元勇者と魔王の子
2話目の投稿となります。
今回も面白おかしくを目標に書いてみてますが色々と変だとか思うんですけども知れません。
そこは勘弁してください
さて、あの同窓会の数日後に起きた話なのだが。とりあえずそこから話すとしよう......
まぁなんと言うか、あの衝撃的な出来事のあとに起きたとんでもない出来事を話しておかなくてはならないと思うのだ。
あの、悪夢の様なドルゲと、もはや完全に神に仕える道を捨てた合法ロリ、では無く...いや、全く持ってそうなのだが、取り敢えずここではコスプレイヤーのミリアと言っておく。
後はこの中ではまだマシに感じるフィール。
この3人達との同窓会が終わった後、俺は3人とゲームを何度が楽しんだ。
だけど、ずっとゲームしている事に飽きた俺はその日、ゲームを開かずに外出する事にしたのだ。
まぁ、別にヒキニをしてる訳でもないし全然不自然な事はないのだろうけど。
用もなく外出する事なんてこの生活を始めてから全く記憶にない。
何時ぶりだろうか...なんて事を考えたりもするが、もはや数えるのも面倒なので俺は数えない。
でも何故今外出なのか?と言う説明を簡単に言ってしまえば何も考えずに外に出てみたくなったのだ、これはあの同窓会から影響を受けた俺の心境の変化と言うやつなのかもしれない。
「んんっ......さぁて、どこに行くかな。」
なんの考えも予定も入れず外出した俺はリヴィエールの商店街をそんな事を呟きながら背伸びして辺りを見渡す。
そうしていると俺は、とあるカフェの窓際に座っている少女に目が止まる、いや見蕩れると言った方が正確かもしれない。
目を奪われてしまう様な、又は魅了されたかのような感覚に捕らわれる。
見た目は...まだ高校生くらいだろうか?灰色で長い髪に赤い目をした細身の少女。
俺はその少女を可愛いなぁ...っと眺めていると...。
「.........っ!!」
その女の子は何故か俺と目が合った瞬間に下を向いた。
「..................」
なぜ目を背ける!?俺...あの子になんかしたか?てか、元勇者で避けられるような相手って誰か居たかな.........いや、単純に俺がガッツリ見ていたからだろうな。
そんな事を考えていた俺だが、とりあえず喉も渇いたしカフェに入ってみる事にした。
「いらっしゃいませ〜、お一人様ですか?」
そんな元気のいい声店員の声を聞きながら俺は店に入る。いつも通りの何気無い流れである。だが、そんな流れは次の一言で変わる。
「って、レイス様じゃないですか〜!!魔王を倒した勇者様がこの店に来てくれるなんて...サインしてください!!」
入ってそうそうに店員からサインねだられた、そりゃあ魔王を倒した元勇者が来たのだ、感覚的には有名なスポーツ選手が店に来た様な感じなのだろう。
だが、この対応は俺にとってはあまり嬉しくない対応でもある......なぜと言うならば俺は持て成されると言う行為に飽き飽きしているからだ、だけど...そんな理由で返答や表情を愛想悪くしてしまうのは俺としても気が引ける。
「はいはい、えっと〜......こんな感じでいい?」
「ありがとうございますっ!これ、店に飾りますね!?」
「あはは、好きにどうぞ」
魔王討伐を成し遂げてから、はや1年か...人気ってのは以外と続くもんだなぁっと俺は思いつつ。営業スマイルで対応した。
「ありがとうございます!!では、こちらの席へどうぞ。っと言っても窓際しか空いてませんが...」
店員は申し訳なさそうに苦笑してそう伝えてくる。
「いやいや、俺にそこまで丁寧にしなくて大丈夫だからさ!気にしなくていいよ」
俺はそう返しておいた、さっきも説明したが俺は丁寧に扱われるのに飽きている。窓際の席なんて逆にいい席じゃないか!っと思いながら微笑んでしまうのも束の間、俺は一瞬にして顔を歪めた。
何故かと言うならば、窓際って言葉を俺はまともな思考で考えてはいなかった。
窓際と言うのはつまり、俺がさっきまで通っていた道を眺める形で座る席なのだ。
