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Delivery children.  作者: 詩音
15/27

第14話

 シュウ視点です。




「おかえり二人とも」

「おかえり」

 カイさんは僕をいつも通り迎えてくれた。アオは複雑そうな顔をしている。

「ただいま」

「ただいま……」

 僕は何故か少しだけ緊張していた。

「あのさ」

 アオがおずおずと近寄ってきた。

「シュウはちゃんと俺達の仲間だからな?」

 正直少し驚いた。普段そういう台詞をアオは笑って言ってたから。真剣な面持ちの言葉が、僕には凄く嬉しかった。

「ありがとう、アオ」

「じゃあ、仲間会議でもしようか」

 ポン、と頭にカイさんの手が触れた。

 家を出てそんなに時間は過ぎてないのに、酷く懐かしく思えた。




「こういうわけ。大体わかってもらえたかな?」

「うん」

 カイさんは僕に全部話してくれた。僕を探す怪しい組織のことやを。内容に対して僕の驚きはあんまりなかった。

「大丈夫?」

 それでもアリアが顔を覗き込んでくる。

 心配性だなぁ。

「うん、約束したもんね」

 僕は大丈夫と言って笑顔を見せる。

「宣言って何だ?」

 アオが不思議そうな目で僕とアリアを眺める。

「あれだよアオ。二人だけの秘密ってヤツ。羨ましいね」

 あやすようにアオの頭を撫でながらカイさんは言った。

「ガキ扱いすんなよカイ!」

 一気に眉間にシワを寄せ、不機嫌な表情になる。

「俺から見たら何十年後でも三人は子供なの」

 カイさんはそう言って微笑んでいた。




 そしてその夜。

「ねぇアオ。もう寝ちゃった?」

「起きてる」

 少し不機嫌そうなアオ。何故かというと、やっぱり僕とアリアの秘密のことだと思う。

「僕ね、決めたんだ」

 アオに黙る理由も無いから、僕はちゃんと話すことにした。

「何を?」

「皆が僕を支えてくれるから、ちゃんと全部受け入れるって。どんなことでもね?」

 アオに背を向けていた僕は後ろでアオが起き上がったのを感じた。

「心配すんなよシュウ。何かあったら俺が頑張るからさ」

「ありがと」

 でもね、アオ。僕はあんまり無理してほしくないんだ。勿論アリアやカイさんにも。だって充分すぎるくらい幸せで楽しい毎日だったから。

 だから、もう怖いことなんて無いよ。僕が皆を守る。

 そう思いつつ僕は眠りについた。




 そしてその日、僕はあの夢を見ていた。

「まだ見つからないのか」

「申し訳ありません……」

 偉そうな太り気味の男の人とガリガリに痩せたスーツ姿の男の人は電気の少ない暗い部屋にいた。

 周りには緑色の怪しい液体がカプセルに入り、淡く光を放っている。

「ゼム、子供一人にいつまで手間取るつもりだ?」

「仰るとおりです。我々の力不足は認めます。ですから、ちょっとした人間に力を借りたく、その許可を頂きに参りました」

 ゼムと呼ばれた人は頭を上げて進言した。

「ちょっとした人間?」

「最近一番街の裏の世界で運び屋、というものが名を上げています」

「運び屋……」

 興味を持ったようでもう一人の男の眼鏡に隠れた目が一瞬輝いた。

「はい。成功率八割以上で、危険な仕事も殺人もやり遂げる何でも屋に近いとか……」

「その運び屋に探させるのか?」

「我ら研究員が百人で探しても見つからないのですから、少しでも何か変化を起こしたいのです」

「良いだろう、ゼムに任せる。金に糸目はつけないから存分に使え」

「ありがとうございます、……様」

 偉そうな男の人も夢の内容も僕は覚えていなかった。







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