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黒のキシの黒騎士  作者: hoiya
3/4

●遭難した特級操縦士 続きの続き





 朝起きてから、固形食糧とスープ、コーヒーを食べ、ボディアーマーを着る。やはり空気中の『マナ』がどういう影響をユニットに与えるか分からないので極力外さないようにしている。


 することが思いつかないのでとりあえずギルドに行くとイシュカが出てきた。周りは人が多い、朝早いのにこんなにいるのか。


「おはようタクヤ、ゆっくり寝られたか」


「おはようございます。おかげさまで」


「早速なんだがこっちの部屋に来てくれ」


「了解、トアーネさんもおはようございます」


「おはよう」


 女のユニットでないのを見るのは新鮮だ、線が細く黒髪の女性だ。


 横にある小部屋にイシュカと二人で机を挟んで向かい合って座る。


「実は仕事なんだが良いか?」


「もちろん」


「君の宿代は誰もしない仕事をしてもらうのでギルド持ちだが、仕事は強制ではない。ただこちらとしてはやって貰いたい。その辺は理解してくれ」


「構わないですよ、することは今は決まってませんので」


「有難う、ただ用事が被ったときは言ってくれ、そのあたりは融通するから。ただし街の危険とかの緊急を要するときは例外とさせてくれ」


「了解」


「じゃ仕事の話なんだが、実は東に抜ける主要道路があって、その途中に森がある。そこに小鬼ゴブリンの巣が出来ていてな、どうも大型種が居るみたいだし数が多すぎてこの街では対処するパーティがいないんだ。街道はその影響で襲われてて通れなくなっていて、商業人が五月蠅いんだよ。国に申請するか迷っていてた所だったのだ、タクヤ行ってくれないか」


「了解」


「おいおい、そんな簡単にいいのかい?」


「殲滅したらいいのでしょ?」


「余裕だな……誰かついていってもらうとか構わないか?」


「いいですよ、ただその人も参加を?」


「しない、と思う……それよりタクヤは一人でやるつもりなのか、余裕だな……

 確認の為についていってもらうだけだから。で、場所は歩いて1日で着く距離なので明日の朝から出る予定で今日は準備してくれ」


「今から行きますよ」


「えっ、今から……いいのかい?」


「行きます」


「じ、じゃ同行人を連れてくる、待っててくれ」


 慌てて外に出て行った。連れてきたのは女性で20歳超えてる様な感じで青の髪色で結構胸が豊満な容姿だった。


「おまたせ、人がいなかった……こっちが同行してもらうC級のシエナだ」


「よろしくね~。大きいわね、逞しそう、顔見れないのが残念だわ」


「よろしくお願いします。タクヤです」


「そうだな、俺もまだみてないわ。シエナは小鬼2~3匹なら対処出来るが、少し離れた安全な場所に置いてくれ」


「了解、シエナさん、行きましょうか」


「せっかちね~。いいわ行きましょう」


 門を出て歩いて向かう。普通は商人の荷車に乗せてもらって行くのが標準であるが通行禁止なのでそれは出来ない。シエナの歩幅で行くと時間がかかりそうだった。ドローンを使えば早いのだけどここの習慣に合わせたほうがいいな、なら。


