Drop of tears
童話風の物語となっています。
あるところに、一人の科学者がいました。
その科学者は、ロボットの製作において類を見ない技能を持ち、ついにはロボット製作のトップへと上りつめました。
トップとなった科学者に、多くの人はこう言います。
ぜひともその技能を教えてほしいと。
それに対して科学者は、こう返しました。
私の技能を教えてもいい。そこから自分なりに使いやすいように工夫や改良を加えてくれても構わない。
ただし、ある一つの機能。それだけは外さずに加えてもらいたい。
それが守れないのならば、私の技能を教えることは出来ない。
多くの人は科学者の言葉に頷き、その技能を教えてもらったのでした。
それから、時は流れ。科学者が亡くなった後の世界。
それでも、ロボットの製作をする人達は科学者から聞いたことを忠実に守り。ある一つの機能を必ず加えてロボットを造っていました。
その機能は、科学者により『Drop of tears』という名前がつけられた―――
―――ロボットが泣く機能でした。
その機能は、ロボットを乱暴に、乱雑に、扱った際、生物型なら目から、他の種類でもどこからか、透明な液体をこぼす、というだけのものでした。
しかし、その透明な液体とは、ロボットの原動力。
つまりこぼし続けるとロボットは機能を停止してしまうのです。
原動力となる液体の消費が多くなるし、こぼしている間は他の機能がストップして指示を聞かなくなる。
あと、床がびしょびしょになる。
唯一止める方法は、機能を起動させた人が謝ることだけ。
でもそれにより、ロボットを乱暴に扱う人はいなくなったのでした。
「不気味の谷」という言葉はご存知でしょうか?
不気味の谷現象。ロボットが人に近づくほど不快感が生まれ、人と同じになるとまた好感が湧く現象のこと。
ロボットがロボットである以上、その谷は存在し、下手に近づきすぎると逆に怖いということです。
ですが、ロボットが泣くくらいでは、大丈夫ですよね?
それでは、