葬式1
俺は死んだ。なら当然葬式も行われるわけで、数日の内に葬式が行われた。
参列者には親戚の他に、部活の仲間やクラスメートが居た。"ほぼ"全員が悲しみに顔を染めていた。"ほぼ"というのは理由があって、1部のクラスメートが悲しそうじゃなかった。
西田、黒川、本田の3人だ。生前でも俺を目の敵にしていたやつらで、表面は悲しんでいるけど、口が笑っている。
お坊さん(日蓮宗らしい)がお経を唱え始めると、ひそひそ何かを話し始めた。
「死んでほしいと思ってたけど、本当に死んでくれるとはな」
「マジそれな」
なんだ、こいつら。死ねって思うまではよくあることだからいいけど、本当に死んで喜ぶとか、人間性が欠けてるんじゃないか?
俺はこれでキレた。キレてしまった。
『ポルターガイスト、起こせないかな』
そう思って置物に触ってみたけど、すり抜けるだけでどうにも出来ない。
なら怨念で寒気でもいいから起こしてやる。
そう思ってずーっと睨み続けていたけど、結局何も起こらない。幽霊の無力さに哀しさすら覚えた。
‥‥‥
‥‥
‥
「これで弔辞を終わります」
弔辞をしたのは父さんだった。
虚しい。ただひたすらに虚しい。俺は睨むのも忘れてそれだけの感情と戦っていた。
『本当に、なんで死んじゃったんだ、俺』
俺がそう悲しんでいたのに、またあいつらが話していた。
「あんな親だからあんなやつが生まれたんだな。ウザイやつだったし」
『──あ?』
「母親もウザイし、ホントに迷惑」
またこいつらは、俺の両親を貶めるのかよ。
もう一度俺はキレた。仕方がない。親を貶められたんだから。
『なあ、ひとの葬式でなにやってんだよ?』
「桔梗?!」
あいつらは俺の、怨念?を感じたのか青くなってこっちを見てきた。
『ねえ、なにやってんのさ?』
「き、気のせいだよな?」
「あ、ああ」






