運命の人
佐知香さんのことを思い出そうと彼女を見詰めながら記憶を振り返してみる。けれども思い出せない。
そんなことしてると……。
「あっ!」
「あ!」
目線が合っていまう。
(やばっ!)
これは非常にまずい。
こういうパターンは嫌な目で見られるか、それが違えばキモい扱いされてボコらりるか。そのどちらかだ。
(どうしよう……)
困ったものの、すでにやってしまったこと。後悔先に立たずだな。
「ダラダラ、ダラダラ……」
俺は体育の授業でもないのに汗が出た。それもスポーツした時に流れる爽やかな汗ではない。冷や汗だ……。
「キラーン!」
佐知香さんの瞳がキラリと光った。それは捕食者が獲物を狙う時の目ととてもよく似ている。
「!」
佐知香さんは標的に向かって飛んでくる弾丸の如く、ダッシュで向かってくる。
まずい。これは後者のボコられるパターンだ。
逃げなくてはと思った。けれども蛇に見込まれた蛙のように足が竦んで動けない。
「!」
そうこうしてるうちに彼女は俺のすぐ目の前まで来ていた。
「ギャワッ!?」
彼女は俺を押し倒してマウントポジションを取る。
(まずい! やられる!?)
恐怖から目を閉じ、やられる覚悟を決めるが。
(……あれ?)
どういう訳か何もされてない。
そこで恐る恐る目を開けてみると。
「じーーーーっ」
佐知香さんは俺の顔を見詰めていた。
「……あのぉ」
訳が分からなかった俺は、佐知香さんにおどおどしながらも声を掛けようとするが……。
「思った通り♪」
「へっ?」
彼女が頬を赤らめる。俺は理解ができずに戸惑った。
「佐知香の運命の人みいつけた♪」
「えっ?」
彼女のトンデモ発言に、俺は驚きの声を上げる。
「あの時は助けてくれてありがとう♪ チュ、チュ、チュ!」
「ヒェ~~~~!?」
驚くのも束の間。佐知香さんは俺の頬にキスしまくってきた。こうなると何がなんだか分からずにパニック状態。頭もアッパラパー。
「ブチュ~~~~~~!」
「~~~~~~ッ!?」
そしてトドメと言わんばかりに濃厚なディープキスをさせた。




