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神秘の鍵

 シトラス、ジェニファー、ロックは宿のベッドの中ですやすや寝息を立てていた。サララは、シトラスのメモリーリングの中。夜になると、こうしてメモリーリングの中で休むのだそうだ。ガルディスの物でもシトラスの物でもどちらでもいいが、今日はたまたま、シトラスの側にいたかった。

 ちなみにメモリーリングは、寝る時は外している。

 その頃、ガルディスとティナは酒場にいた。

 カウンターで酒を飲みながら話をしている。


「カジノ、思ったより楽しめたわね」

「ああ。シトラス達にはどうかと思ったけどな」


 実は、食事処で夕食を食べた後、せっかく誘われたのならと、みんなでカジノに行っていた。

 シトラス達子供にギャンブルをやらせるのは、とガルディスは乗り気じゃなかったが、今まで頑張った分のご褒美として、少しだけならと了承した。

 受付で、専用のメダルを買う。

 メダルは一つ10コイン。

 500コイン分だけ買って、スロットやポーカーに挑戦した。

 大当たりはしなかったけど、シトラス達はそれなりに楽しんでいたようだ。


「面白かったですね。ご主人様達があんなにはしゃがれたの、久しぶりに見た気が致します」


 ルナンが、ガルディスの隣に座った。

 彼女はオレンジジュースを頼む。


「あら、ルナン。お酒飲まないの?」

「わたくしは、飲めないのです。まだ19ですし」

「ええ、そうなの? ゴメン、同じ年だと思っていた」


 この世界では、酒が飲める年齢は20歳から。

 つまり成人という事。

 ルナンは気にする事なく、ティナに微笑んだ。


「構いませんよ。顔が大人びてるのか、年齢より上に見られる事が多いですし。それに、この喋り方ですから」

「それだけ、しっかりしているのよ。ルナンは」

「わあ、フォローありがとうございます。ティナ様」


 ガルディスが、今度は言った。


「それよりルナン。眠っていたんじゃないのか? シトラス達は?」

「ご主人様達は、よくお休みになっております。わたくしは、その、寝つけなくて……」

「そうか。じゃあ、一緒に飲むか?」

「けれど、お二人のお邪魔になりませんか?」

「いいのよ。きっとカジノで興奮したのね。三人でお話しよう」

「はい!」


 一時間ほど、三人の宴会は続いた。



 そして朝。

 村を出た一行は、東南へと向かっていた。

 食事処の店主が、気になる事を言っていたから。

 店主は、偶然シトラスが持っていたオーブを目にしてから、彼らが勇者一行だと気がついた。

 魔物がいるかもしれないからと、小声で教えてくれる。

 天空の王国スカイラーから来た天人(あまびと)は、地上の人々と交流を図る他に、もう一つ目的があった。それは、勇者にスカイドラゴンを渡す事。

 スカイドラゴンは、先代の勇者一行が魔王の棲みかに行く時に乗って行ったドラゴンで、魔王を封印した後、王国に戻っていた。天人達は、魔王の復活を知り、現代の勇者にスカイドラゴンを託そうと、ドラゴンと共に地上に降りて来た。ドラゴンは、塔の中で静かに眠っているという。その部屋は神秘の部屋といい、開けるには神秘の鍵という鍵が必要だ。

 その鍵は何処にあるのですか? とシトラスは聞いた。

 店主は答える。


「その鍵はこの村から東南に行った所にある家の中です。そこには天人の中でも優れた魔女の、グレイスさんがいます。彼女の所なら、鍵は安全でしょうから」

「分かりました。では明日そちらを訪ねてみます」

「頑張って下さいね、勇者さん。ただ、塔が魔物に襲われたという噂もあります。お気をつけて」

「はい」


 という事だった。

 シトラス達は足早に歩く。

 もし、そのスカイドラゴンとやらを仲間に出来たら、行けずに諦めた場所に行けるかもしれない。

 空が飛べるという事だから。

 しかも、先代勇者が魔王討伐の為に託された竜。

 ぜひとも、拝んでみたいものだ。

 一軒の家が見えて来た。

 丸太で出来た家。

 玄関の扉を叩くが、返事は聞こえない。


 ガチャン。


 ドアノブを右にねじったら扉が開いた。

 留守なのか?

 ここでガルディスが、床に落ちている血の雫を発見した。

 固まって、跡になっている。

 ハッとして家の中に飛び込んだ。

 人の気配は無い。

 奥の広い部屋で、デカイ壺の中の液体がグツグツ泡を立てていた。

 魔女の家と言っていたっけ。

 じゃあこれは、何かの薬なのかな?

 それとも……。


「そんな事よりシトラス。グレイスさんって人を探さなくちゃ」


 サララが弟に言う。

 今日はロックの肩に座っていた。


「そうだね、姉さん」

「でもシトラス。誰もいなかったよ、ここまで」

「ジェニファーの言う通り。オレも人影なんて見てねえぞ」


 その時、部屋の入り口から声がした。


「その通りです。さらいましたから」

「誰だ!?」


 バニーガールの足が見えた。

 










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