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どっ、どーしよっ!?
紅葉は焦りながら雫の家へ向かっていた。
というか、連れ去られていたのだ。
ま、まさか、本気にされる、?とはっ…
そんな時、話していなかった雫から言葉が出てきた。
「着いたぞ。」
そう雫が止まった場所を見てみると、まさかの高級タワマンだったのだ。
「えぇっ、こ、これ、ですか、?家…」
「ああ。」
当然のような返事で返ってきた言葉に紅葉は唖然とした。
「じゃ、行くぞ。」
慣れたような足取りで紅葉の手を引く。
エレベーターに乗り、当然のように1番上の「30」というボタンを押した。
紅葉は30階まであるのにも驚いたし、まさかの最上階に住んでいるというのには更に驚いた。
「えっ、最上階、なんですか、?」
「ああ。」
またもや短い返事を、紅葉は受け入れてそういう人なんだと思うことにした。
『30階に着きました』
あたかもディ〇二ーのようなアナウンスが流れ、紅葉は何度も驚いてしまった。
「ほら、行くぞ。」
雫に手を取られ、角部屋へ向かう。
タワマン最上階の上に角部屋…!?
お金持ちすぎでしょ…
『ガチャ』
雫はオートロックの重そうなドアを開け、広い部屋の中を歩く。
もちろん紅葉の手を引きながら。
「わぁっ…!」
広い部屋に、紅葉はつい声が漏れた。
「そんなに驚くことか?
ほら、ここ座れ。」
紅葉はぎこちなく固めのソファーに座る。
「はっ、はいっ。」
「緊張してんのか?俺が隣に座るから緊張すんなよ。」
雫のクールな笑に紅葉はついドキッとしてしまう。
そ、そんなことされたら余計緊張しちゃうって…
「…」
紅葉は話すことがなくて下を向いてしまう。
それに対して雫は紅葉に疑問を問いかける。
「お前、男子から告白されて断ってる時はあっさり余裕そうだったのに、俺といる時は緊張するんだ?
まさか、俺のこと好きになっちゃったりして。
好きになるなよ?事情があるから。」
そう言われ、雫は少し顔を赤くして、よそを向く。
「…!」
まさかの言葉に紅葉は驚きと照れがまじる。
「そっ、そんなこと、!
男子にはきょーみないですっ…!」
慌てて否定する紅葉の言葉に、雫は
「あっそ。じゃあ女好きなのか?」
「ちち、違いますって、!」
「へ〜…面白いな、お前」
こんなこと言われるとは思っていなかった紅葉は、驚いて雫を見つめてしまった。
「…!」
「そんなに見つめられると照れるんだけど」
またしても顔を赤くしてよそを向く。
この時の表情を見ると、なぜか紅葉はドキッとしてしまう。
「あっ、ごめんなさいっ、!」
「まぁいいよ。」
「ありがとうございます。それで、事情って言ってませんでした?どうしたんですか…?」
事情があると言っていたのを思い出し、聞いてみた。
「ああ、その事なんだけど。
俺は持病持ちで、「好感続行苦感病」という病気を持ってるんだ。
その病気は、自分の好きな人と関わりがないと倒れてしまったりする病気。
俺は一向に好きな人が出来ないから気になってお前を呼んだ。
好きな人っていうのは、両思いの人ってことじゃないと思うから好きになるなって言ったんだ。
まだあまり研究されてないからな。」
まさかの持病持ちという言葉に驚いてしまった。
そして、雫から気になっていると言われてドキッとしてしまった。
(この気持ち、なんなんだろう)
「はっ、はい」
「じゃあ、俺が紅葉のことを好きになるために協力してもらわなきゃだな」
そうクールな笑を浮かべた雫に、もう一度心臓が高鳴った。