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あれから七年……
「もう七年か……」
俺は弘法様を眺めながら、一人黄昏ていた。
早いもので、あれから七年の月日が流れた。
眠りについてから弘法様は一度も起きることはなく、眠り続けている。
起きていたら騒がしい奴だった。だが、いないと寂しいものだ。
「パパ、どうしたの?」
黄昏る俺に、幼稚園生ぐらいの女の子が駆け寄ってくる。
「いや、なんでもない」
言い忘れてましたが、俺結婚しました。相手はもちろん佐知香さん。
佐知香さんは結構な上流階級の人間で、婿養子という形での結婚でしたが、お義父さんもお義母さんもよくしてくれた。それに娘である道可も生まれた (今年で四歳になる)
とても幸せなのだが、自分の心にぽっかりと穴があいたみたいな気分だ。
(弘法様……)
『また弘法様と話がしたい』 俺はそう思いながら、弘法様を眺めるのだった……。
終わり




