第二十二話 男になれ!マイ シスターですか?
ロロジィから離れて、しばらくしてーーーー
「、、、、、、、吐きそう、、、」
朱雀は、揺れる視界の中、胃からせり上がるものを時折飲み込みながら、走っていた。
「急な方向変換は、内蔵に悪いな、、、」
この足武装の性質上、曲がるときは緩やかに曲がることが出来ず、かなり強引に地面を抉るレベルで右か左に粒子を放出しなければならず、自然、直角にガクッと曲がっている。
しかし、直線を走るために大通りに出れば、狙撃主の標的となる。
これが一番のあん安全策だ。
と、そこで微かに誰かが走っている音が聞こえる。
慌てて止まるために、粒子の放出を止める。
「うおおっそうでしたあああああああああああああああああああああああああああああああああ」
速度を押さえていたとはいえ、、、自分の走っていた速度は、自動車と同じぐらいの速度は、余裕で出ていた。
それで放出を止めれば、、、、、当然、石投機の石のように宙に放り出される。
「自動車はああああ 急にはああああああ 止まれないいいいいいいい」
体を何とか反転させ、背中の少女、桜鈴を抱き抱え、ビルの壁に激突する。
「、、、ああっ」
鈍い痛みが背中を叩きつけ、気を失わなかったのが奇跡だ。
ただ、気持ち悪かったことも合わさって、頭がクラクラして、立とうとしても、腰が抜けて桜鈴を抱えて立つことが出来ない。
走る音は、段々近づいて来て、荒い呼吸音も聞こえてきた。
、、、、、この呼吸音、、、、、聞いたことあるぞ!!!!
分かる、俺には分かる。聞き間違えるわけがない。
この呼吸音の、近づいてくる人の正体は、、、、
「いたあああああああああああああああああ、はあ、、、はあ、、、」
「マアアアアアアアアアイ!!!!」
「シュ、、、、シュううううういちゃああああもうダメ、、、、死にます!!!」
こちらに走って来たと思ったら、ベットに飛び込むように地面にダイブする。
当然地面は固いため、ゴツン、ズズズと絶対痛そうな音が聞こえる。
「大丈夫か?」
「大丈夫じゃない!!ただ、説明はスーちゃんにパス、、、」
そう言うと、うつ伏せのまま右手を上に上げる。その手を、マイの上にちょこんと座っている金髪の少女がタッチする。
マイはガクンと力尽きて、うつ伏せで大の字状態になる。
それよりもーーーーー
「スーちゃん?!なんで外に!!」
基地にいたはずじゃーーーー
聞くと同時に大きな声が返ってくる。
「ロロを助けて!!ロロがぁ死んじゃう!!!」
涙声で叫ぶ。顔を涙と鼻水でグチャグチャにして、感情を表にさらけ出している。
「このままだとロロがいなくなっちゃう!!そんなの嫌だああ!!おねがいだずけて、ロロを、ロロをおお、ううぇえぇぇんえんええええ」
ロロジイ、何が安心してくださいだ!主を泣かせてどうすんだよ!!
