表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
159/635

闇の結界

 スカイドラゴンの首で光る宝石。

 その光に導かれ、シトラス達はグンと上空までやって来た。

 位置的にいうとキボー国から少し北に行った所か。

 ただし、天空の王国スカイラーより高い。

 天気は晴れなのに、そこだけが雲が何十にも重なったようになっていた。

 普通の雲ではなく、黒っぽい雲。

 光はその中を通っている。


「……あ」


 ルナンが声にした。

 両手で肩を抱くような仕草をする。


「ルナン、怖い?」


 シトラスが尋ねた。

 彼女は正直に言う。


「はいご主人様。正直に申しまして、もう一度あの城に入るのが怖いです。しかし大丈夫です。皆さまと同じく、わたくしも戦わせて頂きます」


 ティナが後ろからそっと肩に手を置いた。


「ルナン。アタシ達が守るからね。辛かったらアタシ達を頼りなよ」

「そう。なるべく一人にならず、俺達の側から離れるな」

「ティナ様……、ガルディス様……」


 二人の言葉に、ルナンの瞳は潤んだ。

 ドラゴンも結界を通らず、待っててくれてる。

 ルナンは笑った。


「よし」


 シトラスは前を向き、右手を出す。


「いいよ、ドラゴン」


 スカイドラゴンの白い翼が動く。

 首を伸ばし結界に顔で触れたら、雲が避け道が現れた。

 まるで雲のトンネルみたい。


「突入〜〜!」


 結界の先に、勇者一行は向かった。



 シトラス達が裏側の世界に突入した頃、彼らの世界ではある異変が起きていた。

 三人の聖霊が苦しんでいる。

 水の聖霊アクアリーゼと炎の聖霊フレイル、大地の聖霊グラニーだ。


「うう……」


 オーブを闇のクリスタルに無理やり押し込められた為、力を徐々に奪われていた。

 聖霊王スターティオスも気づく。


「……っ。これは……っ」


 今は聖霊達自身も何とか頑張っているが、もし意識を奪われ、力を利用されたら。

 世界に影響が出る可能性がある。

 まず海の水が上昇するだろう。

 フレイルが守護する火山も、爆発するかもしれない。

 そしてグラニーの力。

 大地を緑にするだけではなく、砂漠にする事も可能だ。

 そうしたら人間を含めた、あらゆる命が危険に及ぶ。


「くっ、魔王め……」


 スターティオス一人の力では、抑えきれまい。

 シトラス達に頼るしかないか。


(シトラス、ガルディス、みんな、急いでくれ)


 三人の聖霊の様子に注意を払いつつ、スターティオスは願った。



 雲のトンネルを抜ける。

 前方に浮かぶ大地。

 その(へり)にドラゴンは降り立ち、シトラス達は急ぎ城の中に走って行く。

 ドラゴンはスターティオスの気を受けている。

 魔物が襲って来ても大丈夫だろう。


 カツカツカツ。


 通路に勇者一行の足音が響く。

 城の内装は、ガルディスやルナンがいた頃とほとんど変わっていない。

 城は二階建て。

 二階は主に、魔族や魔王の各部屋がある。

 一階奥に接見の間。

 その他一階には、魔族やモンスターを治療する部屋や、武器や食料の保管庫。大浴場などがある。

 あと、用途の分からない部屋がちらほら。

 オーブは何処にあるんだ?


「ガルディス様……」

「ああルナン。おかしい。あまりにも静か過ぎる」


 魔王ダイロスはおろか、ドラモス達の気配すら無い。

 何かの罠なのか。

 彼らは足を止めた。


「あたし達おびき出されたって事? ガルディス」


 ジェニファーの質問にガルディスは答えた。


「ああ。そう考えるのが妥当だな。オーブを奪われた時点で、何か仕掛けていてもおかしくない」

「けど兄さん。罠があるかもしれないのは覚悟していた事。それよりも、早くオーブを探そう」

「ああ、慎重に部屋を回ってみるか」


 治療室とか用途が分かる部屋はあらかじめ避けた。

 まずは一つ目。


「さて……」


 ドアノブに指をかけた。

 と、その瞬間だった。


「ガルディス様っ!」

「何っ」


 一行の足元に黒い闇が広がる。

 一気にその中に吸い込まれた。

 体が沈む。


「うわああああっ!」

「キャアアアアア!」


 床の闇はシトラス達を吸い込むと、何も無かったかのように消えた。

 地下に落とされる。

 気を失ったままの彼らを、二人の戦士が見つめていた。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