助けてあげますよ
「「「「ハァ! ハァ! ハァ!」」」」
破壊神を殴り続けること九分。どんだけ殴ってもダメージを受けないばかりか、痛がる素振りもみせない。
殴り疲れた人達は破壊神を殴ることをやめてしまった。
「「「「ハァ、ハァ、、ハァ……」」」」
けれども、息を切らせてはいるものの、少し落ち着いたようだ。
「そもそも、なんでそんなに怒っているの?」
「「「「……」」」」
それに加え、破壊神の問いかけが皆は呆れて言葉を失う。
「ねぇ、なんで怒ってるの?」
しかし、破壊神はそれに気づかずになんでも知りたがるちみっ子のようにしつこく質問した。
空気の読めない奴だ (コイツは無知なのか?)
「それはお前が俺達をぶっ殺して、こんなボール玉みたいにしたからだ!」
「そうなの?」
「「「「そうだ!!」」」」
皆が声を揃えてそう言った。
すると破壊神は……。
「なぁんだ、そんなことか。それなら僕がみんなを蘇らせてあげるよ」
「「「「なんと!?」」」」
破壊神のトンデモ発言に、皆は大きな驚きの声を上げる。
「そんじゃあ、まずはキミから!」
唖然とする人達をよそ目に、破壊神は一人の男を無作為に選ぶと、赤い光線を放つ。
「おわぁぁぁぁぁぁ!?」
光線を食らった男は悲鳴を上げるが。
「あれ? 痛くない」
まるで怪獣の光線みたいな勢いのある光線だったが、痛みはないらしい。
「お、俺の肉体が!」
光線を浴びること五秒。男の肉体が瞬く間に再生する。
「おぉぉぉぉぉぉ!」
この光景に皆は度肝を抜かれる。
「こんなもんでいい?」
そう言うと破壊神は超能力者が物を宙に浮かせるかの如く、瓦礫の中から鏡を宙に浮かばせて蘇らせた男にポーンと渡す。
「はい……これでいいです」
男は目の前の現実が信じらんないようで、やや放心状態。
「「「「!」」」」
それを見た皆さんは、まるでバーゲンに押し掛ける主婦のようにザァーーッ (ゴロゴロ?) と破壊神に詰め寄る。
「私が先よ!」
「俺が先!」
「破壊神様、僕を一番最初に再生してください!」
みんな押し合いへし合い。
我先に蘇生してもらおうと、揃いも揃って他人を思い合う気持ちを忘れて破壊神にお願いした。お蔭でもみくちゃ状態。
「まあまあ落ち着いて。みんなちゃんと蘇らせてあげるから」
「「「「本当ですか?」」」」
「勿論のこと! 僕ちゃん嘘言わない」
「「「「流石は神様だ!」」」」
破壊神の一言に、皆は安心する。
単純な人達だな (呆れ)
「でも、一人ずつやってると時間が掛かるから、三十人ずつやろう」
「「「「分かりました」」」」
かくして破壊神の再生作業が始まるのだった。