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第63話 所有紋を入れられて…再び(1)

放課後 ― 映画研究部・部室



 薄暗い部室に、今日も異様な空気が漂っていた。


 ――というか、もっと直接的に言うなら。


 一人かずとはズボンとパンツを下ろし、お尻を丸出しにしていた。



「……もう、いいだろ……? 恥ずかしすぎるんだけど……」


 涙目で呟く一人。


 羞恥で死にたい気分 MAX。


 しかし、永遠はそんな一人の屈辱などどうでもいいと言わんばかりの至近距離で、

 お尻の紋様をガン見していた。


「待ってって言ってるでしょ。


気が散るから話しかけないでよ。


あんたのお尻なんか、もう見慣れてるんだから。」


 完全にキレ気味。


「ご、ごめんなさい……」


 しゅん、と肩を落とす一人。


 お尻は丸出しのまま。


 永遠は親指を噛みながら眉をひそめた。


「うーん、不味いわね。


 これ……古代の悪魔語で“リリス・ノクティス”って書いてある。


 真名は読めないように細工してあるけど……所有紋よ。めっちゃ厄介。」



「たぶん、気づかれないように夢から忍び込んだんだ……


毎日ゆっくり、慎重に、悟られないように……」


 澪は腕を組みながら、不機嫌そうに言う。


「鉄壁の防御結界をどうやって突破したんだ……?


依代がある? 契約がないと普通は無理だぞ……」



「け、契約……!?」


 一人の声が上ずる。


 永遠がくるっと振り返る。


「ねえ、一人。


 ……なんか覚えあるの?」



「もしかして……だけど……


りりさんって……うちの隣に住んでたりりねえちゃんかも……って。


ははっ、そんなわけないよね。


 僕の初恋の人でさ。」




 その瞬間――



「『あ゛』」


 澪と永遠が、完璧にハモった声で一人を睨む。


 澪は冷え切った声で言い放つ。


「いや、絶対それだよ。」



 永遠はジト目で頷いた。


「うん、なんか“らしい”わ……


無自覚なところとか……全部。」



 2人、同時に盛大なため息。


「はああ……!


 どうしてくれるんだよ、これ!!」



 澪の怒号が部室に響き渡り、

 外を飛んでいた小鳥が驚いて飛び立ったレベル。



 その中、お尻丸出しの一人は控えめに手を上げる。


「あの……そろそろパンツ履いてもいいかな……?」



「うるさい! しばらくそのまま反省してろ!!」


 澪が即答。


 永遠も腕を組みながら、真顔でコクリと頷いた。


「うんうん。


 しばらくそのままがいいよ。反省しろ。」



 一人の心の叫び:

(えええええええええええええええええええ!?!?)


 部室には今日も、平和と混沌が同時に満ちていた――。




 永遠が、なにかゴソゴソとカバンから取り出した。


 光沢のある刃がチラリと光る。


「これさ、このナイフで削ったら取れないかしら。」


 ナアマの特注ナイフ。


 見るからにヤバい。


「いや、それ絶対やめ――」


 澪が止めようとした瞬間。



 ピカーッ!!


 一人のお尻の紋章に近づいた 次元の宝珠 が突如輝きだした。



 部室に響く謎の声。


 ーー「やめろ! たぶんそれフェイクだ!!


   もし私なら、その紋は“ダミー兼トラップ”にする!」



 別宇宙の澪の声だった。



「ひっ!?」と一人。



 お尻丸出しのまま、震える。


 ーー澪(別宇宙)「それ、見せてみろ……」



 永遠は悪びれもせず、にっこり。


「いいわ、見てみて。どうぞ~」


 手際よく宝珠を、お尻の紋へ近づける。



 ーー澪(別宇宙)「うーん……


 悪魔語の古代文字? 神代文字っぽいな……


 “この者の所有……えーと、読めないな~。”」



 別宇宙の別キャラまで参加する。


 ーーイゾルデ「“この者の所有を宣言する。なお、この紋章を破りし者は……”


 ……読めないけど、何らかの制約がかかってるわね。


 お義姉さんか? レヴィさんなら読めるかも。」



 ーー澪(別宇宙)「お義姉さん呼べる?」



 ーー亜紀「私、頼んでみるから少し待ってて!」


 部室が完全に多次元女子会と化した。


 一人は震えながら、情けない声を上げる。


「な、なんか……いろんな女の人の声がするんですけど……


 僕、どうなってるの……?


 怖いんですけど……?」



 永遠は一人の不安をガン無視して言い放つ。


「いいから待っててよ。みんな、あんたのために動いてんだから。」


(動き方の次元が違うんだけど……)



 と心の中で泣く一人。



 そして――10分後。


 一人は覚悟を決めて口を開く。


「あの~~~……そろそろズボン履いていい……?」



 永遠はキレ気味に振り返った。


「だから待ってろって言ってるでしょ!?


我慢できないの? 男でしょ!!」


(いや……これ我慢する男いないだろ……!?)


 と心で叫ぶ一人。



 救いを求めて澪を見る。



 しかし澪は溜息混じりに肩をすくめるだけ。


「……仕方ないかな。一応、待つしかないね。」


 この世で最も救いのない“待て”がそこにあった。





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