初めてのクエスト受注しました
2ヶ月更新せずすみません。
仕事がばたついてしまって、遅くなってしまいました。
ゲームの世界に初めて入った日の翌日。
あの後、授業が始まる前の休み時間に色々と今後について考えてみた。
結果:わからんわ。
結局、いくら考えてもファンタジーに生きる人間でない私ごときにこんなキテレツな現象をどうにかするなんてできんよ。
一応、3人寄ればなんとやらという思いで学校の友達にこの事を相談した。
あんにゃろう共、『あんたついにおかしくなったか』とか言ってきおった。
確かに急に『ゲームに入れるようになっちゃったんだー、てへっ☆』とか言ってるやつは、十中八九頭がいかれてると思うよ。
言った本人でもいかれてると思ったもん。
でもついにってなんだよ。
私って常日頃そんなに頭おかしいことしてますかねぇ!?
やたら同情の視線が飛んできてなんか悲しくなったわ!
その日1日中友の言葉に傷付けられた心を癒すためと頭のおかしい娘認定されたイライラを晴らす為、私は再びゲームの世界に入ることにした。
考えたって解決策が見つからないならビビることはない!
家につくなり自室へ行きPCの電源をつけ、ゲームを起動。
起動した瞬間、またもや光が私の部屋を飲み込んだ。
怖くなんかないわ、バッチこい!
光に飲み込まれる中、こんな声が聞こえた。
-―『ファンタジアル・オンライン』へようこそ――
それは、昨日テンパってて聞いていなかったアナウンスだった
そう言えば、そんなタイトルだったなぁ。
目を開けると、昨日の森ではなく街に出た。
「ここは………、始まりの街?」
昨日の目的地に出たらしい。
始まりの街はゲームを始めたばかりの人達が最初に集まる街で、大体レベル20位までが集まっている。
20を越えると新しい街への案内が出るから大抵の人はそっちに行ってしまうこともあって、高いレベルでこの街に留まる人は中々いない。
街は洋風の様々な建物が建ち並んでいる。
大抵はレンガ造りの建物ばかりで、木造等はあまり盛んでは無いらしい。
ヨーロッパ辺りの町をモチーフにしてるのかな?
まるで現実の海外に行ったような気分だ。
ゲームの中の街に入れてなんだか少し嬉しい気持ちが沸いてきた。
折角ゲームの中に入ったんだから、何かクエストやってみようかな。
ちょっと浮かれた気持ちでクエストが集まっている掲示板へ向かった。
この始まりの街の中心には、この街て扱っている全てのクエストが飲み込んだ載っている巨大な掲示板がある。
ギルドとかの建物が無い代わりに受付嬢のお姉さんが掲示板の前に作られたカウンターにいっぱい並んでいる街一番のエリアである。
討伐クエストや採取クエスト、NPCから頼まれる個人クエスト、通称『お使いクエスト』等のクエストが集まる巨大な掲示板。
そこに行けば何か良いクエストがあるかもと見ていると、ちょっと気になるクエストがあった。
「フェザードラゴンの討伐?」
そこには一体のモンスターの討伐クエストが張り出されていた。
「こんなモンスターは聞いたことないなぁ」
私がこのゲームをやめて2年ぐらいの間に、結構新しいモンスターとか増えていたらしい。
その一体が恐らくこれ。
まぁ、それは増えるよね二年も経てば。
名前から察するに鳥みたいな羽が生えたドラゴンでいいのかな?
しかし、私が気になったのはそこではない。
私が気になったのは、クエストの難易度。
当然ながら、このゲームもクエストによって難易度が別れる。
初心者から駆け出しのプレイヤーが集まるこの街は、それなりに低い難易度のクエストが多い。
1~13の難易度で数字が低いほど難しく、その上に0クラスという超高難易度クエストがある。
しかし、このクエストは難易度がちょっとおかしい。
この街のクエの難易度は、13~11くらい。
対してこのフェザードラゴン、なんと6。
これバグか?
