ラクダに揺られて
翌朝、シトラス達が目覚め宿の外に出ると、村の村長という人が待っていた。あのご夫婦もいる。
村長は、賑やかに言った。
「ようこそいらっしゃいました、旅の方。ただ今よりわが村名物、砂丘ツアーに参加しませんか?」
ポカンとするシトラス達に、ご夫婦が説明する。
「悪いね。旅の方がいらしたと、俺達が村長に説明したんだ。この国に村は一つしかない。だから、せめて旅人に楽しんでもらおうと、砂丘ツアーを始めたんだ」
「そう。この村からちょっと歩くと、オアシスがあるの。砂丘は、そのオアシスのずっと向こうよ。遠いから、砂丘にはラクダに乗って行くのよ」
シトラス一行は円になり、小声で相談する。
これからどうするか、行き先は決めていないけど、暑いのは嫌だしなぁ。
村長達は待っててくれていた。
「ねぇ、どうするのシトラス。せっかくのお誘いだし。あたしは、どっちでもいいよ」
「どっちでもいいって、ジェニファー、そんな他人事みたいな言い方、困るんだけど」
「だって、このチームのリーダーはシトラスだよ」
「こんな時ばっかり」
「そんな事よりも、お金かかるんじゃないの? ツアーって言ってるし。まさかタダじゃないわよねぇ」
「オレも、ティナさんと同じ事考えてました。ここはやっぱり、リーダーにバシッと決めてもらおう。な、シトラス君」
「ロックもかよ!」
みんなの視線を浴びて、シトラスは困り顔。
それでもう〜んと考える。
やがて閃いたって顔をした。
「よ〜し、決めた!」
「おお、決まりましたか」
「ああ、俺、リーダー止める!」
ズコッ。
ロック、ジェニファー、ティナだけでなく、村長さんとご夫婦もこけた。
「シトラス〜〜。決めたって、その事かよ!」
「ああ、ティナさんにやってもらう」
「何言ってんのよ。今はそれを決めるんじゃないでしょ。それに、アタシは嫌だよ」
ジト目に包まれる。
シトラスは居心地が悪くなった。
「分かったよ。真面目にやるよ。砂丘ツアーに参加しま〜す」
「本当ですか? 旅の方!」
「はい、今度は本当です! ただし、お金はどうなっていますか?」
「ああ、お金ですね。お一人様200コインになります。まいど!」
え、意外と安い。っていうか安すぎないか?
砂丘までラクダに乗せてもらうんでしょ。
もう少しかかると思っていたのに。
「せっかくこのような暑い土地に来て頂いて、高いお金はもらえません。旅の方に楽しんでもらうのが、わたし達のモットーですから」
そういう事なら遠慮無く。
ティナはみんなの分800コインを村長さんに払った。
「まいどおおきに〜」
ニコニコ笑顔の村長さんは、ラクダを用意するので待ってて下さいと、ピューッと走って行った。なお、ラクダは彼の息子夫婦が手綱を引いてくれるという。
宿のご夫婦も帰った。
「お待たせしました。僕はこの村の村長の息子、ミゲルと申します。ラクダのご用意ができましたので、どうぞこちらへおいで下さい」
目元が村長さんに似ている若い男が、シトラス達の元に駆けて来る。その男性について、シトラス達は村の外れに行った。
二頭のラクダが並んでいた。
その側で、にこやかに笑う女性がいる。
「おはようございます! 今日はよろしくお願いしますね。わたしはミゲルの妻でカーシャといいます。どうぞ、ラクダにお乗り下さい」
ラクダはしゃがみ、背中に乗せやすくする。
シトラスとジェニファー、ティナとロックのペアでラクダに乗った。
「それでは、砂丘ツアー出発しま〜す!」
ミゲルとカーシャがそれぞれのラクダの手綱を握り歩く。
シトラス達のラクダが前、ロック達のラクダが後ろだ。
何か、自分達だけラクダに乗って悪いなと思ったけど、二人とも慣れているらしい。気にせずどんどん進む。
ここは昨日、蟻のモンスターに襲われた所だ。
今日は出てこない。
退治したからか。
そんな事を考えていたら、見覚えのある場所へ。
「旅の方。ここがオアシスです」
相変わらずの澄んだ綺麗な水。
シトラス達は初めて来たかのように説明を聞いた。
「このオアシスは主に僕達の生活用水として利用しています。飲み水にしたり洗濯をしたり、用途はいろいろですね」
「それじゃあ、村から水を汲みに来るという事ですか?」
「そうです。人の力だと重いので、ラクダ達に運んでもらっています」
「へえ」
大変なんだな。砂漠の生活って。
それにしても大活躍だな、このラクダ達。
「それでは、次のオアシスに行きましょうか。そこで一旦、休憩にしましょう」
次のオアシス? オアシスって何個もあるんだ。
シトラス達はだんだん、砂漠が面白くなってきた。
ただ、暑いのは変わらない。
ラクダの背中に乗っているから、日差しがジンジン来ているみたい。
ジェニファーは下を向いて、フードを深く被った。
後ろのシトラスが呟く。
「大丈夫か? ジェニファー」
「う、うん。大丈夫」
「お前暑いの苦手だから、無理するなよ」
「ありがとう。でも平気だよ」
ジェニファーは笑う。
出発前に、水分を取って来たから。
シトラス達のラクダの手綱を引くカーシャが言う。
「皆さま、もうすぐ次のオアシスですよ」
わぁ。
先ほどのオアシスより広さがある。
そこでラクダの背から降りて休憩だ。
ラクダ達がしゃがんで水を飲む。
木の木陰でたたずむシトラス達に、ミゲルとカーシャがジュースとお菓子を差し出した。
ひょうたんの中にジュースが入ってるんだ。
さっぱりしてて美味しい。
酸味もある。
「この地方特産の、サウズランドオレンジのジュースでございます」
そうなんだ。
じゃあ、このクッキーを頂きます。
「塩クッキーです。砂糖も入っていますが、塩が多めです。お口に合いますでしょうか?」
「ゴホッ」
シトラス達はむせた。
ジュースを流し込む。
ミゲルとカーシャの二人が背中をさすってくれた。
「旅の方、大丈夫ですか?」
「あ、はい。すみません。あの、思ったより塩が入っていて……」
「そうなんですよ。申し訳ありません。水分と塩分補給の為です。汗で、流れちゃいますから」
「そうなんですね。もう一枚もらえますか? 慣れたらクセになって」
「はい、どうぞ!」
ジュースを飲んだら、ジェニファーも元気になったようだ。
良かった。
さて、休憩が終わったら砂丘だ。
どんな景色が見れるんだろう。
そこで待っている物とはー?
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