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猫耳王子  作者: 麻沙綺
7/22

不思議な耳

放課後。

私は、鞄を掴んで教室を出ようとした。

「あっ、春菜。一緒に帰ろう」

あっ君が、声を掛けてきた。

「ん…。ごめん。今日は部活なんだ。だから一緒に帰れない」

そう答えた私に。

「じゃあ、僕も一緒に行って見学してもいい?」

あっ君が、背を屈めて、私の顔を覗き込んでくる。

ちょっ…近い。

顔、近いから……。

「うん。いいと思うよ?」

「何で、疑問系?」

あっ君が、不思議そうな顔で聞いてくる。

「さぁ?」

私も自分で不思議だった。

私の言葉にクスクス笑い出すあっ君。

そんな彼にムッとしながら、部室に向かって歩き出した。


「春菜。ちょっと待ってよ」

あっ君が、慌てて追い駆けてきた。

「笑って、ごめん」

シュンと肩を落とす彼。

頭の上にある耳まで垂れてる。

あれ?

さっきまで見えてなかったのが、何でまた見えるようになってるの?

不思議だ。

「春菜?」

私の視線に気付いたあっ君が。

「あっ…」

って、慌てて頭に手をやる。

「春菜って、見えるんだっけ?」

怯えた目で私を見てくる。

何の事かわからず首をかしげた。

一瞬考えてから、今のあっ君を見て、軽く頷いてから。

「うん。あっ君の頭の上の猫耳。綺麗な白色の耳が付いてる」

見たままを伝えた。

するとあっ君が。

「ハァーー」

って、大きな溜め息をついた。

「これは、何か説明しないといけないよね」

あっ君が小声で言ってる。

何を悩んでるんだろう?

「別にしなくて良いよ。興味ないし…」

私は、悩んでるあっ君にそう伝えた。

ただ、普通の人間と違うんだなぁって感じるだけで、別に説明を求めるつもり無い。

「えっ……」

あっ君の驚いた声。

「説明するの大変なんでしょ?だったらいいよ。それに私以外に見える人居ないみたいだから、私が気付かないふりしてれば良いわけだしね」

私は、至って普通に言った。

「……ありがとう」

小声で微笑しながら言う。

「お礼言われる筋合いはないけど…。あっ君は、ここで待ってて」

私は、素っ気なく答えて部室に入った。


私は、胴着に着替えて、防具と竹刀を持って、部室を出た。

「春菜、その格好って…」

あっ君が、戸惑っている。

「うん?あぁ、私、あっ君が引っ越してから始めたんだ。お母さんにも進められたってのもあるけど……」

それまでは、あっ君が守ってくれてたから…。

あっ君が居なくなって、泣いてばかりだった私にお母さんが進めてきたものだった。

『自分の身は自分で守れなくちゃダメよ!』

何て言いながらね。

「そうだったんだ」

あっ君が、何か考え込み出した。

私は、あっ君の横を通り道場に足を向けた。


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