サラリーマン、共同開発を後押しする。
しかし、カジャさんが言ったレジと″魔伝機″の組み合わせ?が気になって横から聞いてしまった。
「組み合わせるって、遠くから数字でも入力出来るようにするんですか?……ん?えっ、それ凄いな。」
自分で言って気付いたが、もはやそれは通信では。
いや、鉱石祭のモールス信号みたいな魔道具でも通信みたいな物だったか。
「あなたも気付かれましたか、そうなのです。数字の情報が送れる様になりますし、それを使って文字のやり取りもできるでしょう。素材さえ見付かればは音や匂いなども送れる様になるかもしれません。」
数字の情報で画像や動画データすら送っていた地球でも、匂いを送信する事は出来ていなかった。出来たら凄いな。
いや、ていうか帰りの船で思い付いたって、このおっさんマジもんの天才なのでは。
そんな話の中、困惑していたのはハンナさんとゲイルさんだった。
「ヤマダくん、話が見えないんだけど、それって凄いの?」
「凄いです。電卓なんて目じゃないですよ。世界が一変するレベルです。」
「そんなに!?」
「ほう、あなたもそう思いますか…。」
そりゃそうだ、こちとら地球じゃ毎晩ネットにどっぷりのネット漬けだったんだぞ。
「ハンナさん、例えばですね。遠くにある本を読める様にだってなるかもしれないですよ!」
そういや、こっちに落ちた日に帰りの電車で読んでた電子書籍は読みかけのまま終わってしまったなぁ…。
「そりゃ、凄いけど…。いや、ヤマダくんは似た物を知っているって事か。それならやろうか。そろそろジテン作りに人を増やそうかと思ってたし、2,3人雇って開発に専念しよう。ジテンがいくらでも売れてるからお金に余裕はあるしね。」
テンション上がってゴリ押ししてしまった…。
大丈夫だろうか。
いや、だって通信環境を作りあげたら本当に凄い事だぞ。
″魔伝機″って通信距離100mぐらいだったよな…。
「通信塔を建てる…?いや、100mじゃ必要数が多すぎるな。有線…ケーブルなら行けるか?」
「何か考えがお有りの様ですが、″ケーブル″…とは??」
「えーと…出来るのか分かりませんが、魔伝機の両端を絶縁性の素材で包んだ筒とかで繋げば有効距離が伸びないかな…と。」
「有効距離が伸びるとすれば、100m以上をその筒で繋げると言う事ですか?流石はハマダ魔道具工房、何と奇天烈な発想だ…。」
まあ、俺の発案は大体地球のパクリなんですけどね。
ハンナさんが諦め顔でカジャさんの肩をポンポンと叩く。
「カジャさん、ヤマダくんは〈落とし人〉なんですよ。多分、今言ったのもヤマダくんの世界に存在した技術なんだと思います。ウチのデンタクもこうやって生まれたので、やってみますか。」
それを聞いたカジャさんは大袈裟に驚いた。
「なんと!?″ムドラ″と同郷でしたか!それでこんな奇抜な事を…。しかし、角が無い人も居るのですな。」
バラムの落とし人と一緒にするんじゃないよ。
地球には額に角が有る人も、魔法を使える人も、オマケに素手で荒野に出て獣狩りをする人なんぞおらんわい。
まあ話は決まったみたいだし、おそらくこの世界初であろう有線通信機を作ってみる事にしますかね。
しかも線の中は空洞だから、電線をすっ飛ばして光ファイバーならぬ魔素ファイバーだぜ。




