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試合開始

 受付の女性は、シトラス達が初めて闘技場に来たという事で、丁寧に説明してくれた。

 まず、ここでは主に三種類の試合があるという。

 一つ目は、〈モンスターズバトル〉というもの。闘技場で飼われているモンスターと戦う試合だ。次に〈マンズバトル〉。選手として登録した人達と戦う試合だ。モンスターズバトルもマンズバトルも、出て来る人数やレベルがその試合によって違う。最初に、受付で選手やモンスターの表を見て、今日はこの人と戦おうと選ぶシステムだ。

 チームのメンバーは、最大四人まで。一人で行くのもいいし、みんなで協力するのもいい。それは自由だ。この二つの試合だが、毎日何回も行っているが、基本的には一回戦しかない。一試合終わって、次はこの人と戦おうと思ったら、また受付で選ぶしかない。

 最後の三つ目、これが今回シトラス達が挑戦する〈チャンピオンズバトル〉。この試合は一日一回、決まった時間にしか開催しない。勿論その時間だけ、モンスターズバトルとマンズバトルはお休みだ。

 ルールも違う。前の二つは一回戦だけだったが、この試合はトーナメント式になっており、全部で五回戦まで戦う。

 一回戦は出場チーム全員でのバトル・ロワイアル。15分という制限時間が切れるまでに、残っていた四チームのみが次の二回戦に進める。メンバーの内、一人でも立っていればいい。

 次の二回戦。四チームを二チームずつに分け、それぞれ戦ってもらう。そして勝った二チームだけが、次に行くのだ。三回戦。ここまできたらもう分かるね。そう、ここで一チームだけ残るのだ。しかし、試合は五回戦まである。ここで登場するのが、闘技場最強モンスターの一匹、白熊のベアだ。このモンスターを倒すと、いよいよお待ちかねのチャンピオンの登場だ。

 このチャンピオンと戦う五回戦のみ、チームのメンバーの中から代表者を選んで、一対一で戦うというルールになっている。

 受付の女性が時計を見た。


「チャンピオンズバトルが始まるまで、あと40分くらい時間がありますね。それまで、控え室でお休みになりますか?」

「あの、他の試合を見ていてもいいんですか?」


 ロックの質問。

 女性は美しく微笑んだ。


「構いませんよ。試合を見て研究なさるのも自由です。では、一応控え室の番号です。チャンピオンズバトルが始まる時に放送が鳴りますから、その時に控え室の通路で待っていて下さい」

「はい、ありがとうございます」


 番号札を受けとる。

 控え室の通路で調べてみると、レイニーさんの隣の部屋だった。


「よしシトラス。モンスターズバトルを見て来ようぜ。時間がある事だし」

「そうだな。試合の下見にちょうどいい」

「うん。せっかく来たんだしね」


 観客席に座る。

 もうすぐチャンピオンズバトルが始まるという事で、ぞろぞろとお客が集まり出していた。

 二つの登場口から、それぞれモンスターと人間が出て来る。

 声援が飛んだ。

 モンスターは以前シトラス達が戦った事のある黒いお化けのシャドウだ。二匹いる。対する人間チームは二人とも男。魔法使いと戦士だ。

 シャドウが吐く吹雪をシールドで防ぎ、戦士が突っ込む。斧の一撃で一匹倒した。魔法使いがバーニングバードでもう一匹を攻撃。避けられた。姿を変え縄みたいに縛りつく。戦士が斬り落とし、とどめのサンダーボムで倒した。


 ワアアアアア……。


 観客のどよめきの中、試合を満喫したシトラス達。他人の戦いを見るのも勉強になる。コンビネーションとか、タイミングとか。と、そろそろ控え室に戻らないと、チャンピオンズバトルが始まる。シトラス達は席を立ち、控え室の通路に向かった。

 通路にはすでに、他の選手達が集まっている。

 闘技場の係の人が来て、選手達に色とりどりの布を渡した。それを腕に巻く。これは、これから始まるチャンピオンズバトルに備えて、チームを分かりやすく色で分ける為だ。例えば、先ほど会った上半身裸でトレーニングしていた男性のチームは赤、シトラス達は緑という風に。ちなみにその男性だが、ペアの女性がいたらしい。

 シトラス達は何だか緊張してきた。

 放送が鳴る。


「皆さま。お待たせ致しました! 只今より、本日のチャンピオンズバトルを開催致します! それでは、選手の皆さまの入場です」


 二列に並び入場する。

 舞台(リング)に選手全員が立った。

 今日の出場チームは、シトラス達含め全部で10チーム。この中から、4チームだけが次の二回戦に行けるのだ。


「それでは、準備はよろしいですね。一回戦、バトル・ロワイアル、始め!」


 合図と共に、一斉に選手達が動き始めた。

 舞台(リング)の真ん中に立つと、目立ってしまう。

 シトラス達はなるべく端に立ち、攻撃が当たらないように逃げていた。

 しかし、リングから落ちても負けである。

 そこは気をつけないと。

 開始から10分経った所で、大男がジェニファーに狙いを定めた。


「はっ」


 ジェニファーが気づいて、魔法を放つ。


「アイシクルレイン!」


 ドドドドドッ。


 男のパンチは当たらなかった。

 男は倒れる。

 それをきっかけに、他の選手達の目が、シトラス達に向いた。

 シトラスとロックは顔を見合せ、笑って頷く。

 そして仕掛けた。


「疾風!」

「乱天狩射!」


 二人の技が選手達を吹き飛ばす。

 その時、終了の鐘が響いた。


「第一回戦、バトル・ロワイアル終了です! 二回戦に進むチームは……、白チーム、オレンジチーム、赤チーム、緑チームです!」


 シトラス達は無事二回戦進出。あの男性の赤チームも、二回戦進出だ。

 念願の二回戦進出に、男性は涙を浮かべ喜んでいた。


「二回戦進出のチームの皆さま、おめでとうございます。それでは、代表者の方に、こちらの箱の中の紙を引いて頂きたいと思います」


 シトラスが紙を引く。

 Aー2と書かれていた。

 続いてオレンジチームの代表。

 Aー1だった。

 つまり、シトラス達緑チームとオレンジチームが二回戦第一試合で戦い、白チームと赤チームが第二試合で戦うという事だろう。

 対戦相手が決まった後、5分の休憩に入った。

 シトラス達はリングの脇で休む。

 トイレ休憩から、観客が戻って来た。


「では、二回戦を開始します。選手の皆さま、舞台(リング)の上にどうぞ」


 四チームが登る。

 係の人が、二チームごとに分けた。


「それでは、Aの舞台(リング)が上昇します。選手の皆さま、掴まっていて下さい」


 手すりが現れ、舞台(リング)が真ん中から割れた。シトラス達が乗っているリングが上昇する。

 一メートルほど上がると止まった。

 は〜ん、二試合を同時に行うという事か。

 それにしても凄い技術だ。

 見えない観客には、シトラス達と一緒に上がった実況の人が説明してくれる。


「二回戦、開始します!」


 ゴングが鳴り、シトラス達は気合いを入れた。









 

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