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第8話 森抜け

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 第8話 森抜け

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 酒で口が滑らかになったのか、ミノタウロスの巨斧の面々は色々喋ってくれた。

 まず、五人は冒険者だということ。冒険者はGランクから始まり、G⇒F⇒E⇒D⇒C⇒B⇒A⇒Sとランクが上がっていく。Sランクは世界に数人しかいおらず、Aランクのミノタウロスの巨斧の面々はほとんど世界最高戦力の一角らしい。

 それでもSランクモンスターとの戦いは厳しいのだとか。そのモンスターはG⇒F⇒E⇒D⇒C⇒B⇒A⇒S⇒災害級⇒天災級と危険度が設定されている。そういえば、無限収納の背嚢に収納されているドラゴンは天災級だったかな。知らずに最強モンスターを倒していたようだ。


 また、ゲールとドラゴはすでに結婚していて、子供もいるらしい。チッチは元パーティーメンバーの子で、預かって鍛えているらしい。

 ドラゴは重戦士で主に盾役をしている。頭髪はないが、髭はある。橙色の瞳はこの異世界でもかなり珍しいと自慢していた。身長は二メートル越えで、筋肉マッチョオッサンだ。外国の刑事ドラマに出てくるシェマー・●ーアに似ている。

 ゲールは短髪の茶髪で、目の色も茶色だ。軽戦士で弓と剣を使うが、基本は斥候として立ち回っている。俳優の安●顕に似ているかな。

 チッチはまだCランク冒険者だけど、十三歳という年齢でCランクは異例といえるのだとか。魔法の才に恵まれ十歳で冒険者登録したらしい。女優の橋本●奈に似ていると思う。

 ルイーザさんは暗黒剣士で、大剣を使っている。女性としては長身で百七十八センチメートルはあるだろうか。金属鎧を身につけているが部分的なものなので、シックスパックが見える。それで防御力は大丈夫なのかと思ってしまうよ。レーサーのリンジー・●ルワーに似ていると思う。

 ヒルダさんはやっぱり神官で、癒しの女神シャイネンを祀るシャイネン神殿に属しているそうだ。この世界の神殿は祀っている神によって違うらしい。日本でも八幡神社や春日社、稲荷など色々な神社があった。それに似ているようだ。そしてヒルダさんはタレントの斉藤●貴に似ているかな。


 さて、これから私たちが向かうのは、ライバスというフォースレッド王国の町だ。ライバスは元々は隣国とアシュタール大森林のモンスターに備えた要塞だったが、隣国との仲がよくなって貿易の拠点として町化したらしい。

 アシュタール大森林というのは、今私たちがいる森になる。フォースレッド王国を含む複数の国に跨って広がる広大な森なんだとか。かなり危険な森で、外周部でもBランクのモンスターが闊歩しているし、奥にいくと天災級のドラゴンもいる。


 そんなことを聞きながらチビチビ酒を飲んでいたら、いつの間にか全員寝入ってしまった。

 ドラゴとゲールは一升瓶を抱えながら寝ているよ。

 チッチは丸くなって子猫みたいで、可愛らしい。

 ルイーザさんは木に寄りかかって、剣を抱えながら寝ている。なんか格好いい。

 ヒルダさんは私の膝に頭を載せて、スヤスヤと寝息を立てている。そんな無防備に寝ていると襲ってしまいますよ。しないけど。


「俺は紳士なのだ……」


 どこが!? と自分で突っ込みをいれそうになった。私はどちらかといえば、クズの部類だ。エロい知識だけは色々持っているし、他人がどうなっても関係ないと思っている。

 こうやって他人と長い時間いるのは引きこもる前でもあまりなかった。そもそも人見知りだったのに、この世界ではこうやって酒を飲んでバカ騒ぎをすることができた。

 私をこの世界に転生させてくれた神様には感謝しかない。

 焚火の弾ける音がし、私は温かな色をした火を見つめながらヒルダさんの髪を手櫛で撫でる。

 クリーンのおかげか、彼女の髪はまるで絹のようにとてもなめらかだった。

 一服したいところだが、寝ているヒルダさんに副流煙がいくからやめておこう。





 翌朝、私の膝の上で目覚めたヒルダさんが、慌ててとても可愛かった。


「ごめんなさい! わたくし、いつもはこんなことしないのに、重くなかったですか!?」

「重くないですよ。それに私とヒルダさんは夫婦になるのですから、甘えてもらっていいのですよ」

「ふっ夫婦!?」

「あれ? 私は結婚するものと思っていたのですが、違うのでしょうか?」

「%$#&$%#&&¥%&$¥」


 ヒルダさんは顔を真っ赤にし、言葉にならない声を発した。


「アハハハ。あたしも膝枕してもらえばよかったな!」

「はい、いつでも歓迎です」


 全面的にウェルカムですよ。


 朝食はおにぎりをAMAZINで購入し、皆に食べてもらった。


「美味いな、これ!」

「ハジメが出す食べ物は初めて見るものばかりだが、これも焼きそばパンも美味い!」


 ゲールとドラゴはうるさい。

 チッチは小動物のようにモグモグしている。

 ルイーザさんは男らしい食べっぷり。

 ヒルダさんは上品にハムハムとしている。


 朝食を食べたらテントなどを片づける。ヒルダさんたちのテントは使ってないけど、出したものはしまわないとね。


 移動はゲールが先行し、モンスターを避けて進んだ。私の場合はハイドマントを着て直線的に進んだけど、普通はこうやって無駄な戦いを避けるように進むらしい。


 昼はサンドウィッチを出して食べてもらった。


「わたくしたちがお礼をしなければいけないのに、色々いただいて申しわけないです」

「夫婦の間でそんな遠慮はいりません」

「はうっ!?」


 夫婦というキーワードで、ヒルダさんは真っ赤になる。普通にしていると、妖艶なマダムといったヒルダさんだけど、この顔の時は本当に可愛い。


 ペットボトルの水を飲み、サンドウィッチを胃袋に流し込む。

 五人はチッチが魔法で出した水を革の水筒に入れていた。普通の冒険者は水も持参するらしいが、チッチの魔力は多くその都度出してもらっているらしい。


「水を持ってくると、めちゃくちゃかさばるからな」


 こういった森歩きや戦闘をすれば、喉が渇いて水の消費は激しい。だから多く持っていかないといけないが、水は重くかさばる。AMAZINがあってよかったと、つくづく思うよ。


「森を抜けるぞ」


 ゲールに続いて私たちも森を抜けた。そこには草原が広がっており、さらに視線の先に頑丈そうな石の防壁で守られた町が見えた。

 貿易で賑わっていると聞いていた通り、人の出入りが多い。馬車が隊列をなして町に入っていく。いや、馬車じゃない? 車を牽いているのは馬ではないようだ。


「あれは従魔です。テイマーなどが使役したモンスターに車を引かせるのです」


 ヒルダさんが教えてくれたように、色々な従魔が車を牽いている。これだけでも、一日見ていられそうなほど楽しいな。



ご愛読ありがとうございます。

これからも本作品をよろしくお願いします。


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