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猫耳王子  作者: 麻沙綺
15/22

秘密主義?

夜が明ける前に王国から連絡が来た。

まだ眠い目を擦りながら、それに出る。


『おはよう、敦斗。今日のお昼ぐらいにわたしが、翔太に会いに行くから、学校帰りに寄ってくれると助かるんだが…』

と父上が言う。

流石、何時でも言いとは言っていたが、父上、おじさんの仕事の都合とか考えてなさそうなんだが…。

「わかりました。ですが、昨日伺ったばかりなのに続けてとは、如何なものでしょうか?」

二日連続は、流石に行きづらいものがあるんだけど…。

『わたしの事を言えばいいではないか。春菜ちゃんもわたしの事知ってるだろ』

と年甲斐もなくウインクしてくる父上。

気持ち悪いです。

言葉に出さずにそれは流した。

「わかりました。僕は、準備がありますので失礼します」

そう言って、通信を切った。


はぁー、朝から父上に起こされるなんて…。

今何時だろう?

時計を見れば、六時三十分を差していた。

まだ時間は、あるが二度寝したら起きれそうにない。

仕方がない、熱いシャワーを浴びてこよう。


僕は、着替えを持って脱衣場に向かった。

熱い(ってもそんなに熱くないものを)頭から被る。

早く、春菜に会いたいな。

昨日の事もあるから、心配だよ。

僕は、一日でも早く春菜の本当の笑顔が見たいんだ。

今の春菜、笑ってるように見えて笑ってないんだもの。

悲しい笑顔なんて、僕見たくない。

だから、一日でも早く春菜の悲しみを取り除いてあげたい。

そう思いながら、シャワーを浴びた。


僕は、シャワーから上がると、水気を拭き取り制服に着替えた。

髪をタオルでワシャワシャと拭き取り、キッチンに行き簡単な朝食を作った。

それを口に頬張っていく。

食べ終えると歯を研き、身嗜みを整え、鞄を手にして家を出た。



学校に着けば、朝練をしている掛け声が、あちらこちらから、聞こえてくる。それを聞きながら、教室に向かった。

教室に入れば、まだ誰も来ていなくて、自分の席に着き予習を始めた。

暫く経つと。

「あっ、敦斗君、おはよう。何してるの?」

とクラスの女の子が声をかけてきた。

「あっ、おはよう。予習してるんだよ。ほら、転入してきたばかりだからさ。少しは、内容を入れておかないとね」

そう答えれば、

「私でよければ、教えるよ」

鞄を机に置き、僕の横の席の椅子を寄せてきて、一緒に覗き込んでくる。

できれば、一人でやりたかったんだけど、親切心を無下に断るわけにいかないよね。

「ありがとう。お願いします」

僕がそう言えば、彼女の顔がほんの少し赤い気がする。

そんな顔されても、全然可愛いって思えない。

やっぱり、僕は春菜じゃないとダメなんだ。って思わされた。


徐々に教室内の人工が増していく。

僕の周りに女の子達が、集まってくる。

何で?

春菜以外の女の子が、集まってくるの?

これじゃあ、春菜を不安にさせるだけじゃんか。

僕は、春菜だけでいいのに。

心の中で、春菜を求めていたからだろうか、春菜が教室に入ってきたのがわかった。

これが終わったら、春菜の所に行こう。

昨日の事も気になるし…。

そう思いながら、僕は話を聞いていた。



「ありがとう。助かりました」

僕は、教えてくれた彼女達にお礼を言って、席を立ち春菜の所へ行く。

何故か、春菜は教室内をキョロキョロしてる。

何かあったのかな?

そう思いながら。

「春菜、おはよう。目、大丈夫?」

そう口にして、春菜の目元を見た。

あーあ、やっぱり腫れちゃってるよ。

僕の言葉に、春菜の友達が驚いた顔をする。

「あっ君、おはよう。大丈夫だよ。昨日、お父さんに会ったんだって」

春菜が、僕に問いかけるように聞いてきた。

「うん。春菜疲れて寝ちゃったでしょ?一人にしておけなかったから、おじさんが帰ってくるまで待ってたんだ。…で、挨拶だけして帰ったんだよ。おじさん、昔っから変わってないね」

僕は、昨日春菜が寝てからの事を話した。

それを横で聞いていた友達が、瞠目して。

「えっ。なんで、吉井君が…」

って、呟きが聞こえてきたと思ったら、春菜と僕を交互に見ている。

えっ、僕何かやらかした?

「ん?何か、問題があった?」

僕は、春菜に問いかけた。

「あっ…うん、ちょっと…」

春菜が、言葉を濁してるところをみると、言ったら不味かったらしいことに気付いた。

「ねぇ、吉井くん。昨日、春菜の家に行ったの?」

春菜の友達が、怪訝そうに聞いてくる。

いや、そんな顔されても困るんだけどさ。

さっき口にしちゃったし、今更誤魔化しても仕方ないよね。

「うん、行ったよ。こっちに戻ってきたし、おじさんに会いにね」

嘘はついてないし、幼馴染みだし、それぐらい普通でしょ。

けど、彼女は驚いた顔をする。

「ねぇ、春菜。今日も春菜の家に行ってもいい?」

僕は、断られるのを承知でそう口にした。

「えっ、何で?」

春菜が、驚いた顔をする。

流石に昨日の今日だもんな。断ろうとするよな。

「ん。だって、今日僕の父さんが、春菜の家に行ってるから?だから、迎えに行くの。ほら、僕の父さん酒癖悪いじゃん。おじさんと会うの楽しみにしてたからさぁ。僕達が学校終わった頃には、春菜の家の中、大変な事になってると思うんだよね」

僕は、朝父上に言われた通りに言葉を紡ぐ。

すると、春菜も昔の父上の事を思い出したのか、顔色を変えた。

「うん、わかった」

春菜が、承諾する。

「ちょ、春菜。大丈夫なの?」

友達が、焦るように春菜に問う。

「うん。あっ君の家族とは、仲良くしていたからね。お父さんもあっ君だと安心してるしね」

意味深な言葉を春菜が口にする。

あぁ、でも昨日、同じようなこと言ってたな。

「そ…そうなんだ」

驚いた顔をしながら、そういう友達。

何があるんだろう?

「ほら、お前ら席に着けよ」

担任の先生の声が、教室に響く。

「じゃあ」

僕は、それだけを言い残して、自分の席に着いた。


僕の予測だけど、おばさんが居なくなってから、家に誰も呼んでないんじゃないかな?

そう思いながら、先生の話を聞いていた。



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