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Delivery children.  作者: 詩音
22/27

第21話

 アオ視点です。



「さて、いるんだろう?」

 ……出てくるなよ、絶対。

「この三人を殺しても良いのか?」

 俺は死んでも良いから、頼むから出てこないでくれよ……。

 それでも、俺の願いは叶わなかった。

「三人には何もしないで」

 シュウは壊れたロボットを強引にかき分けて現れた。

「R404……会いたかったぞ。私が誰かわかるか?」

「僕を作った人。それ以外知らない」

 今まで聞いたことがないくらい冷たい声。それほど目の前にいる男が憎いんだろう。

「やはり記憶の部分に故障が生じたのか」

「……っ、シュウは故障なんかしてねぇよ!」

 俺は思わず叫んでいた。体を動かそうとすると、数人の男が俺を押さえ込んでくる。

「シュウ?」

 不思議そうな顔でダンテはシュウを見た。

「僕はシュウって呼ばれてる。今までも、これからも」

「そうか。お前の仲間もそれぞれ互いに名前をつけて読んでたな。そういう感情も出来るわけか」

「出来るとか言うな! 感情はあって当たり前なんだよ!」

 いちいちダンテが見せる反応に腹が立つ。

 飛び掛かろうとする俺を三人の男が押さえ付けた。

「……うるさい子供だ。おい、三人まとめて倉庫に入れておけ」

「わかりました」

 俺達は男達に引っ張られて、部屋をあとにした。

「シュウ!」

 声は届いたんだ、だって振り返ったから。悲しそうに笑うシュウに、俺まで泣きたくなった。

「シュウ、私と一緒に来なさい。心配せずとも彼らを殺したりはしないさ」

 シュウがダンテについていく姿が嫌で、目を伏せてやり過ごした。




「出せよ、おい!」

 分厚い部屋の扉を俺は何度も叩いた。

「止めなさいよ、体力の無駄」

 アリアに止められて、仕方なく二人のいる隅に戻った。

「カイ、これからどうするの?」

「……予測外だな。シュウの体に反応する機械があるなんて」

 唸りつつ、カイは言った。

「なぁ、早く此処から出ようぜ」

「でもシュウの行動も把握しないといけない。とにかく今は作戦を考えるべきだよ」

 そんな悠長なこと言ってらんねぇよ。

 もう一回、俺はドアに足を振り上げた。

「アオ!」

「……シュウが前に言ったんだ。この仕事に命賭けるって」

 本気の目だった。あいつはいつも泣いてばっかだったのに、いつの間にか俺達を守るなんて言い出したんだ。

「だから俺も命賭ける」

 思いっきりドアを蹴った。足が痛くなっても絶対に止めたりしない。シュウを放っておけるか。

「本当に単純に育ったなぁ」

 真後ろでそんな声がしたもんだから俺はかなり驚いた。

 当人であるカイは特に変わった様子もなく、右足を空に掲げてドアを蹴り破った。

 土埃の舞う中、呆然とする俺とアリア。

「ま、そこがアオの数少ない長所なんだけどね」

「……なんかムカつく」

「本当のことでしょ?」

 なんだ、いつも通りじゃねぇか。

 妙に安心した俺は軽く笑みを溢した。

「移動しよう。このままじゃさっきと同じようになる」

 俺達は倉庫から少し離れた段ボール箱の山の陰に隠れた。

 何処から持ってきたのか、アリアが針金でカイの手錠を器用に外した。両手が自由になったカイが俺とアリアのも外す。

「両手も自由になったし、行こうか」

「行くって何処に?」

「さっきシュウの行動を把握出来ないとって言ってなかったか?」

「言ったよ? だからメイン装置のあるところに行く。そこならきっとシュウの居場所がわかる機械があるはずだから」

「じゃあさっさと行って終わらせようぜ?」

 精神的にも身体的にも疲れる仕事だな、なんて思う。

「先頭行くのは構わないけど、場所わかるの?」

「……あ」

 地図を持ってるのはカイ。俺は此処について何も知らないんだった。

「馬鹿」

「何だと?」

「はいはい、喧嘩は仕事が終わってからね」

 カイになだめられ、仕方なく口喧嘩は終了。

 シュウ捜索と救出のために、俺達は走り出した。







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