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22.賑やかなお昼

 金銭的に不安な事を伝えると、時給アップも考えているし、ボーナスもあると契約書の一文を示された。うっ、すぐに質問しようとせずに最後まで読めば良かった……。


「その他にも色々と融通出来ると思う。だから、安心してくれ」

「はい。マハロさんにはお世話になってばかりで……」


「気にすんなって。俺がやりたいことをしているだけだ。――おっと、もう昼だな。食堂へ行こう」


「はい!」


 絶対にいつかお礼をしようと心に決めて、マハロさんと管理センター内にある食堂へと向かう。


「――あ、お菊ちゃん。ここ空いてるよ」

「ナダさん、お疲れ様です。お隣失礼しますね」

「うん。マハロさんはそちらの机にどうぞ」

「サムとトニーと一緒じゃねぇか! 断る!」

「酷っ⁉ ええいっ、トニー、席をくっつけろ!」

「イエッサー!」


 隣の机をズルズルと引き摺って来て、満足気な顔で席に着いている。


「仲間外れ反対! お菊ちゃんはサムさんと一緒に食べたいよね? ね~」

「え、えっと――」

「断る!」

「何でマハロさんが答えるんですか! お菊ちゃんは何を頼んだの?」

「私は――」

「秘密だ!」

「えぇっ⁉」


 マハロさんが全て答えて、二人の机をグイグイと押しやる。


「おうおう、賑やかじゃねぇか。俺も入れてくれよ」


 トッドさんもやって来て更に賑やかになる。でも、一人足りない。


「ケン君は来ないんですか?」


「ああ。厩舎は俺とケンの二人で回しているから、交替で食事をとってるんだわ」


「そうなんですね。こんな風に集まって食べるのは珍しいんですか?」

「そうだなぁ、久し振りじゃねぇか? なぁ、マハロさん」


「ああ。皆、外に居る事が多いからな。――ほれ、お菊。俺のチキンソテー一つやる」


「わぁ! ありがとうございます!」


 私の前の席に落ち着いたマハロさんが、気になっていたチキンをくれた。


「いただきまーす。――うん、レモンバターもいいですね!」

「マハロさーん、俺にも~」

「トニーも欲しい~」

「お菊、あいつらはこうやって人の物を欲しがるから気を付けるんだぞ」

「はーい」


 だから、二人と同席を嫌がったのかな? 人の食べている物っておいしそうに見えるんだよね~。


「はい、マハロさん。あーん」

「……は?」

「え?」


 お返しにトロトロオムライスをスプーンで差し出したのに、疑問が返って来た。


「卵、苦手ですか?」

「いや、好きだが――ってそうじゃない! 男にこんな事をしたら駄目だろう⁉」


「んん? うちのお父さん、喜びますよ? いつも味見させてって言って来るんです」


「お父さん? あ、ああ! そういう事か。焦った……」


 マハロお父さん、食べないの? と首を傾げていると右横から腕を取られる。


「――うん、おいしい。トロトロだね」


 極上の笑みを私に向けるナダさん。唇の端に付いた卵を指で拭きとる仕草が色っぽい。


「――ナダ⁉ この野郎!」


 食べられてしまってご立腹なのか、マハロさんがガタンと立ち上がる。


「いつまでも食べないからですよ。お菊ちゃんが可哀想でしょう」

「だからって食べる奴があるか!」


 ナダさんは涼し気な顔で食事を再開し、マハロさんは拳を握る。やっぱり、食べ物の恨みって強いんだね。


「もう、喧嘩しないで下さい。はい、マハロさん、あーん」

「……いや、自分のスプーンで貰う」

「あ、そっか! 好きな量を取りたいですもんね。どうぞ」

「おう。――美味いな」


 美味いなという割にはちょっと戸惑っているような顔。きっと、大人気なかったかな? って恥ずかしがっているのだろう。


「ふふふ、ですよね~。私はしっかり焼いたのより半熟が好きです」

「はいはい、サムさんも!」

「トニーさんはしっかり派で~す」

「双子でも好みが違うんですね」


「そりゃそうだよ。でも、困った事に好みの女性が似ていてさ~。なぁ、トニー?」


「そうそう。ウサ耳で~」

「若葉色の目で~」

「桜色の髪の~」


 へぇ、私の容姿と似てるんだ。他のウサギ獣人さんにも会ってみたいな~。


「「その名も、おき――」」


 ドゲシッ!!!


