タコと玉ねぎ
「紫藤ー飯食おうぜー」
「うーい」
「…お、弁当うまそ」
「…玉葱がある」
「玉葱だな」
「斎藤、あーん」
「玉葱くらい食べなさい」
「あーん」
「そんな満面の笑みであーん、なんて別に」
「あーんっ♪」
「いただきます!」
「よし…!」
「ちくしょう…!」
「斎藤は使いやすいな」
「ていうかかなたん最近可愛さ利用してるだろ?」
「使える物は使う」
「悪知恵の働く娘だこと」
「俺と契約して玉葱食べてよ」
「悪魔か」
「お前に相応しい玉葱は決まった!」
「ソイルだろ。玉葱食べないと綺麗にならないぞ」
「別にいいよ」
「俺のお嫁さんになれないぞ」
「一向に構わないね」
「玉葱食べてあげないぞ」
「紫藤が俺の玉葱を食べるなら付き合ってもいい」
「マジか!」
「社交辞令って知ってる?」
「……」
「玉葱ってなんでカライいんだろ」
「さあ」
「長葱もカライから仲間の葱みんなカライんだろうなー」
「うん」
「ねえどうしたの?」
「別にー」
「……」
「……」
「斎藤ー」
「なに」
「返事しないと」
「しないと?」
「斎藤がいない間に見つけた壁とベッドの横に挟まれた本と机の下に貼り付けてあった本を斎藤のお母さんに教えちゃうぞ」
「なんだいかなたんっ!」
「ほんと簡単な奴」
「かなたん」
「なに」
「一回抱き締めさせて」
「そこの窓が斎藤の正面玄関だから」
「ここ三階だぞ」
「飛べない斎藤はただのクズ」
「ひでぇ」
「斎藤って食べれないものとかあんの?」
「俺はかなたんを食べたい」
「いい加減殺すよ?」
「ごめんなさい」
「斎藤は人参とか苦手そう」
「残念だが俺はタコが食えん」
「ふぇー…意外」
「なんか噛み辛いから嫌い」
「おじいちゃんみたいだね」
「かなたんは子供だな」
「俺はもう大人だもん」
「かわゆいのう…」
「つつくな」
「…ん…?」
「ちゅまむな」
「かなたんすべっすべやん」
「やめれ」
「しかも柔らかい…」
「ぅぅぅー」
「可愛いなぁ…可愛いなぁ…」
「ぐぐぐ」
「顔赤くして可愛いなぁ…」
「つぇい!」
「がはっ!?」
「よし、数学数学!」
「…肘はきいたぜ…っ…!」