6だとレベル60後半からじゃないととてもじゃないがダメージも通らないし、一撃であの世行きな強さ。
11から6までの間にはそれほどの差があるんだけどなぁ。
まぁ 私なら多分狩れると思うけど、これ誰もやりたがらないでしょ。
他人に聞かれたら只の嫌味だなこれ。
やってみる価値はあるかな。
ゲーム内での体の動かし方の練習にもなるだろうしね。
歩行等は現実と体の動かし方に違いはないけど、武器とかはどうなのか気になっていた。
よしやろう。
クエスト受付嬢のお姉さん、よろしくお願いします。
とクエスト受注して意気込んでいたところに、
「おぅ、ねーちゃん。やめときな」
と見た目おっさんプレイヤーが話しかけてきた。
スゲー、文字じゃなくて声で聞こえる。
「あんた、この街拠点にしてんなら始めたばかりかそこらだろ?悪いこたぁ言わねぇ、やめとけ」
いや、始めて3年くらいやってるんですけど。
ブランク込みで。
「こいつは名前だけで惑わされんな。マジで危ない。何せ難易度6だ。回復ポーションが何個あっても足りんよ」
多分、1すらもダメージ負わないと思います。防御カンストしてるんで。
「見たところ、その装備なら剣士ってところか。だったら今のうちに次のジョブを考えておいた方がよっぽど良い。初期職ならなおさらこいつは無理だ」
一応最終職の魔導騎士なんですけど。
装備は仕様がないでしょ、こういう装備なんだから。
てかこれグラフィック変えてるだけだし。
むしろ気に入ってるんだよ、文句あるか。
なんて失礼なおっさんなんだか。
「俺からの忠告は以上だ。どうしてもというなら止めんがな。じゃあな」
そう言っておっさんは去っていった。
なんだったんだ一体……。
めっちゃこっちの事をべらべら喋ってたけど、おっさんのジョブの方があたしより低いじゃん。
騎士だったし。
クエストに関係あるNPCなのかな。
一応、このゲームの基本的な事を思い出しておこうかな。
あのおっさんの言っていたジョブというのは、所謂職業の事を言う。
おっさんのジョブは騎士という剣士の派生職で、剣士の次のジョブ。
剣士とは、最初にプレイヤーが選ぶことになる職業選択の1つ。
1つは剣士。
物理攻撃を基本とするジョブ。
もう1つは魔法使い。
魔法攻撃を基本とするジョブ。
私が初めてゲームの中に入ったときの杖を選ぶか、剣を選ぶイベントの際に決まる。
私は剣を選んだのでめでたく剣士になった。
そして今の私は剣士の派生の魔導騎士。
これは騎士の一個上ではなく、剣士から魔法剣士というジョブを経由したもの。
これはいわば特殊な転職なので、少しというかダルいくらい面倒くさい。
まずこれは剣士のレベルを100に上げなければいけない。
要するにレベルマまで転職せずに。
これが大変面倒くさい。
剣士は初期職。
つまり、序盤の序盤になるジョブなので、大変弱いのだ。
このゲームの転職イベントは、一定のレベルの時や一定のステータスにならないと変えられない。
例えば『剣士レベル10』の時に『騎士レベル1』の転職イベントが来る。
ここでレベル10の間に騎士にならないと、剣士のまま別のジョブの転職イベントが来るまで転職は無し。
つまり、弱い剣士のままでいなければならない。
それが嫌だから皆転職する。
まずここでほとんどの人はやめる。
次に、このジョブはレベル50を超えてから強くなる。
剣士の状態でレベル50はしんどい。
ホントしんどい。
この気の遠くなるような作業でまたやめる人がちらほら。
最後にレベルマしても、さらに指定された魔法10種類。
しかも最上位魔法なのである。
レベル100になると、魔法使いへの転職ができる。
但しレベル1。
つまり、1から上げて育てた剣士を一回封印し、また新しく魔法使いからやり直さなくてはならないという地獄の作業。
更に魔法使いにも色々なジョブがあるため、覚えなければならない魔法が使えるジョブに就かなければならない。
魔法もジョブレベルMAXが前提のものが多いので、必然的にレベルマしなくてはならなくなる。
ここまでくると、みんなやめている。
ゆえにこのジョブは半ば都市伝説と化してるぐらい有名だが信じられていないのである。
しかし私はやり遂げた。
逆に言うと、これしかやり込めそうなものがなかったから。
悲しいーーーー!
しかし、それ故に魔法剣士・魔導騎士は、全ての魔法と全ての剣士からの派生のスキルを覚えられるという、つまり全てのスキルが使い放題という、頑張ったからこそのとんでもないご褒美がある。
さらに、今までのステータスをそのまま引き継げるので、全てカンストするほどまでに成長する。
まあ他にも色んな固有アクションがあるんだけど説明はまた今度で。
要はこれがフェザードラゴンを狩れると思った理由。
あのおっさん、おそらく鑑定眼無さそうだな。
人を見た目で判断しちゃいけませんぜ。
……なんか嫌な予感するな。
次回は、クエストエリアまで向かう話になるので、また主人公の一人語りだけになります。
登場人物少なくてすみません……。