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第10章:『揺れる影と、空飛ぶティーカート突撃ですわ♡』

【1】リリィの過去と今

王都から少し離れた、夜の橋の上――

リリィは一人、冷たい風の中で立ち尽くしていた。

(私、何をやってるの……?)

“クレパスの影”に拾われたのは、まだ小さかった頃。

魔力の暴走で村を壊し、家族を失ったあの日。

「お前は価値がある。闇の力でもな」

そう言ってくれたのは、仮面の魔導士。

その言葉だけが、支えだった。

――でも今。

「あなたにも紅茶を淹れて差し上げますわ♡」

爆発と香りと、やさしい笑顔。

馬鹿みたいな令嬢の、真っ直ぐなまなざし。

(……こんな人、知らない。

 なのに……なんで、胸が苦しいの?)


【2】王家の研究棟へ、紅茶突撃!

翌朝。

ヴァイオレット様は宣言する。

「次なる目的地は“王家の魔導研究棟”ですわ!

 魔導書の真の力を知るために、潜入いたしますの♡」

アリア「また許可とらないんだ……」

レオン「王族施設だよ!? 今度こそ処罰対象だよ!?」

ルキウス王子「……案内しよう。僕も、真相が知りたい」

「殿下までノリノリですのね♡ よろしい、ではこちらを!」

\ジャーン!/

新兵器・空飛ぶティーカート“メアリーボイル号”

「蒸気圧で空を飛ぶ! 高速ティーサービスも可能な完全自律型茶器突入カートですの!」

アリア「いや、そもそも用途おかしいから!? なにその“突入”前提の設計!」

レオン「しかもコレ、明らかに前回の爆発パーツ再利用してない!?」

「では、出発♡」

\ごごごごごぉぉぉん!!!!!/

ティーカートが火を吹きながら空へ舞い上がる!

「うわあああああああ!!!!」


【3】王家研究棟の秘密

研究棟に突入したヴァイオレットたちは、

ラクリモーサ・コードの“写本”を発見する。

アリアがざっと読み取る。

「……この魔導書、元は“王家の記憶抹消兵器”として作られてたのね。

 戦争時代、敵の記憶を奪うことで服従させる……」

ルキウス王子が口を結ぶ。

「まさか……そんなものが、我が家に受け継がれていたとは」

レオンは肩を落とす。

「これが力の正体か……でも、それならなおさら、ヴァイオレット様に持たせたくない」

「失礼ですわね!? わたくしほど正しく紅茶を淹れられる者は他にいませんわよ!」

「話が飛びすぎてて逆に正しい気がしてきた……!」


【4】影の中のリリィ

その頃――研究棟の屋上に、リリィが立っていた。

(……私は、“奪う側”だった。

 記憶を、感情を、未来を……)

手にした封呪の短剣が、淡く光る。

だが、ヴァイオレットたちを見下ろす彼女の目には、迷いがあった。

「……あいつ、本当に馬鹿よね」

その瞬間、ヴァイオレットが空を飛びながら(※蒸気圧)彼女に叫んだ。

「リリィー! そろそろ、あなたのお好みのブレンド教えてくださいますかぁ〜っ!!」

リリィ「うるさいわよバーカ!! でもなんか……嬉しいんだからね!!」

風が吹き抜けた。

少女の揺れる心が、ほんの少し、光の方へ傾く音がした。


【5】終わらない影

だが、そのとき。

「ふふふ……“感情”など無意味だ」

仮面の魔導士が、研究棟の中枢で封印を解き始めていた。

「全ての記憶は、書き換えられる。

感情も、想いも、過去も、未来も――我が手の中に」

次章、全ての記憶が歪められる中――

“紅茶の記憶”だけが奇跡を起こす!?


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