起動
登場人物
オサム・タカギ
R・L・タワーズ少佐
ハロルド・ゴールドバーグ艦長
レイ・ステータ伍長
オサムは拾ったカードキーをロボットのコクピットの機械に差し込んだ。すると、電動モーターの音ともにタービンの甲高い音が鳴り、ロボットが立ち上がった。そして、コクピット内の無線機から声が聞こえてきた。
「こちら降下艦サンダーストローム号所属、ロバート・ライオネル・タワーズ少佐。聞こえるか?士官もどき。新型機でしくじってくれたようだな。」
「…貴様がこの街に攻撃を加えたのか?」
「異星人に機体を奪われたか。仕方ない。コクピットだけつぶして持ち帰るか。」
無線が切れた。
一方そのころタワーズは…
「艦長、ピーターはやはり死んでいたようです。異星人が彼の機体を奪取して、今現在操縦しています。艦長、出撃の許可をお願いします。」
ハロルド・ゴールドバーグ艦長はうんざりした表情をタワーズに向けた。
「そうか、残念だ。都市攻撃の反撃に手を焼いていたから、安否確認をする暇もなかったが…」
「士官学校を出たての気だけは大きい子供に、なんであの機体…ブロックヘッドとか言ったな。そいつを奴に任せなければならなかったのだ。まったく上層部の考えることはいつもわからん。」
「同感です。艦長。」
「曲りなりにもピーターは君の部下だったな。部下のケジメはしっかり取ってこい。しくじるなよ。あの青二才のガキこのことはどうでもいいが、お前を失うことはこの艦の戦闘能力を完全に失うに等しい。それに、あの機体は高価な新型機だ。持って帰れなかったら君も私も仲良く降格処分だ。わかっているな?」
「はい、肝に銘じています」
「艦長」
「なんだ?」
「あの機体は、確か誰にでも満足に操縦できるような新型のシステムが搭載されていると聞きましたが」
「ピーターが死んでいるんだ。大したものではないだろう。」
格納庫では、レイ・ステータ伍長が機体の整備を手伝っていた。
「おはよう、ステータ。悪いが出撃準備だ。一緒に出てくれ。」
「少佐、おはようございます。ピーターは、やはり戦死ですか?」
「間違いなくそうだろう。乗っていた機体が異星人に奪取されたらしい。無線に応答したやつは、お前がこの街を燃やしたのかと開口一番に言ってきた。」
「どうします、少佐以外の機体はまだ修理が必要な状態です。一機、とりあえず動くようにはなりましたが、それでさえあてにならない部品がざっと50はあります。」
「そいつは考え物だな。私だけで出ようか?」
「いえ、私もお供します。基本的な動作に支障はありませんから。」
二人はコクピットに乗り込んだあと、エンジンを始動し、出撃前の最終確認を行った。
ほどなくして船尾格納庫から二機が飛び立った。