三話 目的
レクリエーションであった戦闘が終わり最初の学園生活が終了すると各々で寮にいったん帰ることとなった。ちなみに俺が気絶させてしまった天王寺はそのまま保健室に搬送されていった。流石に実力を試す場面で一発KОはやってしまった。訓練場から帰って来た自分を見るクラスメイトの視線が少し痛かった。そんな視線が居心地悪かった俺は一目散に寮に戻って来た。
「それにしても一人一部屋とは凄いもんだな」
広い部屋ではないにしても一通りの家具はそろっている。ここで三年間過ごすことになるんだなと思うとちょっとワクワクする緊張も感じる。俺がいる寮はマンションみたいな場所のちょうど真ん中ぐらいの階であり窓の外の景色もいい場所だった。外の景色を見ながら持って来た物を閉まっていき明日に備える。そんな意気込みと共に俺は日課の運動をして一日が終わるのだった。
翌日、部屋の扉を閉めてそのまま学園に向かう時だった。
「おはよう、東雲君」
いきなり声をかけられてそちらを見て観ると少しふくよかな男子がそこにいた。確か同じクラスの
「え・・・っと田中」
「そう、田中丸。気楽に丸って呼んでよ」
「それならそう呼ばせてもらうよ。俺の事も下の名前で呼んでいいから」
気楽に下の名前で呼んでいいと言ってくれた。それに応じで俺自身も下の名前で呼んでいいと言ってたわいのない話をしながら学園に向かう。
「そうだ。守に聞きたいことがあるんだけど聞いていいかな?」
「別に構わないけど何を聞きたいんだ?」
「その・・・守はどうしてこの学園に?何か夢とかあるの?」
丸の質問はこの学園を選んだ理由と俺自身の夢を知りたいというものだった。聞きたかった側もその質問をしてからあたふたし始めた。
「ご、ごめん。いきなりこんなこと聞いて・・・でもどうしても気になってさ」
「それは気にしないが・・・なんでそんなことを?」
「そりゃあ、天王寺くんをあんなに簡単に倒しちゃったからね」
天王寺という苗字がまた出た。昨日の彼もその苗字に何か含みがあったがここでそのことを聞いてみるか。
「そのーさ、俺は田舎出身だからさその天王寺というのはどういう存在なんだ?昨日から皆の反応が妙で気になってたんだ」
「え、知らないでぶっ飛ばしたの」
「うん」
「天王寺君は五代華族の一人なんだよ!」
それを聞いた丸は唖然とした後に勢いよく彼の素性を教えてくれた。華族というのは海外では貴族の様な物でこの国では五家あるうちの一つが天王寺家との事だ。しかも彼は次期当主候補との事らしい。
「華族の人達は凄い才能を持った人達ばかりで国の重要なポジションを担っている方達なんだよ」
「あ~、だからそんな人達の次期当主候補を思いっ切りぶっ飛ばした俺を見て皆変な反応をしていたのか」
「うん、間違いなくみんな守のことを少し避けてたんだと思うよ」
そりゃあ、将来の事とか考えたら後ろ盾がしっかりしていそうな人の後ろにいたいもんな。そんな奴を殴り飛ばしたらまあなあー。クラスメイトの反応に納得した後に気になったそれでも話しかけて来た丸について聞いてみる。
「そんな俺と話をして良かったのか?こんなことで恨まれることはない・・・と思うけど関わらない方が丸の為になると思うんだけど」
「そんなことないよ。むしろカッコ良かったよ!」
丸は俺が天王寺を倒した姿を見て話したくてうずうずしていたらしいが俺はそのまま部屋に入ってしまったために話す機会がなく朝に俺と偶然会ったから話してみたらしい。
「そうだったのか・・・とそういえば俺が学園に来た理由と夢についての話だったな。学園に来た理由は話せるけどすまないが夢については話せないがそれでもいいか」
「それでもいいけど何か話せない理由でもあるの?」
「いや、単純に夢がないから話せないんだ」
そう、俺がこの学園に通う事を選んだ理由はあるが夢は今のところ持っていないのが今の現状であるのだ。
「まあ、夢は学生として学んでいく中で見つかるかもしれないしそれは目標かもな」
「そうなんだ。じゃあ、理由は?」
「この学園には強くなるために来たんだ」
「強くなるため?」
シンプルな理由に首をかしげる丸に詳しく話す。
「強くなるって言ってもただ相手をぶっ飛ばす力がほしいってわけじゃなくて人として強くなりたいって意味なんだ」
人として強くなりたいと言ってもいろいろあるし人によっては考え方も沢山あるだろう。その強さを学びたくてあえてこの学園を選んだことを丸に話す。
「この学園は名門らしいからなそう言う事を学ぶにはいい場所だと思ったんだ。丸の話を聞いて華族なんて人達も通うなら俺は当たりを引いたんだろうさ」
「へえーなんていうか壮大な理由だね」
それだけの理由であるが俺にとっては大きな理由であり目指すべきもの目的だ。そんな話をしながら俺達は学園まで登校するのだった。




