味がよく染みてる。』
『だろ?カインに食費を渡して朝と夜は作って貰ってんだけど、ヤマダもそれでいいか?』
『もちろん。何なら手間賃も取って貰っても構わないぐらいだよ。よろしくね、カイン。』
食事が終わるとカインは指輪を俺に返して出社して行った。
彼はスミナ商店の2号店で店員をしているらしい。
『じゃ、そろそろ俺らも出るとするか。』
さて、午前は語学研修だ。頑張ろう。