案の定の事ではあるが店員に案内された席はさっきの少女が居る真隣だった。
そして俺はさらに最悪な事に気付いてしまう。
この少女の事を間近でよく見たら魔王の娘だと言う事に俺は気付いてしまった。
なんで魔王の娘がこんな所に居るんだ?っと思うかもしれないが理由はとても単純明快だ。
彼女自身に魔力は全くと言っていいほど無く普通の人間と全く変わらないからだ。
それ自体は魔王討伐を達成した後に知った事だが、細かく説明してしまうと魔王討伐後に牢獄で彼女を俺は見つけ牢獄から連れ出した、その時は連れ去られた人間の1人だと思い王都にその少女を連れて戻ってきた、と言うだけの話なのだが...どうやら彼女は自分は魔王の娘だと身分を聞かれる際に答えたらしい。
それは彼女自身の口から言った所を俺も聞いているから間違い無いだろう。その時に彼女は魔力が使えず、人間と全く変わらない存在だと答えて証明して見せたうえで、あの牢獄には実の父親である魔王が閉じ込めたと彼女は語った。
その話を聞いた王は暫く考察した後にこの様に語っている。
「魔王は魔力を持たない自分の娘を知られるのを嫌ったのだろう。だから閉じ込めたのだ」と。
そして、彼女を王都は全面的に受け入れ、彼女を王都の民の1人として扱うと王は付け足して王都の人達に公表した。
俺自身もそれには賛成しているし、とやかく言うことも無い。
けれど牢獄に閉じ込められる程の酷い親とは言え、実の父親を殺した俺と会うのは彼女も気まずいのだろうと俺は思った、俺が逆の立場でも気まずいと言うのは考えなくてもわかる事だ。
だから俺は次の様に店員に向けて言った。
「あっ、悪い俺ちょっと忘れ物したから帰るわ。店に入っといてなんか悪いな...?」
俺は申し訳なさそうにしながら言いこの気まずい空間を逃れようとする。
「は、はい...?」
店員は不思議そうにしてはいるがそれを説明している場面でも無いし、そんな余裕は俺には無い。
だから俺はこう付け足して店を後にしようとする。
「いやぁ...ホントにごめんな!また後で来るからさ?」
「分かりました、またのお越しをお待ちしております」
俺は店員の不思議そうな顔をしながら発せられる言葉を聞いて店を後にした。
「すぅ.........はぁぁぁぁぁぁあ.........」
俺からは深呼吸なのかため息なのかわからないような呼吸が思わず漏れてしまう。
「.........帰ってゲームしよ...」
理由も無く外出していきなりこれかよ......
っと思いながら俺は精神的な疲れを抱えながら家に帰った。
「ふぅ............はぁ............さぁてと、誰もログインしてねぇかぁ...なら、ノラパでも探してみっかな」
俺はゲームにログインしたがフレンドは誰もログインしてなかったので適当に野良のパーティを漁りを始める。
「ん〜...いいのがねぇなぁ......俺が募集して見てみるか」
俺はパーティ募集の設定をして、しばらく待って居ると家のインターフォンが鳴る。
【ピンポーン】
「ん、誰だ?宅配とかも頼んだ覚えはないんだけどな......」
俺の家のインターフォンを鳴らすような相手なんて隣人でもあまり無い事なので誰なのか気になって扉の前へ行く。
「おーい!レイスよ、私だフィロリアだ。開けてはくれぬか??」
フィロリアという名前には心当たりはない......俺は誰なのか確かめるべくドアの覗き口を覗いて見た。そしたら、なんという事だろうか......とても信じ難い事なのだが、魔王の娘がそこには居た
「.........なんで俺の家知ってんだよ!?やっべぇ...どうすっかなぁ...これ、多分父親の仇っ!!とか言われるパターンだよな!?おいおいおいおい......」
俺は驚きそのまま後ろ飛びで距離を空け、そんな事をブツブツと言っていた次の瞬間だった。
「出てこぬのなら、こちらから行くぞ!!!【ドーン!!】」
扉壊してきやがったぁ!!?
てか、魔力はほとんど使えねぇんじゃないのかよ!!
