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魔都だより

作者: 躑躅

早朝。兵隊たちが隊列を組んで、街の中心へ歩いてゆく。

ご苦労様です。

俺は彼らとすれ違い、反対方向へとぼとぼ歩いてゆく。


街はずれ、森に近い、やたら高い城みたいな建物。

なんか暗くてじめじめした雰囲気。


が、その真ん中くらいの高さ。バルコニーのようにはりだしたあたりを俺は見上げる。

そこに通うのが俺の毎朝の日課になっていた。


「おまたせしました」

店のコーヒーと焼き立てパンのにおい。

店のお姉さん(美人)にもすっかり顔を覚えられた。


コーヒーをひとくち含んでから、焼き立てパンにかぶりつく。

窓の外、バルコニーの向こうに、街がひろがる。

どこかの国から派遣されてきた部隊が、大通りを進軍している。

空を、竜騎兵の編隊が飛んで行く。


もくもく食べる。なにもつけなくても、おいしい。

この街は最近まで魔王軍の本拠地だった。

その昔は人間の王都があった。王都は魔物にほろぼされ、ながいこと魔王がこの地に君臨していた。


半年くらい前、勇者パーティと諸国の連合部隊が魔王を打ち倒した。

大変な犠牲がはらわれたとか。


俺はコーヒーを飲んで、焼き立てパンの二つ目にかぶりついた。

王都復興というわけだ。

だが、いくつかの施設や地中深くに魔王軍の残党と呪いが残っているらしい。


王都に残留する各国部隊と、復興のため集まった義勇兵たち。

今日も朝から、討伐のお勤めご苦労様です。


俺はコーヒーを飲み干すと、しばらくぼんやり時を過ごした。

この世界に転移してから、仕事はだいたい週一くらいのペースだ。


内容は主に魔王軍が残した魔法の解析。

それで、まあ、普通に暮らして行ける稼ぎはある。


それにしても、この店は、あいかわらず俺以外の客がいない。

店のお姉さんは、なにやら古い箱の中身を、あれこれ調べている。

「さて・・・」

俺は朝食セット四十Gを支払って、店を出た。


朝食の後は、この先の小川で近所の暇なエルフのおっさんと釣りをするのが日課だ。


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