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さんしょくし!  作者: 赤井つばさ
三日目
29/33

第二十八話 作戦開始の合図ですか?

「いきこんでた割に、逃げてばかりじゃないか」

「どうしようか、模索中なだけだ」

障壁のおかげで銃撃を防げているが、おそらく騎士の攻撃を防げない。

というのも、この障壁、銃弾を受けたところに小さなヒビが入っている。この障壁は、弾を防ぐのにギリギリの強度なのだ。



「確かに怯えながら逃げているようじゃなさそうじゃな」

「分析が大事って教わったからな」

騎士の攻撃が障壁当たらないようにギリギリの距離をとる。

離れすぎては、戦意がないとされる。だが、近づきすぎると今度は攻撃を避けきれない。

一発ランスが迫る度に、肝が冷える。

「ちょこまかと、、」

「細かい芸ができるようになったんだぜ。これが成長期ってやつかなー、じっちゃん」

「ふんっ!いくつになっても成長期だわい」

横なぎをバックステップで避ける。

だが、後ろで衝突音がして、障壁が移動しなくなる。

「壁に追い込まれたか、、、!」

「終わりじゃァア」

「横がダメでも上がある!」

粒子を噴出させ、一気に上に飛ぶ。

地面から離れると半円状の障壁が完全な球状に変化する。

同時にカンカンと銃弾が弾かれる音がする。

音のした場所を見ると新たなヒビが二つ入っていた。

ーーーーそのヒビは、最初のヒビより大きいものだった。

「、、、、、まずいっ」

急いで武装に粒子をため、噴出する。

三発目の銃弾が障壁に当たった瞬間、パリンとガラスの割れる音が聞こえる。

貫通した銃弾が足をかする。

地面に着地すると、再び半円の障壁が現れる。

障壁を出現させるのは、ロロジイだ。

そのロロジイに、モニター越しに俺を見ているスーちゃんが記号が出るお札で合図を送っている。

しかし、再び銃弾の跳ね返る音がして、三発目にパリンと割られる。

その直前に加速して、銃弾の直撃を避ける。

「その結界を使っても無駄なようじゃの」

今度は騎士に急接近する。

騎士の近くなら銃撃はしにくいはず、、、

「分析とやらは済んだのか」

「順調にしている最中だ、騎士さん」

頭めがけて、ハイキックする。

盾で守られるも、間髪いれず高速で足払いをする。

これを見破られ、盾を地面に刺し防御される。

騎士は、そのまま地面を抉りながら、盾で殴ってくる。

「があっっ」

無理矢理な動きだ。パワフルすぐだろ、おじいちゃん。

体が宙に浮く。障壁が現れると同時に、銃撃がされる。

二発目がくる前に体をムリヤリ捻り、地面を蹴って、武装の力を借りながら、横っ飛びする。

今度は、貫通した銃弾が完全に外れる。

、、、、息つく暇もないな、、止まったら終わりだ。

ムリな姿勢で飛んだため、着地がうまくいかず、地面をゴロゴロと転がる。

何回か回転し、勢いが少し弱まったら、地面を寝たまま蹴り、斜め前に飛ぶ。

直後、自分のいた場所に銃弾が撃ち込まれる。

、、、あぶねぇーー

空中で武装のジェット噴射で体勢を整え、再び騎士に上から突っ込む。

俺の蹴りをまた止められる。

今度は、二度目の連撃をせず、地面に着地する。

騎士のランスの横凪ぎがくるのをしゃがんでかわす。

そしてがら空きになった脇に入り込み、蹴りを入れる。

ここなら、デカイ盾で防げない!一発入る、、!

