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始動?三下の無計画な振り返り

説明回的な…

「朝だ」


「朝ですね」


 俺が起きるとすぐ近くに丹逢がいた。

 彼女は昨日死んでしまい幽霊になったのだ。

 それで未練を無くすために今現在俺と行動している。

 まぁ、漫画とかでよくある展開だ…異世界じゃなかったら。

 そう、ここは俺たちが勇者として召喚した世界なのだ。

 まぁ、俺は勇者とかの主人公的な存在では無いけど…。


「おはよう、とりあえず着替えるから後ろ向いていてくれ」


「はい」


 丹逢は一度お辞儀して後ろに向くのではなく部屋の扉をすり抜けて出た。

 この光景は最初は見慣れなかったが、よくよく考えると兄からよく聞かされた話だ。

 兄は昔から霊感があり、俺と同じで特殊な力を持っていた。

 しかし、もう会うことは出来ない人だ…。


 因みに俺にも特殊な力があると言ったが、それは俺には人の役割を見ることが出来るのだ。

 それはある意味では運命を見ると同義の力である。


 例えば、ある人に『不幸』という役割が出たとしよう(中学の時の同級生にいた)。

 その人はまるで狙ったように大事な時にシャー芯を落として間違って踏む。

 席替えはいつも好きな人から一番遠い。

 クラス替えも言わずもがな。

 急いでいる時の人口が多くて遅刻常習。

 突然、商品棚が崩れて弁償…。


 などと悲しい結末もある…。

 あの人どうしてるかな…よく愚痴を聞いた…。

 などと、元の世界の人間を思い出す。


 そうこうしているうちに着替え終わる。


 ー念話の魔眼を実行しますー


『聞こえるか?

 取り敢えず、着替え終えたぞ』


 俺は神?に貰った能力を使って丹逢に呼びかける。

 ここで大きな声で呼んだら、ただのイタイ人である。


「あれ?

 威堂さんの声が頭に…あれ?

 取り敢えず、わかりました」


 ドアの外から声が聞こえる。

 実際、幽霊は振動で音を伝えてるわけでは無いので聞こえて当然である。

 しかし、俺には幽霊と同じ原理の会話が出来ない。

 故に貰った能力頼りになってしまうのは仕方ないことだと思う。


 少しすると丹逢が部屋に入ってきた。

 丹逢は腰掛けられる椅子を見つけて座る。

 しかし、スルッとすり抜ける。


「あれ?

 やっと、あれ?」


 何度か試すが、やはりすり抜けるようで何度も首を傾げている。


「あぁ、幽霊は完璧に無意識下に認識している床だから立つことが出るんだ。

 椅子などの場合だとコツがいるらしいぞ。

 確か、イメージがあるとか何とか…。

 まぁ、どちらにせよ本当に寝たり座っているわけでは無いから気分らしいけど…」


 俺が助言すると、丹逢はうーんと考えた後にきっぱりと諦める。

 どうやら、わからなかったらしい。

 俺も受け売りだからなんとも言えないけど…。


「それで、話を昨日のに戻しますけど、どうして私が見えるんですか?

