第87話 世界を敵にしても
スノウの体は一時干からびてミイラ化する危険性もあった。
ローレライとソエルの二人の献身的な保護のおかげで、死を回避することができた。
休眠前と違って身長も体型も少し大きくなった気がする。
白髪の彼もやはり素敵だ。
衛生面を保つために一日一回、温かいお湯に浸したタオルで全身を優しく清拭している。
彼の背中には、新たな痣が浮き出ていた。
ローレライはスノウを保護した日から、体の隅々までくまなく見ている。
あの鎖に傷つけられた?
触っても痣は消えない。
「この痣は?」
虚弱状態の前には見られなかった痣だ。
回復魔法をかけても痣は消せない。
「何かの刻印にも見えるし、羽に見えない?」
近寄ってきたソエルは自分の背中の羽を出す。
確かに言われてみれば羽にも見える。
背中を拭いた後、彼を安楽な姿勢に戻す。
彼はいつ目覚めるのだろうか。
「ねぇ?そろそろあの鳥が増えすぎて邪魔なんだけど」
ソエルに指摘されバード(魔法伝書鳩)を見ると十数羽が窓辺に待機している。
チーフに仕事を任せた。
実際は仕事を丸投げしたのだが、この数は異常だ。
さすがに気持ち悪い。
一羽ずつ対応していくが、ため息しか出てこない。
<重要な案件>
・冒険者ギルドの支部会の参加依頼(再度)。
・ノクティスの冒険者ギルドにエルフ族の関係者が殺到、再度求婚者も殺到して大混乱。現在入場制限している。
・クイーンアントの討伐クエストについて。不正されていた可能性が高い。討伐完了として提出された部位は本物だが、ギルド内で保管されていた素材を繰り返し使っている可能性がある。ギルド職員の不正、内部調査が再度必要。
・魔女の代表が現在も副ギルド長とスノウさんを捜索している。情報提供者に賞金。賞金首扱いになっている。
・雷龍王からお茶会のお誘い。
「参りました。やはり雷龍王様の耳にスノウ様の件が入っていますね」
ローレライは深いため息をする。
「そろそろ息子の顔を見せに来いって、痺れを切らしたんじゃない?」
ソエルから見ても雷龍王の溺愛ぶりは目に余る。
問題は、スノウが白翼族と知っているのか?
スノウの中にいる神(G・O・D・S)と敵対する可能性はないのか?
もし敵対した場合はどうするのか?
その答えは最初から決まっている。
愛する人を守るために、雷龍王やこの世界を敵にしても構わない。
きっとローレライも同じ考えだろう。
自分たちの世界の中心は彼なのだから。
87話です。
皆さんこんばんは。北海道は急激に寒くなってきました。
朝方だと10℃切ってます。季節の変わり目が近づいてきてます。体調の管理に気をつけてください。
次回は金曜日の予定です。よろしくお願いします。