俺は思わず近くにあった箒に手を伸ばし身構える。
そして暫しの沈黙の後にフィロリアと名乗る魔王の娘は言葉を発する。
「......レイスよ...」
「な、なんだよ.........」
彼女は俺だと確認すると話しかけてくる。
俺は恐る恐る様子を伺っていると...。
「会いたかったぞぉ、レイス〜!!!!!」
「えっ....会いたかった......?そ、そうか...会いたかった、ねぇ.........はぁぁぁあ!?」
そう言っていきなり俺は魔王の娘に抱きつかれた、一体どういう事なの子全く分からず俺は大声を上げる。
こんな時はスキンヘッドの芸人ではないがこう言いたくなる.........なんて日だっ!!と。
「我はレイスに会いたくて会いたくてなぁ?やっと見つけたぞ勇者〜」
そう言って俺の胸元に抱きついたまま頬擦りしてくるこの魔王の娘に対して俺はどうすればいいのだろう......誰か答えを知っているなら教えて欲しい。
「と、とりあえずだな......この扉どうすんだ?」
あまりの出来事に動揺した俺は何故か扉の心配をしてまう、と言うかこの場面で動揺しない人間など居るのだろうか...。
だがさらに俺を驚かせたのは次のセリフだった。
「そんな事はしらん?レイスが直せ」
流石魔王の娘と言うべきなのだろう、自分で壊しといて悪びれる様子の一つのも無く俺が直せと言うのがこの少女の回答だ。
「あのなぁ...俺ニートなんだけど?働いてないから金は極力残しておきたいと言うか......それより、なんで魔王の娘のお前が俺の家知ってんだよ?しかも会いたかったってどういう要件だ...敵討ちじゃねぇのか!?と言うか、この状況はなんなんだ!!」
俺はこの状況を未だに理解出来ず質問攻めを彼女にしてしまう、だが、彼女から返ってきた言葉は一言でさっきの質問を一纏めにしてしまう。
「そうだなぁ...我はレイスに恋をしたのだ!カフェでレイスを見つけたから後をつけたのだ!!」
驚くべき纏め方だった、ストーカー紛いな事をして、扉を壊し、中半不法侵入の様な行動を取った理由が俺に惚れた。それだけの理由だったのだ。
「あのなぁ.........はぁ...とりあえず離れろ...」
呆れた口が塞がらないと言うのはこういう事を言うのだろう、俺は取り敢えず離れようと考えた。
だがしかし...
「お?レイス!言葉と行動が一致しておらぬ様だが??」
ヒニニ〜って感じで笑いながら俺に抱きついたまま見てくる...我ながら呆れ返ってしまう話だが、俺自身の煩悩ってヤツのせいなのだろう...しばらく女性と触れ合ったことがなかったので抱きつかれて居る相手がストーカー紛いをして不法侵入に近い行動をした魔王の娘でも抵抗することを体が許してくれない。
落ちつけ......俺の体......
「レイスも我の事が好きなのかぁ〜嬉しいなぁ♪」
「んな馬鹿な事を言うな...全く......」
どうにか俺は冷静さを取り戻し肩を両腕で押して離れる。
皮肉なことだが、勇者をしている時に習った理性を保つ方法が勇者をやめた後で役に立つとは俺もびっくりだ。
「はぁ......とりあえず。話は後でゆっくり聞くから日を改めて話そう、だから帰ってくれ」
だいぶ冷静な思考が出来るようになった俺は慌てていても拉致が明かないと考え、日を改めて話し合おうと思いそう告げる。
「ふむふむ...レイスは疲れておるのか?」
なんでキョトンとした顔をするんだ...普通の人間がする事じゃないんだから察してくれと思う...まぁ、それは無理だろう、なぜなら彼女は長い間あの牢獄で暮らして居たのだから。
「あぁ、いきなり扉壊されて恋をしたから押しかけましたァ!!とか言われても困るし、俺はお疲れだ...!」
嫌味ったらしく思わず言ってしまったが......気にしていても仕方が無い、こういう時は素直になるのも一つの手だろう。
「うむ!ならまた後日来るとしよう...その時までに我と婚約する覚悟をしておけよ!レイスよ!」
「そんな覚悟をしてたまるかぁ!」
いくら牢獄にいたからと言ってここまで無知な者なのだろうか...そんな事を考えながらもこの状況に襲われている俺の人生は一体どこで狂ったのだろう......なんて考えも浮かんでしまう。
「では、また会おうぞ!!」
そう言って魔王の娘、フィロリアは嵐の様に去っていった。
扉は立てかけてガムテープで補修しておこう。そして今日はたった1人?の少女の為にかなり疲れた......もう寝るとしよう。
こうして、今日俺が体験した嵐吹き荒れる荒野に何も持たずに立ち尽くすかの様な過激で疲労感満載な1日は終わりを告げたのだった。
今回も御視聴ありがとうございました。
まだまだ至らないことが多いですが頑張っていこうと思いますのでご指摘等がございましたらコメントなどで教えて下さい。