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81.海底掃除

 LV15になったので、難破船まで行かずに、近くのタイセ島でレベルアップが出来るようになった。タイセ島の周りはラッコが沢山住んでいて、見ているだけで癒されるスポットだ。おわん型の島は真っ白い砂で覆われていて、ヤシの木がポツンポツンと生えているだけで、植物が少ない。


 ここで経験値がいいモンスターは850くれる、ハマグリを大きくしたみたいな『ハクラム』。20匹の団体戦で、挟み攻撃とお水をピューピュー出して攻撃してくる。コンちゃんは水魔法無効、私は水半減をもっているけど、魔法防御が低いタケちゃんは、何度も攻撃されると辛くなるので、早めに倒さないといけない。そこで活躍するのが弱点である、タケちゃんと亀きっちゃんの土魔法だ。この前LV2にしたので全体攻撃が出来る。それをかければすぐに倒せちゃうのだ。そして、倒すと貰える貝殻! これで着物に一歩近付いた。


 他の素材はお休みの日に纏めて手に入れようと、ハデス君と話し合って決めたので、平日はひたすらハクラム狩りだ。





 海底散歩の係員さんに教えて貰った、ある条件をクリアしないと貰えないアイテム。一日遊べる土曜日の今日こそはとタケちゃんが、フンスフンスと鼻息荒く迫って来たので、行く事になりました。


「すみませーん。海底掃除の依頼を受けたいのですが」


「では、ギルドカードの提示をお願い致します。……条件はクリアされていますね。では、こちらの腕章を付けて、潜水艇乗り場受付に書類を提出して下さい」


「はい、了解です」


 タケちゃん達の分もあり、『我ら海底清掃隊』と書かれた緑線に白ビニールっぽい素材のそれは、伸縮自在で腕にピタリと嵌った。うちの子達が手をシャキーンと伸ばして喜んでいるので、ちょっとダサイ気が……という言葉は呑み込んでおこうと思う。


 潜水艇乗り場の受付では、私達以外にプレイヤーはおらず、筋肉ムキムキの漁師さん? いや、海賊さん? みたいな人達が集まっている。


「皆様、お集まり頂きありがとうございます。今日はエリア1と呼んでいる、海底右端部分の清掃を行っていきます。今から、レベルに合わせて清掃用具をお渡ししていきますので、縦一列にお並び下さい」


 ギルドで渡された書類に付けられた付箋でレベル分けがされているらしく、サクサクと用具が渡されている。あの鍵だけもらっている人はなにするんだろうなぁ。


「お菊さんは一番レベルが低いので、この竹籠とトング、軍手になりますね。テイムモンスターの子達は、熊手でお願いしますね」


 か、かわいい……。潮干狩りで使うような小さな熊手だ。先に貰っていた人たちは、シャベルや巨大バサミ、籠と熊手が合体したような、180cmはありそうな貝とりジョレンと呼ばれるものだったのに。


「僕も大きいのがいいミュ~」

「クー!」

「熊手……」

「ごめんね~。人型モンスターの子以外は大体、熊手なんだよ」


 手の形状で握れなかったり、体が大きすぎたりと清掃に向かない子が多いらしい。ぶっちゃけ、応援要員だと係員さんに耳打ちされた。成程です。


 背中をポンポンして宥めつつ、皆の後をついて行く。


 私たちは歩きで行ける場所だけなので、海底散歩の時の腕輪を付けて海にドボン。他の人はまずは潜水艇で決められた位置までチームで行き、海にドボン。最後に鍵を貰っていた人は、なんと蟹みたいなハサミ二本が自由自在に動くロボットに乗り込んでいた。


「ミュ~! かっこいいミュ!」

「クー! クー!」


 あぁ、うちの子が大興奮。どうやって宥めたら……。


「でっしょう! 本来なら二台は必要な所を双腕によって一台で行えるうえに、魔力消費を極限に減らしたのに、そのパワーたるや――」


 係員さんの熱い語りにうちの子達がポカーンとした顔で聞き入っている。今の内に腕を引いて誘導してしまおう。ナイス、係員さん。私は横文字も多いから、呪文を聞いている気分だけどね。


「まーた、お前はっ! どうも、すみません。あいつ、あれの事になるとすぐ熱くなっちゃって。お菊さん達は、ここからお願いしますね。石をひっくり返すのとかは男手がやるんで、瓶とか貝殻や網の切れちゃったやつとか拾っていって下さい。分からない事があれば、みんなベテランなんで、誰にでも聞いていいですから」


「はい。さぁ、タケちゃん達、やるよ~」

「ミュー!」

「クー!」

「ああ」


 元気よく鳴くと、熊手で貝殻を集めている。結構、大きい欠片が多いんだな。私も負けないように集めないと。


 双腕重機が器用に沈没船の残骸を拾い上げ、トラックみたいな潜水艇が載せて運んで行く。地上の工事現場みたいだ。私も竹籠がいっぱいになるとトラックの荷台に入れさせて貰う。綺麗に見えていたけど、結構ゴミがあるものなんだなぁ。人間とゴミって引き離せない関係だよね。