ゆっくり宥めさせて、事情を聞きたいが、ロロジイが危ないとなれば、時間がない。
「お、落ち着いて、、、スーちゃん。ゆっくり落ち着いて、、手短に話して」
「うぇええん、あのね、あかの、おう、、モブつかいがね、ヒッグあ、あらわれたの,ウグ」
「なるほど、、、、」
ロロジイ死んだな、たぶん。
赤の王、ここに来て初めて戦い、惨敗した相手、、、
絶対的力 、底知れないものを感じさせる強敵。
ーーーーーー赤のモブ使い。
天地がひっくり返っても、例え、さらにもう一回転しても、勝てる相手じゃない。
出会うことが死を意味する死神。
ロロジイは、大事だ。助けたい。だがーーー
「、、、、、、、、、これは、助けられない」
スーちゃんが息を飲むのを感じる。驚愕で目をこれでもかと見開いてる。
「ごめん、、、、ごめん、、、、、ごめん、、、、、、勝てないんだ、、、、あいつには、、、、」
「勝たなくていいよ!!ロロを連れて、逃げて、逃げて、、、、逃げまくって、、赤の王から逃げまくれば、誰もいなくならない!!」
「それは、そうだけど、、、」
「ヒグッ、本当に、、、、無理、、、なの、、、?」
「ああ、これに関しては、断言できる。ごめん、、、」
スーちゃんの言うことにも一理ある。
モブ使いは、なぜかモブの中でしか攻撃してこない。理由は分からないが、とにかくモブの外に出れば、攻撃されない可能性が高い。
だが、そのためには、ロロジイのいるモブの集団の中に入らなければならない。
これは、呪われた海域、バミューダトライアングルにゴムボートで入っていくような自殺行為に近い。入ったら最後、攻撃されない99パーセント脱出不可能だ。
話している間に頭のクラクラも落ち着き、視界も安定してきたため、
桜鈴を抱き抱えて立ち上がる。
「まずは、桜鈴を基地の布団で寝かせるのが最優先だ。」
「ロロは、いなくなっちゃうの?」
「分からない、、、ただ助かる可能性は限りなく低い、、」
「ウグ、、、ロロ、、ロロおおお、、、」
なんて言葉をかければいいのだろうか。
中途半端な言葉は、本気で悲しんでる子の心を傷つけてしまう。
まずは助かる可能性の高い、腕の中で弱っている桜鈴が最優先だ。
「一旦基地に戻って、桜鈴を布団に入れたらロロジイを迎えにいく」
朱雀は、再び全身から灰色の粒子を放出させ、足武装に粒子を集める。
そして、腰を落とし、粒子を放出するーーーーー
「シューちゃんの目は、節穴かっ!!」
ーー直前に下から声がかけられる。
下をみると顔だけこちらを向いているマイが、怒りと呆れが混じった顔でこちらを睨んでいる。
「なんのためにわざわざ私が走ってきたと思ってるの?」
「スーちゃんを連れてくるためだろ、、、」
「合ってるけど、ちっっがう!目に入らないの?!私とロープで繋がれたデカブツがっ!!」
「デカブツ、、、?、、、、、っ!!!」
あった、、、、マイの腰に結ばれているロープの先に。
、、、、、、、巨大段ボールが。
「私達ちゃんとモニターで状況把握してるんだからっ!」
粒子の放出を止め、ガムテープで恐らく急いで塞いだであろう段ボールの蓋を開ける。
「、、、、これ、、、まさか、、、、、、」
「私が走った理由、、、それは、、、この、、」
フフンとビシッとどや顔を決めて言い放つ。
「布団だよっ☆」
「布団引きずって、かつ、背中にスーちゃんのせながらよく走れたな、、、我が妹ながら尊敬する」
「じゃあ、お返しにバアちゃんを布団の中に入れて欲しいなー」
「ああ、勿論だ」
すぐに布団の中に桜鈴を入れる。
ダンボールは、二つの大きなものを1つにガムテープで繋ぎ会わせたもので、真っ直ぐに寝かせられるぐらい大きかった。
ちゃんと内側に札がついており、これが回復を早めてくれるのだろう。
寝かせると、ダンボールの中にガムテープが入っているのに気づく。
「マイ、このガムテープはなんだ?」
「それ、私が後でダンボールの蓋をガッチガチに閉めるためのガムテープだから外に出しといてー。」
「ああ、分かった」
言われた通りにガムテープをダンボールの側に置いておく。
「で、、、、」
「で?」
「シューちゃんの助けられる人を一人救った。後、やることは
分かってるよね」
マイが片目でパチッとウィンクしてきた。
「いや、それは、、、」
助けたい、、、だが、相手が悪すぎる、、、
ちゃんと、無理と言おう。無謀と勇敢は違うとよく言うだろ。
「、、、無r」
「さっきシューちゃんが言った言葉覚えてる?」
「言葉、、、、、?」
言葉、、、、何だ?
言葉、言葉、言葉、、、、
、、、、あ、、、、、、、、
「最優先は、バアちゃんを助けること、、、
つまり、最優先が済んだ今、次にやるべきことをするべきじゃない?」
、、、、これは、、、、完全に逃げ道を断たれました。
スーちゃんの期待に満ちたキラキラした瞳が心の後ろめたさにズキリと刺さってくる、、、、
「さっきから聞いてれば、何回も何回も言ってたよね。
ーーーーーーしたいけど、出来ないって言ってたこと」
「今、男にならずして、いつ男になるのっ!いっそ身も心も男にになっちゃえよ!マイ シスター!!」