「シエナさん」


「はい?」


「女性にこんなことしてはいけないのでしょうけど、ちょっと失礼します」


「あら、女扱いされたの久しぶり。キャ、お姫様抱っこ、嬉しいわ」


 首に腕を回してきた。


「出来るだけ揺れないようにしますね。よく捕まっていてください」


「はい?え、早い、嘘……ちょっと待って、きゃぁぁぁぁぁ~」


 段々と速度を速めて走る、走る、走る。30分位で目的地に着く。


「シエナさん着きましたよ、腕を外して貰えますか?」


「……」


 目を瞑って腕に力が入っていてしがみついてる。


「シエナさん?」


「え、着いたの。嘘……ここ何処?」


 混乱しながら腕の力を緩めてゆっくり降りる。辺りを見渡して確認してる。服がずれて見えそうで髪は乱れてるので、服を正して髪を優しく手で整えてあげる。


「有難う、こんなに優しくもらえるのも久しぶり」


「シエナさんはこんなに奇麗なのに男は何してるのでしょうね」


 顔を少し赤くして両手を頬に当てクネクネしてる?何だろう。


「シエナさんここでこの片方の腕防具を渡しておきます。着けてここを押さえて貰えますか」


 シールドのドームが出来上がる。叩いてみると大丈夫そうだ。


「もう一度押さえてください」


 解除された。


「では、私が離れたらそれを押して待っててくださいね、終わらして来ます」


 スキャンするとボディアーマーのモニターに赤点が無数森の中に出る。その奥に山の洞窟がありその中にもいそうだ。マルチ武器の大剣を片手にレーザー小銃を持って森に向かう。



★シエナ



 あら、行っちゃたわ、確かここを押さえるのよね。奇麗な透明な青色の膜、強度はどの位なのかしら?魔道具だよね?すごいわね、こんなに簡単に防壁をつくるのは見たことない。風魔法かしら?ひょっとして国宝級の物かも。


 うわ、一杯出てきた100は超えてるわね、助けに行かないといけないのだろうけど私には無理。残酷だけど見捨てるわね、だって今日会ったばかりだもの、命を張ってまで助ける事はないわ。


 すごい、あの大剣片手で振り回してるし一回で20は切ってるわよ……おまけに勢いあまって大木まで切ってるわ。どれだけ力が強いのよ、そんなの見たことないわよ。化け物だわ、タクヤは。


 沢山いた小鬼はあっという間にいなくなった……タクヤは森の奥に入っていったわね、見えないから分からない。でも山に向かって木が倒れて行っている。開拓でもしてるみたい。


 しばらくタクヤが向かった山を見ていたら山が低くなった。見間違いかと目をこすっていると、地揺れとともに大きな音が聞こえ砂煙が舞い上がった。


 えっあれも、タクヤが遣ったの?山を削ったってことなの?化け物よりも怪獣だわ。ものすごく強くて、それも優しい人。うわ、こんな気持ち何年ぶりなの、いや初めてかも。どうしょう、まともに見れるかな。顔みてみたいな……これが完璧ならもうだめだわ。




 さて、どうするか。操縦士になに言ってんのっと思うけど……


面倒だから大剣で切るか。横殴りに切ると紙を切る感覚で小鬼が2つになっていく『スピ』を使いながら的確に小動作で溢さずに討ち取っていく。木に隠れてるのは木と一緒に倒した。


体が武術を覚えているので自然に無駄なく動き次の次まで動作まで解かっている。不思議な感覚だ。


 森の奥に散らばっているのはレーザー小銃で1秒に8匹撃っていく。木が多くて伐採しながら道を作っていく。


森を抜けると山があった。崖になっていて少し上がった所に人一人立って入れる位の洞窟があった。モニターに洞窟内の構造と赤点が多数映る。ここが巣みたいだ。


 洞窟か、大剣が思うように振れないだろう。だったら大剣のレーザー銃で横に切るか。


 横に切るとやり過ぎて山を通過してしまい重力で下に落ちる。調整出来るみたいだが今は操作が分からないや。後で確認しとくか。


洞窟の中の赤点もレーザーが通った後は残っていなかった。出力の間違いで高出力すぎたみたいだ。


 いや5つほど残っている、これが大型種かな。狙いをモニターで方向を合わしレーザーで打ち抜くと赤点が消えていく。もう一度スキャンしたが何処にも見当たらない。終わった。


