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本人に会えたが…
先生の隣に立って、教室を見渡した。
居た!
窓側の後ろの席に…。
あの、幼かった彼女が今僕の目の前に……。
気付いたら、彼女のところに足が向いていた。
彼女の驚いた顔。
昔と変わって無い。
少しウエーブのかかった茶色の髪を背中に垂らし、大きめな目なのに切れ長で、鼻筋が通っててプックリした唇が艶めいてる。
やっぱり、可愛いな。
写真よりも実物の方が、もっといい。
何て思いながら。
「春菜、僕の事、覚えてない?」
と問いかけた。
でも、春菜は申し訳なさそうな顔をしながら、考え込んでる。
「春菜?」
僕は、再び春菜に問いかけた。
「吉井。ちゃんと自己紹介しろ」
と先生に言われて。
そういや、未だしてなかった。
「はい」
僕は、佇まいを直し。
「吉井敦斗です。よろしくお願いします」
って、その場で頭を下げた。
これで、思い出してくれるかな?
僕の事を……。
僕は、春菜を見た。
そして……。