サラリーマン、誕生日を祝う。
お盆期間中は用事が色々あって、投稿頻度が落ちております。
毎日の様に投稿翌日には読んでいてくれた方々には、誠に申し訳ない。
さて、いよいよ誕生日パーティ当日だ。
せっかくだし美味いものを食べたいので、パーティはカインの休日に合わせており、料理をお願いしてある。
カインの店が休みだと必然的に休みとなるイルは調理補助だ。
食材についてだが、実はべナとイルの誕生日プレゼントを買いに行った時に、バース商会に良い肉を売ってくれないかお願いしに行ったのだ。
普段は個人への肉の販売というのはやっていないそうだが、ちょうどバース商会向けの魔道具を作っている事もあり、こっそりと売ってくれる事になった。
まあ、卸売の業者がいちいち個人に売っていたら手間がかかって回らなくなるし、お得意様の肉屋もいい顔はしないだろう。誕生日パーティの今回だけだ。
ちなみに肉種の指定はしていないので、今日ハンターから買い取った肉から適当に選ばれる事になっている。
カインと2人でバース商会の解体所を訪れると、既に肉は準備されていた。
「これは…何の肉だ?」
カインでも分からないのか。何だろう。
すると、解体員の人が答えを教えてくれた。
「へっへっへ。ヤマダさん、こいつはマドの肉ですよ。この辺じゃあ中々とれないんですがね、今朝たまたま狩って来たハンターがいたんで置いておきましたよ。」
新婚旅行の時に荒野で狩ったのを鍋にして食ったやつか。
確かに、アスツールじゃあ売っているのを見た事は無いな。
「マドか。通りで脂が乗っているはずだ。ヤマダ、鍋でいいか?」
「うん、その辺はカインに任せるよ。1度食べた事があるけど、マドときのこの鍋は絶品だったよ。」
その後、鍋の食材を買いに行き、夕飯の準備が終わった頃にはべナとエルクが仕事から帰り、我が家のリビングでパーティは開始となった。
「べナ、イル、誕生日おめでとう。2人ともその歳で働いているのは素直にえらいと思う。これからも頑張ってくれ。」
開幕にお祝いを述べると、べナが少し照れた顔でそれを返す。
「ええ、ありがとう。ハヤトも誕生日おめでとう。」
まあ俺の歳になると、そうめでたくも無いけどな。
「べナ、今日は凄いんだぜ!マド鍋だよ、マド鍋!」
「あぁ。イルも準備を頑張ってたもんな、早速食べようか。」
山菜と唐辛子の様な香辛料で味付けされたマド鍋は、新婚旅行の時に食べたこってりとした味の鍋とはまた一味違って、後に引く辛さを山菜と肉の脂が中和しており、食べだしたら止まらない美味さだった。
やはり本職という事だろう。
カインに料理をお願いして良かった。
あっという間に鍋は空になったので、ここらがプレゼントを渡すタイミングだろう。
レイナさんと一緒に2人に手渡す。
「イル、おめでとう。」
「おお、これタラン鋼の鍋じゃん!高いからカインの店でも使ってないのに!」
まあ、確かにお値段は中々高かった。
だが、これだけ喜んでくれたならいいだろう。
「はい、べナもおめでとう。」
「うわぁ…可愛い服ね。でも…、こんなの私が着て似合うかしら。」
べナがそう言うと、目をキラキラさせたクロエさんが立ち上がった。
「絶対似合うって!私はそろそろ仕事に行かなくちゃいけないから、その前に着て見せてよ!」
半ば渋々という感じで、その服を着て来たべナは中々可愛く仕上がっていた。うーん、もうちょっと大きくなったらレイナさんみたいに美人になりそうだが、この可愛い感じも悪く無い。
「ど、どうかしら…?」
「きゃー、べナちゃん可愛いー!昔のレイナちゃんを思い出すわぁ。」
クロエさんが会った頃のレイナさんはこんな感じだったのかぁ。それも見てみたかったかもしれない。
「うんうん、良いじゃないか。エルクとカインはどう思う?」
2人に意見を聞く流れにして、さりげなくカインに話を振れたのは、我ながらグッジョブなのではないだろうか。
「うーん、良いんじゃねーか?有りだと思うぜ?なあ、カイン。」
「あぁ。べナはそういう服も似合うな。」
「そ、そう…?なら良かったわ。」
カインに褒められて照れるべナを、レイナさんと2人でニヤニヤしながら見守った。
なお、この服が無事に「べナがカインの店に行く時に着る服」のローテーション入りを果たしたという事だけは伝えておこう。




