表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

「ずっと友達でいてあげてね」と言われたことが忘れられない

作者: ぽぴ
掲載日:2026/01/27



経験が死生観を作るという話



 小学1年生のころ、友人のAくんと一緒にBくんの家へ遊びに行った。


私がBくんを見たのは初めてだった。


Bくんはいつも欠席していた。

理由は分からない。

けれど、その日にすべてが分かった。



 AはBくんに、変形するおもちゃを見せびらかしていた。Bくんは新幹線のレールを繋げて遊んでいた。私はおもちゃを持っていなかったので、ただ床に座ってその光景を眺めていた。


 私の真後ろにはキッチンがあった。Bくんのお母さんが忙しなく、カチャカチャと何かを用意する音がしていた。


 私がAたちを眺め始めて10分くらいたったとき、背後から、しゃくりあげるような音が聞こえた。


 振り向くと、Bくんのお母さんは泣いていた。


「こんなふうに……長生きすると思わなくて…」


「ずっと、友達でいてあげてね」


 Bくんのお母さんは私を見てそう言った。


 どうしていいか分からなかった。私はとっさに目をそらした。心の中に――今日初めて会ったばかりなのに友達でいいのだろうか――、というモヤモヤとした気持ちが生まれた。


 それ以降、Bくんに会うことはなかった。

 学校で探したが、どこにもいなかった。

 そして気づけば、学校でBくんの名前が呼ばれることもなくなった。


 だれもBの話をしない。



 たぶん、Bは……。




 言葉にできない。

 言葉にしたくない。



 


 一度しか会わなかったBは、私の死生観に強い影響を残した。


 私は、「連絡を取らない人は、すべて死んでいる」という死生観を持っている。初恋の人も、親友のあいつも、連絡をとっていない人は全員死んでいると思っている。


情報が更新されないという点において、

彼らは亡くなった人と変わらない。


 おそらく、Bのお母さんのあの言葉とBの安否が分からないこと。そんな「未来が分からない不安定な人生」という事実と、「自分はなにも分からない」という事実が結びついて、いまの私の死生観になったのだと思う。


 そんな、個人的な経験が死生観を作るという話でした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