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第3話「欧米大陸に紅葉は無い」
「シナビっ! お前、アメリカから戻っていたのか!?」
「ニューヨークのクリームもみじ饅頭は絶品だったよ。それはそうと太陽くん、どうやら君は、力を手に入れたようだね」
「力? 何の話だ?」
「トボけるなよ。変な男から変な薬を貰っただろう?」
「ああ、アレね。貰ったぜ、そして飲んだぜ」
「あれは人に強大な力を与える賢者の秘薬さ。いずれ君も、自身に備わった未知を自覚するだろう」
「『君も』? シナビ、まさかお前もあの薬を……」
「いや、僕の場合USBにフォルダがあったからインストールしたんだ。そして力を得た」
…………意味がわからないんだが。しかし、シナビがキチガイなのは今に始まった話ではない。現にこうして俺の席にウェディングケーキを置いたりするしな。
「そうだよケーキ! シナビ、この馬鹿でかいケーキは何なんだよ!?」
「連休中、暇だったからアメリカ帰りに作ったんだ。折角だから、太陽くんにお裾分けするよ」
「世界一いらねえ」
俺はウェディングケーキのクリームを指ですくい、口に含んだ。
…………普通に美味かった。