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声のゆくえ  作者: 朝角なな
1/1

歌声がきれいな彼女とオンチな彼

きれいな歌声が聞こえてくる

俺はその歌声に耳を傾ける

彼女がこちらに気づき、少し照れたように顔を赤らめながら俺に笑いかける


俺が壊してしまった彼女の声


「          」


最後に聞いた彼女の声


彼女が最後に何と言ったのか思い出せない


もう二度と元には戻らない


            ーーーーー


「西山くん、あのね音楽は副教科でそんなに頑張る必要はないけどさすがに…

その、もう少し練習してきたほうがいいと思いますよ

音楽コンクールもあるんだし…」

「はぁ…」


遠回しに教師からオンチだと言われた

職員室をでて玄関へと向かう


呼び出されたと思って行ったらけなされるとは…

はぁぁと大きなため息をつく


「大輝、お前ヤマ先に呼び出されたらしいじゃん

何やらかしたんだよ〜」


友人が声をかけてくる


「あーいや、…歌の練習してこいって」

「あー…大輝オンチだもんな」

「オンチだからって何だよ

音楽コンクールとかどーでもいいだろ

ただの学校行事だし」

「いやいや、お前何言ってんだよ!

今年、優勝したクラスはヤマ先がハーゲンダッツ人数分おごるって言ってんだから!

優勝するしかねーだろ」


ぎゃーぎゃー友人が喚く


…あーうるせぇ

歌なんか歌えなくても死ぬわけじゃねーんだから

一年のときみたいに指揮者やれば…


「大輝、去年指揮者やってたから今年も来年もぜってぇーに歌う方なんだからな」

「は!?なんでだよ」

「言ってたじゃねーか

指揮者は一回だけしかできねーって

指揮者は歌わなくていいって人気だからな

んじゃ、練習頑張れよ、オレ部活だからー」


ばいばーいと友人が去っていく背中を見つめる


……本格的にめんどいことになってき


はー、くそっ

歌の練習とかどーすりゃいーんだよ

別に俺だけ口パクとかでもいーだろ

オンチが個性ってことでいーじゃ……ん?


どこからかきれいな歌声が聞こえてくる


キョロキョロと辺りを見回しながら声のする方へと向かう


寂れたベンチに腰をかけ、目をつむり一人歌っている


……あの制服、俺と同じ学校のやつか?

誰か分からねぇけどめちゃくちゃ歌がうめぇ


彼女から少し離れた場所に立ち止まり歌に聞き惚れる


彼女がおもむろにベンチから立ち上がり目をつむったまま楽しそうにくるくる回りながら歌いだす


……きれいで何よりも本当に楽しそうに歌っている


彼女が目を開いた瞬間、俺と彼女の視線が交わる


「……うびゃ!」


……うびゃ?


彼女が顔を真っ赤にして慌てだし、カバンを持って走り出す


「え、おい、ちょっと待ってくれ!

……いや、足はえーな!」


あっという間に彼女が走り去ってしまう


歌、上手いし、もっと聞きたくて教えてもらおうと思ったのに声かける前に逃げられた


「……まーでも同じ学校のやつみたいだし学校で会えんだろ」


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