19 中一女子自殺教唆事件
中学一年生の高橋里奈(仮名)は、食べることが大好きで、いつもニコニコしている元気いっぱいの子だった。
多彩な趣味を持っており、絵を描いたり、詩を詠んだり、素晴らしい才能を持った、優れた表現者でもあった。
とても頭が良くて、向上心もあり、将来は「弱い人の味方になりたい」という、尊敬すべき人間性も兼ね備えていたのである。
母親が苦労しているのを知っており、だから心配を掛けまいと、負けないようにと頑張り、挫けると自分を責めてしまう、そんな健気な子でもあった。
「ごめんね、ありがとう」
それが生前に残された最期の言葉であった。遺体は極寒の雪の中で発見されて、凍死状態で見つかるのだった。
秘部の画像をアプリで校内に拡散されたのが、わずか十二歳の時。要求は次第にエスカレートして、しまいには公衆の面前で自慰行為を強要されるに至った。
PTSDを発症してからも被害は続き、衆人環視の下、橋から飛び降りるように追い詰められて、自ら川に飛び込んだのである。
問題発覚後も学校の対応は悪質で、担任は事件を認めず、教頭に至っては被害者のポルノ画像を収集したのみで、事件解明への協力を一切拒否するのであった。
また、近年稀に見る少年犯罪であるにも拘らず、問題を把握した警察も事件化を見送る判断を下したということで、地域の異常性が問題視されたのだった。