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「…うん。」小さく頷き、言う。何をされるか分からないが、きっと、先輩なら。
僕を楽しませてくれるだろう。そう期待した。
「…邪魔者になるみたいだから、帰るね。じゃあ、またね、紅葉、雫さん。」そういった陽向兄は、帰っていく。
(陽向兄には、申し訳ないことしちゃったなぁ。今度ケーキでも作ろうかな。)そんなことを考えていると、突然先輩が言う。「紅葉、目閉じて。」それは予想もしてなくて、驚くが、戸惑いながらも目を閉じる。
(なんだろう…)
目をつぶり、しばらく待つ。ガサゴソという雑音が聞こえる。音だけでは何をしているのか分からないが、きっとなにかの準備だ。
(予想もつかない…)なんだろう?そう思いながら目を閉じ続けた。
-パンッパンッ!!- 勢いよく出たクラッカーの音に、僕は驚き、目を開ける。
「えっ、!?」
僕の目に映ったのは、色鮮やかな風船や、飾り。その中央には、カラフルな折り紙で、
【紅葉、誕生日おめでとう】
と書いてある。思わず感動する。そう、そうなのだ。今日は僕、紅葉の誕生日。
「ありが、とう…」思わず涙がこぼれる。そう言うと、先輩は笑いながら、
「あはっ、紅葉、そんな嬉しい?」その笑顔になぜかドキッとする。誕生日がこんなに嬉しいなんて、初めて。
そうしながらしばらく2人で笑いあった。