「良い動きをする。じゃが、甘いな」

騎士は盾を捨て、空いた左手で俺の蹴りを、、、足を掴んで止めた。

「、、、化け物かよ」

「儂の筋肉を甘く見たな」

そのまま足を持ち上げられ、俺を地面に叩きつけられる。

全身に硬い衝撃がきて、声を上げる。

叩きつけられた衝撃でポケットのお札が外に散らばる。

「儂の戦闘スタイルは、強靭的な筋肉によって成り立っているんじゃ。少年のモヤシみたいな細い手足に負けるものか」

「、、、なるほど、、予想以上に強いことが分かったぜ」

地面のお札を一枚とり、立ち上がって、騎士と対面する。

「ーーだが、俺も強くなれる時間が来たようだ」

そのお札には二重丸の記号が浮かんでいた。

ーーー直後、遠くで爆発音が聞こえる。











場所は変わり、高層ビルの屋上にロロジイはいた。

日光が上から照りつける。

「スーお嬢様様から連絡がきましたね」

手元に一枚のお札を持って、じっと眺めている。

これは、朱雀様の障壁を出す合図を示すもの。

それと、もう一つ役割がある。

「随分割れるのが早いですね。今日はとても運が良い」

今遠隔で使っているお札は二つあり、

一つは、障壁を出すお札。そしてもう一つは、広いエリア内の能力を僅かに強化するお札だ。

強化のお札の効果は、弱いが効果が無いわけではない。

それこそ、障壁にできるヒビが大きくなるぐらいには。

朝、会議室を出た後、至るところにこの強化の札を設置した。

後は、ランダムに発動させ、大きなヒビができるのを待つだけ。

大きくなれば、効果範囲内にスナイパーがいるということ。

そうなれば、その周囲のお札を順番に発動させる。

そうすることで、効果が二重になるところができる。

二重になったところで銃を撃てば、攻撃力がさらに増して、さらに大きな、いや、障壁を割るぐらいの威力が出る。

光の三原色のグラフを思い浮かべてもらえると分かりやすいかもしれない。

そうやって、範囲を狭めていき、ついにスナイパーのいる場所を、極めて小さいエリアに絞りこむことができた。


あとは、屋上から見回し、探すだけ。

「いましたね」

姿は見えないが、銃声は微かに聞こえる。

右斜め前のビルの屋上に目を向ける。

スーお嬢様に通じるお札に発見した合図の二重丸の記号を送る。

エレベーターで降り、目的のビルへ移動。またエレベーターに乗り、屋上に出るドアを開ける。

と、同時に手持ちの札を大量にばらまく。

あるものは、燃え、あるものは、放電し、あるものは、風を起こし、札を屋上全体に巻き散らす。。

強化の札の効果があるとはいえ、それでも効果は微々たるもの。

だが、それで十分だった。

「アッチっ」

正面の縁から声がする。

「そこですね!」

少し近づき、障壁のお札を声のした場所に投げる。

何もない場所に障壁のドームが作られる。

「閉じ込められた!?」

「背後に気を配らないとは、大した自信ですね」

「クソ」

ドームの中にボアっと大柄な男が現れる。

頭に赤いハチマキをしており、手には赤い狙撃銃が握られていた。

「私には、強力な攻撃手段がありません。しかし、強力なかくし球はあります」

お札を地面に円形に並べる。

「時間かかりますし、無防備になりますし、持続時間も長くないでずし、派手なので自分の居場所がバレルので非常に使いにくいのですが、、、他の敵を朱雀様が足止めしてるので、使えます」

