表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR

株式会社カサマシ

掲載日:2026/05/27

短編です

 新社会人一年目。就職できた会社は、「カサマシ」という、代行業務を請け負っている会社で、パーティーなどでいわゆるサクラを派遣する会社らしい。

 俺の社会人ライフ一日目が、始まる!

「あ、君!今日入社の!」

 会社に足を踏み入れようとしたら、面接をしてくれた男性に声をかけられた。

「あ、今日から、はい、その、あの、面接のときはお世話に」

「あぁ、いや、うんそう言うのはいいや、一旦来てくれる!?いやぁ~!タイミングが良かった!」

 あれよあれよと言うまに車に乗せられて、真っ白なスーツの上下を渡された。

「初日で悪いんだけど、急遽新郎役が必要でさ。なんか急に体調悪くなっちゃったとかで、連絡来たんだけど、若いのが今出払っちゃっててさ~。君が来てくれてよかったよ~!身長もなんとなく近いしなんとかなる!新郎ってほとんど何もしないから、大丈夫!」

 車の中で着替えさせられながら説明を聞く。え、新郎って・・・新郎!?

 訳が分からないまま車が到着して、案の定結婚式場に連れていかれた。

「この式だけ乗り越えてくれればいいから」

 そう言って俺は新郎控室に置いて行かれた。乗り越えてって言われても!!

「昨今のネットリテラシーなどの煽りを受けまして、個人情報保護の観点から、写真撮影を禁止とさせていただいております。ご了承くださいませ。それではお二人の入場です」

 進行役の女性スタッフの綺麗な声が聞こえてきた。いよいよ式が始まるんだ。

 スタッフに呼ばれ、促されるまま移動。言われたことをただ遂行する。社会人初日の緊張と、良く知らない美人な誰かのお嫁さんの隣という緊張で胃の中身がすべて出てしまいそうだった。心を落ち着かせようと周囲を見回すと、どうやら友人と思しき面子はおらず、それぞれの親族だけが来ているみたいだった。最近葬式も結婚式も小さくなっているとは聞いていたけど、やっぱ人少ないな。そんなことを考えていると、緊張が少し落ち着いてきた。よしよし、いいぞ。とりあえず俺はこの時間を乗り切ることだけ考えよう。新婦のお父さんと目が合って、また緊張する。すみません俺がこんなところにいて。ってか、新婦の親族に俺が本人じゃないってバレないかな!?バレたらどうなるんだろう・・・・。

 緊張と不安が入り混じって、せっかく結婚式の美味しいメニューを食べているのに全然味がしない。

 スタッフの中に、面接をしてくれた男性が紛れ込んでいて、彼は場になじんでいた。さすが先輩だぁ。俺もいつかあんな風に、初めて行く場所でも物おじせずに過ごせるようになりたい。

 式が進んで、デザートが運ばれてきたころ、新婦さんがご両親への手紙を読み上げているとき、大号泣してしまった。まさか知らない人の結婚式でこんなに号泣するとは思ってもみなかった。俺って結構涙もろいのかも。

 顔ぐちゃぐちゃのまま、式を終えて、控室に移動できた。

「いやーお疲れお疲れ!今日は直帰で良いよ!」

 そう言われ、俺はもともとのスーツに着替えて、お言葉に甘えさせてもらうことにした。緊張のせいですごく疲れていたんだ。


 翌日気持ちを新たに出勤すると、昨日の先輩がいた。

「おはようございます!」

「おー!おはよう!昨日は助かったよ!じゃぁ今日はちゃんと部署、紹介するから!」

 先輩に促されるまま、職場に足を踏み入れると、そこには昨日の結婚式の、新郎一家と同じ顔の人たちがいた。

「・・・あれ?」

「あ、あとな、実は新婦の方、関係者全員が、ライバル会社の“ミズマシ”から派遣されたスタッフだったらしいぞ」

「え?・・・え?」

「そんなこともあるんだなぁ!」

 あーはっは!!なんて豪快に笑う先輩に、背中を叩かれた。

 え、ん?


——期待の大型新人君だ!——

よ、よろしくお願いします?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