 そして、魔眼って何ですか?」


 その話になり、俺はやっぱりかと思う。

 説明するなら簡単だが、事情を説明するのは少し面倒だ。

 まぁ、話すと決めたわけだし話すことにしよう。


「そうだな、なら少し長話になるけどいいか?」


 丹逢が頷く。

 俺はそれを見て、回想を始める。


 ************


 疑問に思ったのは一週間前のことだ。

 まぁ、要するに召喚されて次の日くらいだろう。

 俺はちょっと、とある疑問と違和感が覚えて歩き回っていた。

 ふと見た兵士をまじまじと見る。


 ー解析を実行しますー


 ー解析完了しましたー


 ー解析結果を表示しますー


 その度にこの声が聞こえて、ステータスが見える。

 全ての兵士は俺の低いステータスの四倍くらいで収まっている。

 しかし、この能力が何なのか全く分からない。

 そうして、訓練に参加して1日を過ごした。


 次の日


 俺は訓練でも少し違和感を覚えた。

 それで、ちょっと朝練している団長さんを見つけて手合わせをしてみた。

 因みに俺の低いステータスの十倍である。

 圧倒的だった。


 しかし、俺は拍子抜けした。

 動きが遅すぎる。

 これだったら師匠の方が強かった気がする。

 いや、俺の体の早さが変わっているのだ。

 団長さんに俺は言われた。


「何でお前が落ちこぼれで収まっているんだ?」


 俺は少し驚いた。

 こんな落ちこぼれステータスでそんなこと言われたのは初めてだから…。

 見る人には軽蔑や哀れみがあったりしているのに…。

 そうして、俺は自主練をして今日を終えようとしたが、俺と同じように落ちこぼれ認定を受けている後藤を見つけた。

 俺は追いかけてみると図書館、別名書庫に行っているようだ。

 そこで、後藤はいくつもの本を読んで情報収集をしていた。

 理にかなっていると思い、話しかけて俺もそれに混ざった。


 次の日


 俺は団長さんに頼み、後藤に少し難しい訓練を自主学習の時間にしてもらえないか頼んだ。

 最初は渋っていたが、後藤が普段夜遅くまで書庫に出入りしていることを言うと許可をしてもらえた。

 俺もそれに混ざり、情報収集をしていたが脳が一度パンクしかけた。

 死にそうな程の痛みが俺に走って悶え苦しんだ。


 ー精神の安定、思考の整理を実行しますー


 と聞こえた直後、俺は落ち着いた。

 その後何事もなく、いいや、明らかにさっきより物覚えがいいような…


 次の日


 今日はそろそろ前に進むために俺は石凪達を尾行して、動きを見ていた。

 逃げてばかりは嫌だ。

 俺はあいつらの戦力などを分析した後に再び団長さんの朝練に付き合った。

 恐るべきことに前より格段に強くなっていた。

 笑いながら負けてばかりじゃいられねえと言った時は寒気が走ったほどだ。

 まぁ、要するに何事も起こらずに1日を過ごした。


 ーR0からR1になりましたー


 夜に聞こえたあの声は何だろう?


 次の日(2日前)


 俺は朝起きて、自然とステータス確認をした。


 ーメッセージを受信しました強制的に表示しますー


 メッセージ?

 俺は疑問に思いながら表示されるものを見る。


『突然のことで驚いていると思いますが、私はあの時あなたとお話しさせて頂いた神です。

 あなたには三つの力を授けさせていただきました。

 一つは『身体解放』です。

 あなたにあった制限を取っ払ってくれる力です。

 次に『精神・思考・整理・安定』という能力となります。

 その名の通りの力なので説明は省かせてもらいます。

 そして、最後は『夢幻の魔眼』です。

 教えるより感じた方が分かると思います。

 以上の三つがあなたの能力です。

 頑張って下さい』


 ************


「そして、今に至る訳だ」


「何となく…わかったような…わからなかったような…」


 丹逢はこめかみに手を当てて考えるが、きっぱりと諦める。


「まぁ、丹逢を見ることができるのは『霊視の魔眼』のおかげなんだ」


 そう言って俺はステータスを開く。

 それを他人にも見えるように少し工夫を加える。


 ーーーーーーーーーー

 威堂 天津 LV3 R1

 職業 なし

 MP0/0

 SP689/871

 str43

 vit31

 agi46

 int179

 men145

 luk150


 低位ロースキル

 なし


 スキル

 なし


 夢幻ファンタズムスキル

『身体解放』

『精神・思考・整理・安定』

『夢幻の魔眼』

 ーーーーーーーーーー


「すごい、知らない表示が大量にあります」


 丹逢が驚いて目を見開いている。

 しかし、どこか眼の奥には好奇心が宿っており興奮しているのがわかる。


「説明を続けていいか?」


「はい!」


 凄く食いついてくる。

 まぁ、それくらいの方が説明のし甲斐がある。


「んじゃ、まずは一番説明しやすい低位ロースキルの説明をするか…。

 このスキルは本来、些細なものの才能になるものなんだ。

 例えば、『基礎系統生活魔法』や『家事』などのあまり表にならないような能力ばっかりだ。

 本当に些細なスキル補正だから誰も気がつかないくらいの低いスキルなんだよ」


「ということは威堂さんの場合…」


「一切の恩恵を受けていないということになるな」


「何かすごいです」


 そんなに凄いことでも無いんだけどな〜。

 まぁ、褒められて悪い気はしないしいいか。

 さらに付け加えるなら、このスキルが一番入手しやすい。

 難易度も低くて、少しでも相手に差をつけることが出来る。

 入手出来る人が羨ましい限りだ。


「次、説明するけど構わないか?」


 丹逢は大きく頷く。

 はしゃいでいて可愛い。

 けど、やはり死んでしまったのが悲しいな…。


「次はというか、これが実質最後なんだが、RとSPそれと魔眼の説明かな。


 魔眼の説明からするけど、これは俺が与えられた。

 チート?というのかな?

