M4−1 襲撃
会社へ戻って来たサンドラの携帯にメールが届いた。
「杉原貴恵……あれ?メールアドレス教えたっけ?」
そう言いつつ、サンドラはメールを開いた。
『集合。』
「一言だけって。」
サンドラはそう呟くと会社を出た。
「あっ、あんた!!」
サンドラが店に入ると、鼻にガーゼを貼っている女が話し掛けてきた。
「鼻大丈夫?」
「殺してやる!!」
サンドラの言葉に、護衛はナイフを取り出し襲い掛かってきた。
「甘い!!」
サンドラは襲い掛かってきた護衛を避けると、背中を蹴った。
「こいつ!!」
「デヤッ!!」
尚も襲い掛かって来る護衛に、サンドラは背負い投げを行い。そのまま右腕を圧し折った。
「う、腕が!!」
「出直しなさい。」
サンドラはそう言うと、店の奥へと入って行った。
「護衛を変えた方が良いんじゃない?」
サンドラは杉原貴恵に会うなり、そう言った。
「いきなりね。」
「腕折られて泣き叫ぶなら、護衛の意味無いじゃない。」
サンドラの言葉に、杉原貴恵は部下に目で合図した。それを受け部下が、部屋を出るとサンドラに腕を折られた護衛が、連れて来られた。
「姐さん!!こいつが!!」
パァン!!!!
連れて来られた護衛は、眉間を杉原貴恵に銃で撃ち抜かれた。
「全く役に立たないわね。」
「姐さん、これは。」
「捨てて来なさい。」
杉原貴恵は部下に死体を片付けさせた。
「問答無用ね。」
サンドラが呟いた。
「手間ばかり掛かる奴だったからね。」
「成る程。」
サンドラが杉原貴恵の言葉に納得して頷くと、入り口から慌てた様子の女性が入って来た。
「貴恵!!奴らが居たわよ!!」
「さすがね。良くやったわ。」
杉原貴恵は女性の言葉に頷いた。
「これは?」
「この前話したサンドラよ。役に立つわ。」
「成る程、貴女がサンドラね。宜しく、高内希美子よ。」
「宜しく。」
高内希美子とサンドラは握手を交わした。
「希美子は私に次ぐ組織の2位だから、仲良くした方が良いわよ。私が居ない時は希美子の命令が、私の命令だと思って動くように。」
「了解、杉原さん。」
「分かれば良いわ。それじゃ希美子、サンドラと数人を連れて奴らを訪ねて。」「分かったわ。行くわよ。」
高内希美子の言葉に、サンドラ達は立ち上がった。
「貴女達は先に行きなさい。サンドラ、私の車に乗って。運転はまかせるわ。」「了解。」
サンドラはそう言うと、車に乗り込んだ。
「さてと、銃撃戦は大丈夫かしら?」
「大丈夫、母国に居たときは陸軍に入ってたから。」「なら大丈夫ね。」
「けど問題が1つ。」
そう言うとサンドラは、コルトガバメントを取り出した。
「武器がこれだけなのよ。」
「それは問題ね。分かったわ、武器屋へ行きましょ。」
「了解。」
サンドラは高内希美子の言葉に、車を発進させた。
「着いたわね。」
高内希美子の言葉に、サンドラは車を停めた。
「けど高内さん。私、お金無いわよ。」
「大丈夫、貴恵のツケで良いから。店主に『杉原貴恵の紹介』って言えば後は大丈夫。」
「成る程。」
「ウージーでも買って来たら良いわ。私は待ってるから。」
「分かったわ。」
その言葉にサンドラは車を降りると、武器屋に入った。
「いらっしゃい。まあ見てって。」
店主はサンドラが入った来ると、張り切って声を掛けた。
「杉原貴恵の紹介だけど……」
「あぁ、杉原さんの紹介ね。好きなの選んで。」
「ありがとう。」
サンドラはそう言うと、棚に近付いた。
「見た感じ、少なくない?」
「ちょっと仕入れ先が摘発されちゃってね。」
「大丈夫なの?」
「大丈夫。貴女がミッションをクリアしていけば、取り扱える銃は増えていくわ。」
「……ゲームみたいね。」「………」
「まあ良いわ。このウージーを貰うわ。」
サンドラはそう言うと、ウージーを手に取った。
「どうする?拡張マガジンと、フラッシュライト・ドットサイトがあるけど?」「全部貰える?」
「ありがとう。」
店主はそう言うと、ウージーに拡張ストラップを取り付けた。
「杉原さんに請求しとくから安心して。」
「ありがとう。貴女、名前は?」
「ユーカリよ。」
「サンドラよ、此れからも宜しく。」
「こちらこそ。」
サンドラとユーカリは握手を交わした。
「それじゃ、また来るわね。」
「ありがとう。」
サンドラは武器屋を後にした。
「お待たせ。」
「ウージーはあったかしら?」
「もちろん。」
サンドラは高内希美子の言葉に、ウージーを取り出した。
「ウージーは良いとして、コルトガバメントはどうしたの?」
「おっと!!」
サンドラはそう言うと、車を飛び出した。
「今度こそお待たせ。」
サンドラは再び車に戻って来た。
「大丈夫?」
「大丈夫よ。」
サンドラはそう答えると車を発進させた。
「目的地は?」
「3ブロック先のガレージよ。そこに奴らは車とヤクを保管しているの。今回は車ごとヤクを奪うわ。」
「成る程ね。」
高内希美子の言葉に、サンドラは大きく頷いた。
「それで敵は誰なの?」
「マフィアの本家、イタリアンマフィアよ。」
「成る程、チャイニーズマフィアにしたら大きな敵ね。」
「まあイタリアンマフィアでもこのニューヨークでは新参者になる、マカエルファミリーよ。」
「なら楽勝かしら?」
「マカエルファミリーは私達に比べてニューヨークでの歴史は浅いからね。」
「それじゃ、ちゃっちゃと済ませましょう。」
サンドラは車のアクセルを踏み込んだ。
「着いたわね。」
高内希美子はそう呟いた。既に高内希美子の部下は到着していた。
「それじゃ、作戦通りに行くわよ。」
「了解。」
高内希美子の言葉に、サンドラはウージーを構えて大きく頷いた。