交渉
脱退希望者を思いとどまらせようと交渉は続く。
「では聞きますが。脱退した後にどうする気ですか?」
公証人が口を尖らせて、脱退希望者に質問した。
「決まっている。最強獣の仲間にしてもらうのさ」
脱退希望者の一人が強気にそう言う。
「「なんだと!?」」
公証人の二人がの驚いて、目をぱちくりさせる。
「正気なの!」
ごつくてがたいのいい女が一人、脱退希望者に言葉のトーンを強めて怒鳴る。その様子から察するに。かなり怒ってる模様。
「どうせ戦ったって、また負けるに決まってる。ならば戦うのはよして奴らの傘下に入るのが得策だ」
一方、脱退希望者も言い分があり。それを全面に主張する。
「うーん……。そうかも」
筋が通っていたので、公証人が丸め込まれそうになる。
「じゃあ、俺達は東山に向かう」
「止めてもムダだからな」
そう言い残すと脱退希望者十数人は、東山に向かって歩き始めるが……。
「東山に行ったところで、最強獣がキミ達を仲間に入れてくれるとは限らないけどね」
やる気無さそうな男性がそう囁く。
「「「「うっ!」」」」
その一言に脱退希望者達の足が止まる。
「それに義勇軍だった人なら、会った瞬間に撃ち殺されるかも」
この男。立ち止まった脱退希望者に、更なる一言。
「「「「うっうっ!?」」」」
立ち止まった脱退希望者の額から冷や汗がダラダラと流れ落ちる。あの顔から察するに、自分達がやられる姿を想像したようだな。
「脱退するのはしばらく延期する!」
「「「「うん!うん」」」」
脱退希望者はダッシュで戻って来ると、脱退することを (一応) 考え直す。
「スゲーな青月 脱退希望者を思いとどまらせるなんて」
「そうだわ、そうだわ」
青月とかいう男は、他の仲間から賞賛を受ける。
「別にオラは大したことしてねぇよ。ただ思ったことを言っただけさ」
だが、当人は至ってドライ。謙遜気味に素っ気ない態度で振る舞う。
だけど俺には、その態度が実力を隠した切れ者に見えた。いわゆる 『能ある鷹は爪隠す』 と言うやつだ。
そんな彼を知らず知らずのうちに尊敬の眼差しでチラ見してた。




