再生開始。でも、ちょっと違うんじゃね?
なんやかんやで破壊神の再生作業が始まったのだが。
再生方法は、まず三十人が破壊神の前に立つ。
そして、その人達が自分の元々の姿を頭の中で思い浮かべる。
思い浮かべた人達に破壊神が光線を浴びせる。
すると、青白い球体だった人達は元の姿に再生。
……という流れで行われる。
◇
破壊神はジャンジャンバリバリ蘇生させまくった。
破壊神の作業効率は良く、既に犠牲者の半分以上が蘇生していた。
もうじき俺の順番が回ってくる。そんな時に、ある問題 (?) が発生。
それは……。
「おい、春一。どうしたんだその顔!?」
「男前だろ♪」
どういう訳か本来の容姿と異なる容姿の者が現れる (しかも、本来よりも美化されて)
「破壊神様、これはどういうことですか?」
春一とかいう男の友人が破壊神に手を挙げて質問する。
確かに疑問に思うのももっともだが。こういう場合の原因はエラー。
工業製品で言うところの不良品といったところ。早い話が失敗作だ。
そう考えるのが妥当だろう。
ところが原因は全く異なっていた。
その原因は……。
「それは想像した人がそうなりたいと妄想したからだ」
「なんですとーーーー!?」
なんと、妄想した方に問題があったのだ。
「じゃあじゃあ。蘇生する際に男前になりたいと思えば、男前になれるの?」
「そうなりますね」
「「「「なんと!?」」」」
みんなビックリ。揃いも揃って口あんぐり (まぁ、当然と言えば当然だが……)
ショックを受けている者も多かったが、そのショックを受けている者は……。
「なんてこった!!」
「俺も色男に想像しておけばよかった!!」
この様に、蘇生してもらった者達が嘆き悲しんでいた。
「破壊神様、もう一度やり直してくれませんか!」
既に蘇生されているにも拘わらず、図々しい男が破壊神に再生し直してくれと頼む。
「そりゃあ無理だな」
しかし、即答で断られる。
「破壊神様、なぜですか!」
当然この男が納得しなかったのは言うまでもない。これに対して破壊神の返答は。
「だって、僕がは。作り直せるのは、死んだ動物だけなの」
てな理由で破壊神は作り直しができないらしい。
「そ、そんな……」
破壊神の返答に、蘇生された皆さんは落胆して力が抜けるようにへにゃへにゃと膝を地面に着ける。
「じゃあ、死んでいれば、再生し直せるだな」
「まあ、そうだけど」
「よし分かった!」
この男、何を思ったのか、口から舌を突き出した。
「あ、一応言っておくけど……」
「ガブッ!」
破壊神はなにか言おうとしたが、その前に男は自分の舌を噛み切った。
「これで理想の自分になれる!」
そう思い、男はガッツポーズを取るが……。
「言い忘れたが。僕は一回蘇生させた生物は蘇生できないよ」
「なにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」
昔から 『人の話しは最後まで聞け』 とは言いますが。この男は最後まで聞かなかったせいで、哀れな犬死となった。
「「「「うーん……」」」」
自業自得とは言え、死んでしまったこの男が少々不憫に思えた俺達は、この男を供養してあげることに……。