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笑わせ隊?に遭遇

 ユノ村の入り口。

 村人総出で、シトラス達を見送りに来てくれた。

 村長が言葉をかける。


「ありがとう勇者シトラス殿。ロック殿。サララ殿。ジェニファー殿。君達の活躍を、忘れないよ」

「村長さんも、皆さんもお元気で」

「これからの旅で、辛い事があったらいつでも来なさい。わたし達はいつでも歓迎するよ」

「はい、ありがとうございます」


 アミーちゃんが、サッと駆けて来た。


「お兄ちゃん、これ」


 シトラスの手に握らせてくれたのは、花のブローチだった。


「アミーの事、忘れないようにね」


 シトラスは、アミーちゃんと同じ目線になり、笑う。


「ありがとうアミーちゃん。大切にするよ」

「うん! お兄ちゃん、また遊びに来てね」

「ああ」


 シトラスは立ち上がり、手を振る。

 ユノ村の人々も、歩き出すシトラス達に手を振って見送った。


「さよなら〜〜、勇者殿〜〜!」

「お元気で〜」


 アミーちゃんは、とびきり大きな声で叫んだ。


「バイバイ〜。お兄ちゃん達〜。絶対また会おうね〜〜!」


 背中にぬくもりを感じながら、シトラス達は村を出た。

 アルズベルト村とは全然違う。

 人々の温かさがあった。

 アルズベルトの人達もこうだったら、俺はこんな気持ちにならなくてすんだのかも。


「シトラス?」


 ジェニファーは彼が目を押さえているように見えたので、気になって聞いてみた。


「どうしたの? 泣いてるの?」


 シトラスはジェニファーから逃げるように早足になった。


「な、何でもない」

「シトラス……」


 駄目。

 これ以上、何も聞けない。

 聞いたら彼が、シトラスが、辛くなるから。

 そんな黙ったままのジェニファーの肩に、ロックがポンと手を置いた。


「ロック……」

「ジェニファー。お前は優しいな。いつもシトラスの気持ちを考えてる」

「ロックもでしょ。だから、黙ってた」

「まあな」


 そんな二人にサララが礼を言う。


「ありがとね。ジェニファーもロックも。あなた達がシトラスの友達で良かった」

「サララさん、オレは、あいつをほっとけないだけです。あいつ、一人で背負(しょ)い込む癖があるから」

「あたしも、シトラスの悲しむ顔は見たくない」

「ありがと。大好きよ、二人とも。さぁ、シトラスが先に行っちゃうわ。急ぎましょう」

「はい!」


 沈んだ顔のシトラスに、ジェニファー達が追い付く頃、風に乗って楽しげな音楽が聞こえて来た。

 近づいてみると、五人の男女が楽器を演奏している。


「ヘイ! ボーイ。何か泣きそうな顔してるね。ミー達の演奏を聞いて、楽しくなっていかないかい?」


 一番前で笛を吹いていた眼鏡の男性が、シトラスに話しかける。

 いかにも陽気な人という感じだ。


「あの、あなた達は一体、どういう団体なんですか?」

 ロックが聞いてみた。


「オー。バンダナのボーイ。ミー達は魔物の襲来で暗くなった世界を明るくするために結成した、通称笑わせ隊だよ〜。辛い事があっても、楽しい音楽を聞けば、気分は晴れるでショ〜?」

「笑わせ隊?」

「そう。正式な名前は無いんだ〜。音楽を聞いてくれたみんなが、あなた達は世界を笑わせようとする笑わせ隊だね〜、なんて言ったのさぁ」

「そうなんですか」


 その時、シトラスが顔を上げた。


「世界を、笑わせる……」

「シトラス、この人達の音楽を聞いてみようぜ。お前の気持ちも晴れるかもしれないぜ?」

「ロック……」

「うん! あたしも賛成。それにあたし、シトラスに笑っていて欲しい」

「ジェニファー……」


 サララは何も言わず、そっとシトラスの肩を抱いた。

 ずっと一緒に暮らして来た。

 この子の苦しみは、わたしの苦しみ。


「よーし、分かった! ミー達が最高の音楽で君達を笑わしてあげよう!」


 眼鏡の人が笛を吹く。

 女の人二人は、タンバリンとギター担当だ。

 後ろの男の人二人。

 一人はアコーディオン。もう一人は太鼓。

 陽気で踊り出しそうなリズムが、シトラス達の胸を打つ。

 何だか楽しくなってきた。

 自然に笑顔になっている。


「オー、ボーイ。やっと笑ったね〜。君イケメンなんだから、泣いてちゃ駄目だよ〜。カノジョもそう言ってたでしょ〜?」

「えっ、カノジョ?」

「隣のミニスカの彼女だよ。違うの〜?」


 シトラスとジェニファーは顔を赤くする。

 が、シトラスは否定した。


「ち、違います。俺達はまだ……」

「まだ? いずれそうなるって事かな〜? まぁいいか。これから盛り上がって行こう!」


 サララとロックは笑う。

 眼鏡の男性、ナイス突っ込みだ。

 音楽はこれから最高潮。と思ったのだがー、


「おい! うるせーぞ!」


 魔物が襲って来た。

 こん棒を持った体格のいい熊の魔物だ。

 口から鋭い牙が見える。


「俺の名前はクマッチ。人間共に音楽を聞かせて楽しませてるのはお前達か? おかげで人間供のテンションが高まって、魔王様に反抗する奴が増えた。魔王様のために、死んで貰おうか」

「く、クマッチ……」


 そのネーミングにシトラス達は吹き出そうとしたが、状況が状況だけに押さえようとした。だが、我慢ができない。腹を抱えた人間達に、クマッチはキレた。


「やかましい! 俺もこの名前を気にしているんだ。笑うんじゃねえ!」


 こん棒を振り回す。

 短気な魔物のようだ。

 笑わせ隊のメンバーは、サッと木の後ろに隠れる。

 シトラス達は、クマッチと向かいあった。


「んだあ、お前達は、どけえ!」


 狙いの笑わせ隊が逃げて、クマッチは邪魔なシトラス達に激昂する。

 武器を構え、名乗った。


「俺は、勇者シトラス!」

「魔法使いジェニファー」

「弓使いロック!」

「剣士サララよ。クマッチ、わたし達があなたと戦う!」

「何っ!? 勇者?」


 目の前の子供(ガキ)供が、勇者?

 魔王様の邪魔をする者。


「勇者、いいだろう。貴様らを倒したあと、あの人間供の命を貰う!」

「やってみろ!」


 クマッチとシトラス達の戦いが始まった。











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