 最後まで言わせずに、ナダさんとマハロさんが二人を椅子から蹴落す。


「「痛ったーーーっ⁉」」

「お、ちょうど良い所に」

「本当ですね」


 襟首を持って引き摺って行き、戸口から覗いていたトワイフルちゃんに渡している。


「好きにしていいぞ」

「いっぱい運動してきなね」

「ワフ!」


 器用に二人の襟首を銜えると、嬉し気にブンブン揺らしながら去って行く。


「「だ、誰かぁぁぁ、助けて~~~!」」


 その声に応える人はおらず、次々に避けられている。トワイフルちゃんと運動は大変そうだもんね。


 でも、気になる事が一つ。残っているトッドさんに聞いてみよう。


「結局、好きな子は誰なんですか? もしかして、預モン内に?」

「あー……、ほらっ、出まかせだ、出まかせ!」


「な~んだ、嘘だったんですか。でも、どっちを応援したらいいか分からないので、良かったです」


「そ、そうだな。――マハロさん、この子鈍くないか? 無防備過ぎるっつうか」


「あ、ああ。ナダは当てにならんし、俺達でしっかり守ってやらないとな」


 お二人で内緒話モードになってしまったので、私はご飯を堪能していよう。ゲーム内でこんなに美味しいものが食べられるなんて幸せだな~。


 このゲームでは、一日三回の食事と二回のおやつが許されている。お金を使えないから諦めていたけど、食堂のお蔭で格安で食べられる。しかも、今日はマハロさんのおごり。本当、預モンに就職出来て良かった~。



☆= ☆= ☆=



 お昼を終えた私は、早引けして行って来いとマハロさんに許可を貰ったので、早速ギル保の手続きをしにやって来た。やったー! これでリボーン三割引き!


「ギルドカードをお返ししますね。お店で回復薬を買う際は提示して下さい。他にも色々な施設で割引などの特典がありますので、詳しくはこちらの冊子をご覧下さい」


 ナルキさんが渡してくれた冊子と、ギルド保険組合のマークである百合の花が追加されたカードをアイテムボックスに入れる。あとでじっくり見てみようっと。


 それにしても、受付のお姉さんに用件を伝えたら、ナルキさんが来てびっくりした。ギルド長さん直々になんて普通じゃないよね?


「あの、お忙しいですよね? 私、普通の受付でちゃんと待ちますから」

「それはいけません」

「何かまずい事が⁉」


 私がHP2でリボーンしやすいから、騒ぎにならないようにだろうか?


「私がお菊さんに会えないではないですか。愛しい方と会えるチャンスを逃すなど大問題です」


 思わず脱力してしまう。そんな理由だったの? でもなぁ、笑顔が綺麗過ぎて胡散臭い気がするんだよね。じーっと伺っていると、「困りましたね」と苦笑している。


「本当の事なのですけどね。まぁ、すぐに手に入っては面白くないので良しとしましょう。――実はこちらをお勧めしようと思っていたのですよ」


 んん? 独り言だったのかな? 声が小さ過ぎて、「実は」の前がよく聞こえなかった。


「既にご存知かもしれませんが、よろしかったら、こちらのイベントに参加されてみませんか? 『マンドラゴラのかくれんぼ』と言って、リッシュの森で開催されています。手掛かりは揺れる黄色い花です。モンスターが出ないので、お菊さんも探してみてはいかがでしょうか?」


 スッとA4位の紙が差し出される。そこには、こちらを睨むマンドラゴラ? が描かれていた。私はどんなものか知らないけど、話の内容的にそうだよね? でも、マンドラゴラもモンスターにしか見えないけどなぁ。


「モンスターが出ないなら私でも大丈夫そうですね。このあと行ってみます」

「はい。楽しんで来て下さいね」


ナダさんはちゃっかりおいしい所を持って行きますね~。

「あーん」は嬉し恥ずかしですが、ナダさんが使ったスプーンは使いたくないマハロさんなのでした(笑)。


もうちょい投稿します。


お読み頂きありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] なんだろう段々と主人公が幼女に見えてくるんだけどなんでだ、、、、、
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