 時々、珊瑚の欠片とか、シーグラスとかがあるので迷うけど、取り敢えず全てゴミとして扱って下さいとの指示なので、竹籠へ。勿体無いから、後で貰えないかなぁ。


「――皆さん、お疲れ様でした。今日はこれで終了です。各自、報酬をお渡ししますので、また一列に並んで下さいね」


 グイーッと伸びをして首をコキコキ。ずっと半腰はきつい。


「きーちゃん、見てミュ。アサリ、いっぱい獲ったミュ~」

「えっ、いつの間に⁉ わっ、ハマグリまで!」


「あー、それ、持ち帰っていいですよ。テイムモンスターの子が来ると大体こうなるんで。むしろ、何を獲ってくれるかドキドキワクワクしながら熊手を渡していまして」


 『えへへ』と笑う係員さんに私も笑い返す。熊手には何重もの意味があったのね。


「ええと、今回の報酬ですが、シーグラス、珊瑚の欠片、真珠の粉がそれぞれ一袋ですね。掃除はボランティアなんで、ギルドの評価にしかならないんですよ。すみませんね」


「いえいえ。綺麗なお魚や珊瑚とかを間近で見られますし、綺麗になるとやっぱり気持ちいいですからね。それに、こんなお土産まで貰えちゃえましたし」


「そう言って貰えると助かりますよ。ボランティアなんで、時の旅人さんは見向きもしてくれなくて、いつも地元民だけでやっていますから。今回お菊さんがやってくれたから、影響されて増えてくれるといいんですけどね」


「ふふ、私にそんな影響力はありませんよ。私が働いている所はテイマーさんが多いので、可愛くてお得だよ~って宣伝しておきますね」


「是非お願いします。エリアが広いので、いつでも来て貰えると助かります」


 礼をして完了の紙を貰い、再びギルドへ。


「お疲れ様でした。あぁ、シーグラスをもらえたんですね。でしたら、グリーンフラッシュという工房へ行かれてみませんか? 素敵な作品に生まれ変わりますよ」


「へぇ、楽しそうですね。行ってみます」

「僕も!」

「クー!」

「へぇ」

「ふふふ、素敵な作品を期待していますね」


 私達は大きく頷いて工房へと向かうのだった。





「いらっしゃいませ」

「ギルドの紹介で来ました」

「シーグラスはお持ちですか? なければこちらで用意したものがありますよ」

「海底掃除で沢山手に入ったので、それを持って来ました」

「それはお疲れ様です。色々と作れますが何にしますか?」


 作品を見せて貰うと、写真立て、アクセサリ、リース、ランプシェードなど、結構種類がある。


「皆は何がいい?」


 そう言うと、一斉に写真立てを指さす。


「きーちゃんとお写真撮ってこれに飾るミュ」

「俺もその案に賛成だ」

「クー」


 そういえば、写真屋さんが町にあるんだよね。スクリーンショットで撮った写真もプリントしてくれるらしい。


「じゃあ、これに決定ね。店員さん、よろしくお願いします」

「はい、お任せ下さい」


 四角で真っ白い太枠の写真立てを選び、シーグラスを配置していく。可愛い貝殻やビーズ、造花なども用意されているので、バランスよく配置していく。


「こんな感じでどうかな?」

「いいと思うミュ。可愛いミュ」


 タケちゃん達のOKを貰ったので、ここからは接着剤でペタペタ。


「出来た~」

「素晴らしい作品が出来ましたね」


 うんうんと亀きっちゃんが大きく頷いてくれている。ふふっ、いい思い出の品が出来て良かったね。


「では、条件クリアなので次のヒントを差し上げますね」

「へ?」


 これもヒントに必要な行為だったんだ。上手いこと誘導されているなぁ。


「次は難破船ハルケで、驚かすのが大好きなモンスター『目玉お化け』のスクリーンショットか動画を撮って来て、招涼の風鈴の所に居る係員に見せて下さい」


「あっ、もう持ってます」


 ウインダムさんが倒してくれるとなった時に記念で動画を撮っていたのだ。


「それは話が早いですね。早速行ってみてはいかがですか?」

「はい、そうします。ありがとうございました」


 手を振り合って別れ、招涼の風鈴へ。ええと、係員さんはと――。


「何かお探しで?」

「あっ、係員さん! 探していたんです」

「私でしたか。もしや目玉お化けを撮って来てくれたのですかな?」

「はい!」


 嬉しそうに動画を見終わると、風鈴を一つ手渡される。


「これを持って海底散歩に行くといいですよ。きっと良い事が起こります」

「ありがとうございます!」

「やったミュ!」

「クー!」


 タケちゃんと亀きっちゃんがピョンピョン飛び跳ねて喜び、コンちゃんが風鈴の紐を銜えて持ってくれた。よ~し、早速行ってみよう!





「おめでとう。これでこの光を掴めるわよ。さぁ、やってみて」

「――採れたミュ~! はい、きーちゃん」

「ありがとう、タケちゃん。大事にするね」


 ほんわり光る玉は、『光の泡沫』というアイテムだけど、使い道はまだ分からない。日本の伝統の鶴ちゃん達に見せれば何か分かるかな?


 見事にアイテムゲット出来た私達は満足してお昼へと向かうのだった。


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