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30 三日目 夜の襲撃

 プレイヤーが残り五人となったが、現段階で正体が判明しているのは襲撃を受けた一人だけなので、あらゆる可能性が残されていた。


 人狼チーム二人と『占い師』と『騎士』が一人ずつ、その四人が全員生き残っている可能性もあれば、『人狼』が一人きりで、『占い師』と『騎士』が既にいなくなっている場合もあるわけだ。


「お邪魔するぜ」


 白狼男がターゲットのいる監禁部屋を訪れた時、その者はパンツ一枚で気持ち良さそうに熟睡していたのだった。


 ピンクの照明に照らされた寝顔は、自分が襲撃を受けることなど露ほども考えていない感じであった。


「姉さんよ」


 人狼チームが襲撃したのはお姉さんだった。


「んんっ」


 色っぽい目覚めの声だが、狼男は関心がない様子であった。


「姉さん、襲撃の時間だぜ」

「え?」


 人間相手ではないので、お姉さんも熟れた乳房を隠そうともしないのであった。


「なんで私?」


 逃げるでもなく、ベッドの上で上体を起こすだけであった。


「どうせ死ぬんだから関係ねぇだろう」


 ゲームマスターも質問に答える気はないようだ。


「なんで私が殺されるの?」


 死を目の前にしているのに、選ばれた理由が気になって、そのことばかり気になっている様子だった。


「明日の投票は私がいた方がいいのに」


 悔しそうだ。


「私がいた方がリーダーにとっては有利よね」


 どうしても『人狼』の正体が気になるようだ。


「じゃあ、誰?」


 そこで後悔する。


「ああ、投票する順番を間違えた」


 どうやら結論に達したようだ。


「このゲームは運だけじゃなかった」


 そこでお姉さんが狼男の毛むくじゃらの手を取る。


「お願い、メッセージを残させて。私を狙ったアイツが許せないの」


 立ち上がって素肌のまま抱きつくが、やはり狼男は関心を示さないのであった。


「特例は認めねぇよ」


 そこで処刑人の黒狼男が入室して、部屋に狼を放つのだった。


「うわあああああああああああ!」


 流石に断末魔まではセクシーではなかった。


「食いやすい姿でよかった」

「まったくだ」


 こうしてお姉さんは狼に食べられたのだった。



 これで残るプレイヤーは四人となった。それでも、お姉さんが『市民』だったという確定事項が一つ増えただけである。


 人狼チームは一人かもしれないし、二人かもしれない。『占い師』や『騎士』がまだ生きているかもしれないし、死んでいるかもしれない。


 明日の会議が重要となるが、同数決着はないので、展開次第では明後日までもつれる可能性が残っているというのが現在の状況である。

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