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繚乱戦記  作者: 出雲屋蹈鞴(いずもやたたら)
章間
8/16

世界の終わり、或いは世界の始まり

 さて、ここで歴史の話をしよう。

 彼と彼女の物語からさらに昔――我々から見ると未来の話だ。

 1945年の第二次世界大戦終結より、人類はある程度の平穏を享受(きょうじゅ)してきた。しかし、平穏で堕落した時代が続くと、世界というのは脆弱なものとなる。

 2050年、インターネットの消滅が、その平穏の崩壊の引き金となった。突然のインターネットシステムの崩壊、過去類を見ない世界そのものの崩壊と言える事件により、人類は混乱の渦に陥った。誰がやったのか、どうして起きたのか。疑心暗鬼となった世界の人々は自国以外に犯人を見つけようとする。そのような動きの最中、中国のハッキングの仕業だと断じた米国がついに武力をもって中国を攻める――俗に『米中戦争』という戦争が勃発した。

 この戦争により世界は大きく米中二極化していたのだが、ここでややこしいことが起こる。日本の科学者がインターネットの残骸――通称IWインターネット・レック――と、2045年ごろに発見された『ヒトハリガネムシ』という寄生虫、この二つを利用して超人的な兵士を得るシステムを開発したのだ。

 当時日本はアメリカ側に所属していたが、アメリカからの技術提供命令を拒否。それにより、中国側国家からのみならず、アメリカを支持する国家からも敵視された日本は、共通の敵として扱われることとなった。結果アメリカと中国は一時休戦、他の国家にも声をかけて対日連合軍を結成し、日本へ侵攻。しかし日本はそれを撃退。なぜ撃退できたか。これこそが、日本が両陣営から敵国として扱われる原因となった電子兵の力によるものであった。すなわち始祖の五人と呼ばれる電子兵システムを初めて搭載した五人の少年――城親康(じょうちかやす)刀義武(かたなよしたけ)鎧政氏(よろいまさうじ)陣光治(じんみつはる)梓泰時(あずさやすとき)らの活躍である。彼らは新システム、電子兵の有用性を十二分に示した。始祖の五人である彼らを中心に作られた電子兵部隊『英雄部隊』は、単騎で劣勢を跳ね返し、原水爆や飛行機を撃ち落とした。

 しかし、一度撃退したところで侵攻が終わるかと言うとそんなことはない。相次ぐ世界からの侵攻、それに対してたった一国で立ち向かう日本。いくら電子兵が強いと言えども世界はあまりに強大であった。電子兵も休みなく動かねばならず、次第に追い詰められていく。そこで日本は劣勢を跳ね返すため、対日連合軍の中心国家群以外に、電子兵システムを提供することを約束し、同盟を求めた。

 その呼びかけにベトナム、イラン、エチオピアをはじめとした多くの国が応え、日本を盟主とした軍事連合――『国際同盟』が成立。アメリカと西欧はそれに対抗し『EAU』を、中露はこの二組織に対抗するために『CHARU』を作り上げた。こうして生まれた『国際同盟』『EAU』『CHARU』の三つ巴は『米中戦争』を『第三次世界大戦』へと発展させ、世界を巻き込んだ大戦は更に大きな渦となった。


 第三次世界大戦の前哨である米中戦争が開戦して、百年近く。

 梓泰時は時久という子供を儲け、時久は時頼という子供を儲け、そして時頼は時宗という子供を儲けた。それだけ、長い戦争である。

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