 シエナの所に戻ると5匹シールドを叩いたり剣で突いたりしていた。何処から現れたのだろう?撃ち漏らしはしてなかったのに。


 歩いて近づくとこっちに襲ってくる。大剣で対応して終わる。


 シールドの中でうつ伏せに縮こまっていたシエナがいてシールドを叩いて。


「お待たせしました、終わりました」


「え、もう?」


「なぜ、ここに小鬼がいたのです?撃ち漏らしてはいなかったのですが……」


 恐る恐るシエナが顔を上げ辺りを見渡し安心したのかシールドを解除した。


「急に後ろから来たの、怖かったわ」


 念のため周りをスキャンするとパラパラとはいるが集まってるのはいない。小鬼はグループを作って移動してたので違うと分る。


「もういませんから安心してください」


「それは、タクヤ様がいるから安心です」


 なぜか微笑を浮かべながらゆっくり抱き着いてきた。


「様?まっ良いですが……確認しますか?」


「役目ですから確認しますが……タクヤ様も付いてきてくださいね」


「了解、数は1302匹でしたね、全部確認しますか」


「……そんなに、それもこんな短時間で……」


 もう一度戻りながら確認していき洞窟まで来ると


「もう、大丈夫です、洞窟の奥も崩壊して入ることも出ることも出来なさそうです、完了です、タクヤ様」


「念のため洞窟は封鎖しますね、また巣を作られるといけないので」


 剣で洞窟の壁を斬り落として封鎖完了。そういえばこの反対側のずっと上に集落があったな。大丈夫なのか心配だ。時間があれば見に行くか。


 帰りもシエナをお姫様抱っこをして帰るが今度は騒がず幸せそうな顔をしていた。おまけに降ろそうとしてもなかなか離れてくれなくて困り果てた。


 無理に降りてもらってギルドに入るとイシュカが呆けて


「あれ、忘れものか?」


「いえ、終わりましたので報告に」


「え、まだ昼前だぞ……ははっ、そうか冗談か。何忘れた、討伐金額なら十分にだすぞ」


「終わりましたので報告にきました」


「……終わった?シエナ、本当?……」


「すごかったですわ。もう圧倒的な強さですよギルド長。山まで崩す強さでしたわ」


「……や、山まで……想像がつかない。ちょっと待て、さっき出て行ったよな」


「はい」


「で、場所は歩いて1日かかるよな」


「普通は」


「で、小鬼を殲滅して山まで崩して1日かかる所を今の昼前に帰ってきたと」


「はい」


「誰が信じる?」


「シエナは信じてますわ、見てきましたから」


「やりたくないから2人で嘘をついてるとか」


「ないです」


「じゃ聞くけどどうやって往復2日かかる所を行った」


「シエナさんをお姫様抱っこして走りましたが?」


「無理だろ……俄には信じられない、人を出して確認してもいいか」


「はい、了解」


「ギルド長、シエナが信じられないということですわね。そんなに信用無かったのですか」


「い、いや。だってそうだろう?2日をちょっとの時間で終わらすのは普通無理だろ。俺にも信用問題があるんだ、シエナが嘘をついてるとは言わないが確認だけさせてくれ。お願いだ」


「え~わかりましたが納得はしてませんからね。ただ事実終わりましたので報告しましたよ」


「有難う、ちょっとだけ済まない、時間をくれ。じゃ今日はお疲れ様、タクヤ、2日後にギルドに来てくれるか」


「了解です。では」


「ねっ、タクヤ様、今から何するのですか?食事に行きましょうよ」


「いや、今日は宿で寝ます」


「いや~寝るの。まだ私の心の準備が出来てないですわ」


「?一人でです」


「つれないですわ、ね、何処か行きましょうよ」


「シエナに何があった?お前も確認に行ってもらうから今からは無理だぞ」


「私も終わったのですよ。報告もしたし」


「細かい場所が知りたいのだ、命令だ来てくれ」


「ヤダ、タクヤ様と一緒に居たい」


「お前は子供か……来い」


 シエナが引きずられて行ってしまった








有難うございました

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