「何をする気だ!?」

「あなたにとって、最悪なことです」

円の前、手を合わせお札に力を送り込む。

すると、円の中に紋様のようなものが浮かび上がり、そこから巨大な太い(つた)の絡まってできたボールが浮かんでくる。

「早速ですが、フィナーレです」

「なめるなよ」

スナイパーは銃の後ろを使い、障壁を内側から殴っている。

「いっそ中で銃を乱射すれば、跳ね返った弾でさよならできるのですが、、」

緑色の塊から蔦がのび、身動きが取れない男を障壁ごと上から叩き潰す。

悲鳴とともに光の粒が空を上っていく。

「あっけない最後でしたね」

執事は、屋上を立ち去りながら呟く。

「向こうは、無事でしょうかね」











ポケットの中のお札を全て取りだし、上に投げる。

「突然、自ら防御をすてるとは、どういうつもりじゃ?」

「もう俺の周りに障壁ができることはない。ここから俺が主役の戦いだ。」

お札を撒くのを合図に、どこかからかバイオリンの音が鳴り響く。

その音を聞くと体から力が沸いてきた。

「全力でいく!」

足に粒子を溜めて、騎士に急接近する。



ーーーと、女の声が騎士の後ろから聞こえてくる。

「おやおや、二対一とは、正々堂々とは言えないのではないですか?私も少しサポートしましょう」


突如、騎士の周りにモブが出現する。

嘘だろっ!あいつも出てくるとか予想してねえぞ。

驚いて、反射的に後ろに下がってしまう。

だが、足がもつれ、バランスを崩す。

ランスの横凪ぎがすぐにくる。

かわせないっ、、、、

脇腹にマトモに一発くらってしまう。

メキメキと骨の軋む嫌な音が聞こえる。

そのまま横に吹き飛ばされ、ビルの壁に激突する。

口から出た血を拭き、騎士の後ろを見る。


そこにいたのは、赤いワンピースに赤いショートヘアー、

黒ぶちメガネをかけた、少し身長が高い女性だった。

その顔を見て背中から一気に汗が出る。

忘れもしない、、、あいつは、、モブ使いだ。

「自分から出てくるなんて、珍しいこともあるんだな」

「もう隠す必要がなくなったからね。赤のチームは私と騎士の二人だけよ」

「お前が戦いたいだけじゃないのか?」

「騎士はお互いの全力を出して、戦うことを好むの。だけど、同時に平等な条件で戦うことも好いているのよ。私はサポートだけ、安心して」

安心できるか。俺はお前に殺されかけたんだぞ。

「最初に戦ったときよりも、俺は成長してるんだ。」

大丈夫だ。俺。

再び足に粒子を溜める。

見せるんだ。成長を、、、

感覚が研ぎ澄まされる。

粒子が光り、銀色へと変わる。

それを見て、棋士がランスを構え直す。

「少年が全力でくるというなら、私も全力で対峙しなければな」

騎士から白いオーラが出てくる。

足の粒子を放出し、先ほどよりも格段に早い速度で接近し、蹴りを入れる。

盾で守られるが、下に粒子を噴出し、少し上に飛び、上から騎士の頭を狙い定めて蹴りを煎れる。

騎士はそれをしゃがんで交わす。バックステップしランスで胸めがけて突きをしてくる。

迫るランスを足の裏で挟み、突きの勢いをそのままに、

粒子の力を借り、バック宙のように体を回転させ、

足に挟んだランスを遠心力を利用して、後ろに投げ飛ばす。

あたかも、バリスタから矢が放たれるように、巨大なランスがビルに突き刺さる。


なんだ、、、、体が軽い。軽いぞ。

体が自分の思った通りに素早く動いてくれる。

今までしていた、見る→考える→動くの過程の時間が少なくなっている。考えた瞬間に体が動いてくれる、、、そんな感覚だ。



着地して、前を見るともう騎士の姿はモブに隠れて見えなくなっていた。

視界が零になる場所に突っ込むのは、怖いが、、、行くしかない!

地面を踏み込む。

地面がバンッ!と円形にひび割れ、モブの中の騎士に一直線に向かう。



見えない、、、だが、、、、感じる。騎士がそこにいる。


思いきり、見えない敵に蹴りを入れると、見事命中した。

さすがに騎士もくるのが分かっていたようで、

ガードされたが、問題ない。

視界のない中、攻撃が当たる。これだけでも大きな一歩だ。

騎士が少しのけぞるが、盾でなぎ払われる。

後ろに飛ばされるが、空中で体勢を整え、地面を転がることなく、足から着地する。


「あらー、成長したのね。嬉しいわ」

またモブ使いの声が聞こえる。

今はモブの中に隠れて姿が見えない。

嬉しい、、、?

敵が成長がか、、、?



「だってーーーーこれでやっと私が本気でサポートが出来るんですもの、遠慮なしで楽しくなるわよー」

愉快な声とともに騎士が呻き声をあげ始めた。

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