10 女子高校生監禁殺害事件
高校三年生の鈴木晴香(仮名)は賑やかな家庭に生まれ、元気な兄弟に囲まれて育ち、誰に対しても丁寧な挨拶をする近所でも評判の人だった。
学校生活では友人にも恵まれ、生活態度も真面目で、親が学校に呼び出されるような問題を起こしたことは一度もない生徒であった。
また成績も優秀で、極端に成績を落とすこともなかった。さらに勤労意欲もあり、三年生の秋には既に就職を決めていたのだった。
内定をもらってからアルバイトを始めたのは、少しでも家計の負担を助けてあげたいという優しさだったのかもしれない。
持ち家で暮らしているので貧しくはないが、兄弟が多かったため、家族の力になりたいという思いが強かったのだ。
「家族のみんなに大変な思いはさせないから」
その後、友人との卒業旅行は叶わず、長きに渡る監禁の末、冬の寒空の下、暴行された挙句に、命を奪われたのだった。
事件発覚後、犯行グループの僅か少数が逮捕されたが、主犯格は実刑を受けたが、多くは野放しにされ、被害者の実名だけが社会に取り残されたのだった。
報道機関によって不良少女とのレッテルを貼られ、マスコミ関係者や言論人によるセカンド・レイプがエスカレートしたが、誰一人として実名による謝罪がないまま、現在に至るのであった。