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85.ナルキさんのお願い

 今日は一人で預モンで採れたアイテムを納品しに商業ギルドに来た。


「いらっしゃい、お菊さん」

「あれ、今日はギルド長さんなんですね」

「ええ。副ギルド長には別の仕事を任せていましてね」

「そうなんですね、お久しぶりです。こちら、お願いします」

「はい、査定させて頂きます」


 いつも通り明細を貰い、帰ろうとすると呼び止められる。


「お菊さん、もしや『日本の伝統』を取得されていませんか?」

「へ? はい、していますけど」


 真剣な顔がグイッと近づけられ、両手をキュッと握られる。ひぃぇ、逃がさない気満々!


「実はとても困っておりまして」

「は、はぁ」


「日本の伝統で作られた商品が欲しいと重要なお客様から頼まれているのです。これを断ると大変困った事態になってしまいます。どうか、力を貸して頂けないでしょうか? 時の旅人で取得されているのはお菊さんだけなんです」


 困っていたら助けになると約束したし、お世話になっているから力になってあげたい。でも、私が決められる事じゃないのよね。


「鶴ちゃん達に聞いてみますね」

「鶴ちゃん?」

「はい、日本の伝統って、鶴ちゃん達が職人さんなんです」

「ほう、そのような仕組みになっているのですね。是非、会わせて下さい」

「はい、ちょっと待って下さいね」


 日本の伝統の画面を開くと、受付なのか、暇そうに鶴ちゃん一羽がポテンと座り、欠伸している。


「お初にお目にかかります。私は遊楽で商業ギルド長をしているナルキと申します。どうか、お願いを聞いて頂けないでしょうか?」


「ふわぁっふぅ⁉ しょ、商業ギルド長⁉ リーダー諸君、集合!」


 欠伸がびっくりしておかしな事になっている。思わず笑いそうになったのを堪える。


「な~に~?」

「何用?」


 画面の端から、それぞれの部門のリーダーがテケテケと集まって来る。


「初めまして。私は遊楽で商業ギルド長をしているナルキと申します。どうか、お願いを聞いて頂けないでしょうか?」


「いいよ~」

「諾」


 誰も反対する事無く、一列に並んでこちらを見ている。


「今回欲しいと仰られているのは、伊万町焼きのお茶碗なのですが、可能でしょうか?」


「出来るよ~。デザインとか色とか決めるのにカタログ渡すね~。今、出来るのはこれだけ。あとは、お菊ちゃんが図柄とか買って来てくれたら、もっと充実するよ~」


「そうなのですね」


 分厚いカタログを渡されたナルキさんの目がキランと光って私を見る。うわぁ、期待されている。そっと目を逸らしておこう。


「デザインなどが決まりましたら、またご連絡させて頂きますね」


「うん、待ってる~。あ、そうだ、一応説明しておくね~。僕達への支払いはお金じゃなくて素材なんだよ。良い素材待ってる~。じゃあね~」


 ナルキさんの視線が更に強く私に刺さる。これは素材も期待されている⁉





 次の日、預モンで採れたアイテムを納品しに商業ギルドに来ると、ナルキさんが良い笑顔で待っていた。


「お待ちしていましたよ。お仕事が終わったら、商業ギルドへお越し下さいね」

「はい……」


 私は大人しく頷くのみだ。綺麗すぎる笑顔、怖い……。


 商業ギルドへ行くと、受付のお姉さんがすぐに応接室へと案内してくれる。


「お忙しいところをありがとうございます。早速、本題に入りましょう」


 待っていたナルキさんの要望通りに日本の伝統を開くと、リーダー達がテケテケ集まって来る。


「決まった~?」

「はい、こちらのデザインが良いそうです」

「これね~。雲、牙、殻をよろしく~」

「雲と言っても、絹雲、羊雲など種類がありますよね。指定はないのですか?」

「推奨LV20以上で採れたのならなんでもいいよ~」

「成程。でしたら、お菊さん、採取をお願い出来ませんか?」


「わ、私ですか? お休みの日にしか回れない所があるので、時間が掛かっちゃいますよ?」


「僕達も出来ればお菊ちゃんが採って来てくれた物の方が嬉しいな~」


 私が獲ったSAだから、そう思うのかな? まだまだ謎がいっぱいね。


「彼らもこう言っていますし、一ヶ月以内と時間も頂いていますので、大丈夫ですよ。それに、依頼主が採取の報酬を多めに出してくれる事になっているのでお得ですよ」


 それならと受ける事にした。結局、レベル上げで行くもんね。





 平日は浮雲にあるコクウ森で『雲』を手に入れる。モコモコ雲で出来た様な羊雲というモンスターと戦うと、アイテムを落としていくのだ。確率が低いようで、中々落としてくれなかった。


 土曜日は波浪にあるフユニ島だ。橋野さんも一緒に行ってくれる事になった。ここでは、フユニ海老というモンスターを倒すと『殻』が貰えるのだ。


「こうやって二人で一緒に戦うのは初めてだよね」

「そういえばそうですね。いつもは大体ウインダムさんが居ますもんね」

「おんぶにだっこは悔しいから、レベル上げ頑張ろうね」

「はい!」


 多少ダメージは受けてしまうけど、推奨LVに合った場所なので、リボーンはせずに済んでいる。コンちゃんのHPが高いお蔭でもあるよね。


 最初から比べたら、驚きの成長だよね。これも一緒に戦ってくれる三匹のお蔭だ。あとでいっぱいナデナデしておこう。


 日曜日は森羅にあるウス樹海で『牙』を手に入れる。今日はウインダムさんが一緒だ。


「緑狼から牙が貰えるから、頑張ろうな」

「うん」


 私たちの経験値獲得を優先してくれているので、別々に戦っている。はぁ~、やっぱり動きが全然違うよね。群れで襲われても平気な顔しているし。いつかは、私も涼しい顔で敵をバッタバッタと――うう~ん、想像出来ない。出来る範囲で頑張りましょう。


 必要な物が全て揃ったので、納品しにギルドに向かう。記念すべき、二回目の依頼達成だよ。


「確かに。お疲れ様でした。こちらが報酬のお金になります」


 応接室で対応して貰っているので、早速、素材を鶴ちゃんに渡す。


「ありがとう~。2日で出来るよ~」

「お願いします。お菊さん、また2日後に」

「はい」


 ほっとした顔のナルキさんに見送られてギルドを出る。間に合って良かった。


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お読みいただきありがとうございました。

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