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第90.5話 The Most Beautiful Girl In the World (2)

ー時は遡ること2日前ー



 永遠・澪・そしてりりによる“三者協議”の末に決まった——


「今日は、りり担当日」


 ……その言葉を、一人はもっと警戒すべきだった。



 りりの住むマンション前


 一人は、りりのマンション前で深呼吸した。



(よし……今日はりりさんとちゃんと話す日。


 逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ……)



 ピンポーン。


「あ、出た……緊張する……」



 ガチャ。


 ドアが開く。


 そこに立っていたのは、Tシャツにジーンズのラフな格好で、

 腕を組んだりり。



 開口一番——



「あ、トカゲの亭主だ」


 一人「……」


(あ、やっぱ聞いとるんや……


 いや、まあ……そりゃ永遠からも回るよね……


 うん、そうよね……うん……)



 玄関で即KOされた気分である。



 

 そして一人が部屋へ足を踏み入れると——



 地獄が広がっていた。


 洗濯物(未洗濯)が床に雪崩を起こし、


 宅配の段ボール(未開封)が壁を作り、


 テーブルは……テーブルのはずのなにかは……見えない。




 そしてソファには——


 もはやクッションよりもゴミの方が厚い。



「そこ座りなよー」


 いや無理だよ。


 しかし一人は黙ってゴミをよけて座った。



 愛ゆえである。




「今コーヒー淹れるから」



「……ありがとう」

(いや、この状況でコーヒーとか淹れて大丈夫なん?


 食器どこ……? キッチンどこ……?


 というか床……?)



 心の中でツッコミながら、なんとか落ち着こうとする一人。


 りりは隣に座り、 腕組みしながら話し始めた。


「うん……わかってるよ。自分の生活力ないのも、自覚してる」


「いや、りりさん……その、部屋のことは……ちょっと……」



「でもね!あんまりじゃない!?」


 まくし立てるりり。



「君はさ……私にプロポーズしたよね?」


「……はい、しましたね……(5歳のときに……)」



「なのに、なんで先にトカゲなんかと結婚すんの!?

 私が先じゃないの!?おかしくない!?」



「ほんとに……すみません……」


 一人は深く頭を下げる。


 土下座一歩手前である。


 するとりりは更に追撃してくる。


「私ね、親戚のおじさんにも報告したの!


 “結婚します”って!


 友達にも言ったの!どうしてくれるの!?」



「す、すみません……えっと……逆にどうしたら……?」


「男が責任取るって言ったら、もう あれ しかなくない?」



 一人は泣きそうな顔で聞き返す。


「あ、あれって……それって……もしかして……」



 りりは呆れたように叫ぶ。


「はあ!?


 女の私から言わせるつもり!?


 こんな不義理通して!?信じられないんだけど!」



「えーーーーーーーーーー!!」


 逃げ場ゼロ。


 明日からどこに逃げても無駄。


 魔界でも現実世界でも、逃げ場など存在しない。


 一人の絶叫が、りりのマンション中に木霊するのであった。

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