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サラリーマン、異世界で働く。  作者: 雨崎 王助
世界のハマダ編
117/123

サラリーマン、穴を掘る。

えー、本日は晴天でございます。


日本とは違い、四季による気温差もそれほど無くカラッとした日が続くとは言え、晴天の下で1日中肉体労働というのは大変なものだ。


ましてや日本の冷房空間で培養された俺の様なデスクワーク人間にとっては余計に辛い。



さて、晴天の下で俺が何をしているかと言うと穴掘りである。

屈強な男達に囲まれて、ひたすら穴を掘っている。


決して隠語とかでは無い。

俺はノーマルだし、愛する妻が居るのだ。



何故こんな事をしているのかと言えば、当然仕事だからである。

バース商会に通信機の販売をした訳だが、当然「ケーブルをどうするか」という話になる。街の北東部にあるバース商会事務所から、中央にあるバース商会の「通信ハウス」まで直線距離でも5km以上をケーブルで結ばなければならないのだ。


電線の様に空中を結ぶやり方と、水道管の様に地中に埋めるやり方を提案したのだが、当然と言うべきか地中案になった。


「道中の全ての家に、上にケーブルを通す許可を取るなんざ無理に決まっているだろ」というのが電線方式の否定理由だ。俺もそう思う。


なお、「道は街のもんだが、地中に埋めたら邪魔にならんのだから勝手にやりゃいいだろう」というのが水道管方式になった理由だ。地中にも色々なものがある地球から来た俺はそうは思わないんだが、後から問題になったりしないだろうな…。




まあ、そんな理由でバース商会の屈強な解体員や配達員と一緒に穴、もとい溝を掘ってはケーブルを埋める作業をしている。


何故俺もやっているかと言われれば、テストケースとして色々学ぶためだ。ケーブルの耐久年数も良く分からないので、掘り起こして修理する事もあるだろうし。その為にも、ケーブルを通している経路はざっくりと街の地図に記入はしてある。


電卓は売った後に壊れても致命的な被害が出る訳じゃないけど、今後街と街を繋いでインフラ化しちゃう話とかになったらケーブルに穴が空いての漏電、いや″漏魔?″が怖いよなぁ…。そういう場合は定期点検員みたいなのを用意してもらうべきだろうか。



そんな事をつらつらと考えながらも溝を掘ってはケーブルを埋めて行った結果、8日目で目的の通信ハウスまで辿り着いた。流石はパワー系のバース商会員達だ、ひと掘りで俺の倍以上の土を抉り出していたからな。



そして、その日の晩にはガロンさんが用意していた大量の酒と肉を使って、営業後の解体所で「開通おめでとうバーベキューパーティ」となった。皆は慣れてるのかもしれんが相変わらず血なまぐせぇよここは…。


そう大して力にはなっていなかったが、8日も一緒に作業をしていればそれなりには仲良くなるもので、バース商会員達と共に俺もやいのやいのと騒ぎながら飲んだ。



気分良く酔っ払ってていると、背後からガロンさんの太い腕が俺の首に回された。

「よう、ヤマダ。飲んでるか!」

「飲んでまっす!あと、肉も美味い!これが全部おごりなんて、ガロンさんもたまにはいい事しますねぇ!」

「お前、酔うと割と好き放題言いやがるな…。まあいい。おそらくこれで配達員の手が多少浮くんだが、解雇っつう訳にもいかん。何か良い使い道は無いか?」

使い道ぃ…?


「その内に街同士も繋いだら、電報でも始めてその配達員とかで良いんじゃないですか!ははは!」

「デンポウ、デンポウだな…。まあ細かい事は酔ってないお前から聞かせてもらう事にしよう。」

ガロンさんはそう言って、スっと腕を離すと去って行った。


なんだ。何かすげぇ墓穴を掘った気がするぞ。

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