 これの殆どがほぼノーリスクで使うことが出来る。

 特に俺の魔眼はこの世の全ての力を使えると言っても過言は無い。

 危険なものから安全なものまで全部ね…」


「それって、凄くないですか?」


 確かに凄い。

 しかし、これにはある危険が伴う。


「ただし、今の自分に見合わない魔眼を使えばそれだけの苦しみを味わう。

 死ぬことは無いが、場合によっては廃人コースになる」


 それを聞いて丹逢が息を飲む。


「で、でも確か『精神・思考・整理・安定』だっけ?

 それがあれば…」


「それでもだ。

 確かに廃人脱却にはなるが、ペナルティ時間みたいなものがあってな、その間は正気を保ちながらとんでもない苦しみを延々と味わうことになる」


「それって…」


 想像したのか辛そうな表情になる。

 実際、かなりの辛い所業を強いられるだろう。


「見合っているか、見合っていないかはRの部分で把握するんだよ。

 Rが高ければ高いほど、魔眼の使える数や同時起動数が増えるんだよ」


「ていうことは、R1に見合った能力しか今は使えないってことですか?」


 俺は頷く。

 俺の能力はLVを重視するより、Rを重視するのだ。

 確かにLVは必要な指数だが、Rでも一定のステータスが微量ながら上がることを確認している。


「最後にSPなんだけど、これは霊力と呼ばれているな…。

 まぁ、呼び方はスピリットポイントなんだけど、別名は霊力だな。

 これはMPの代わりで一定の魔眼を使用する際に使用する。

 例えば、さっき使った『念話の魔眼』とかだな」


「最早、何でもありですね」


「それを言うな…俺が一番気にしている」


 これでも大分無理しているのだ。

 例えば、後先考えずに自分に見合っても同時に複数使う限界量を越して使ったのだから…。


『炎の魔眼』『氷の魔眼』『達人の眼』『速の眼』などを使った所為でかなり辛い思いをしたものだ…。

 炎と氷は分かるが、最初の頃は達人と速は分からなかった。

 しかし、それを知った時、俺は詐欺だと思った。

 確かに魔眼と指定してもいいのかもしれない。

 ただ、眼の種類を変えることによって自分そのものの性質などを変化させるのだ。


 要するに、眼はおまけである。

 おそらく、『夢幻』の部分はそこから来ているのだろう。

 全く、ほかのしっかりとした魔眼に謝れと言いたい。

 まぁ、そのおかげで闇死神ダークリーパーの時は助かったのだ…。

 感謝をすれど、文句を言うつもりは無い。


 実は『夢幻の魔眼』にはもう一つデメリットがある。

 例外を除いて夢幻ファンタズムスキル未満のスキルを取得出来ないのだ。

 俺にスキルが無い真の理由はそこにあったのだ。


「それで、どうするの?」


「何をだ?」


 丹逢が俺に心配そうな表情で見てくる。

 今の話の流れだと、何の話だろう?

 と俺は考えるがさっぱり分からない。


「だから、紗香ちゃんのこと…」


「…」


 ……


「あの、聞いてますか?」


「……」


 ………


「まさか、何も考えずに運命を変えるとか言ったのでは…」


 俺はゆっくりと頷く。

 その瞬間、丹逢がため息を吐く。


「それでどうするのですか?

 この調子じゃ出来ませんよ…」


「だ、大丈夫だって」


 俺は携帯を手にとって時間を見る。


「行くぞ」


「どこにですか?」


 今の時刻は大体12時くらいだ。

 昨日のこともあり、暫くは訓練は休みらしい。

 それでも半数以上は鍛錬するか、ご飯を食べるために外に出るだろう。

 危険な状態な奴は全員、確実に引きこもっているはずだ。


「何って情報収集に決まってるだろ?」


 俺は部屋を出る。

 まずは一歩…それで充分だと俺は思う…。

今回はあまり話が進んでいません。

これで、なんとか疑問などを解決出来たと思います。

さて、今のところ勇者達はそれらしい行動を取っていませんが、これから先(多分ずっと先)で取ります。

読んで頂きありがとうございます。

面白いと思って頂けたなら幸いです。

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